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Artist Interview
Talking with Ryohei Kondo, leader of the highly popular all-male dance group Condors
男ばかりの超人気ダンスグループコンドルズを率いる近藤良平に聞く


コンドルズ

コンドルズ


――コンドルズを離れたところの近藤さんの活動について伺いたいと思います。最初の海外公演は、ジャパン・ソサエティーでの1996年の最初のショウケースで、「カンパニー・レゾナンス」という今は無くなってしまったグループのダンサーでしたね。その後、ダグ・バローン振付の『ニード』という作品にダンサーとして参加したり、山崎広太のカンパニーのダンサーだったりと、「近藤良平」の名前は個人のダンサーとしても高い評価があります。近年は、様々な女性ダンサー兼振付家と踊るコラボレーションの活動を広げていますが。
コンドルズとはまったく違うので、面白いんです。女性と男性という違いのせいかもしれないけど、簡単に言えば、新しい可能性の探求でしょうか。コンドルズというのは、コンドルズという母体があってそれに僕も「参加する」という形ですが、デュエットというのは、つくり方として、カンパニーのために振付けるよりもすごく互いの関係が濃密。相手を女性だけと決めてるわけではないので、いろいろな面白い人たちとのデュエットは続けてやっていこうと思っています。

――どういう理由で相手を選ぶのでしょう?
野和田さんとのデュオは、きっかけはセッション・ハウスの企画でしたが、彼女も二十歳を過ぎてダンスを始めた人だし、南米育ちということもあって、もうそれはぴったり合いました。そろそろ別の作品をまた一緒に創りたいですね。

――「BATIK」を率いている黒田育世さんとのデュエットは?
僕が誘いました。彼女が創っている作品に興味があったというよりも、黒田さんという人間に対する興味からです。彼女のように小さい時からずっとバレエをやってきた人と、大学で初めてダンスを始めた僕やコンドルズの仲間のような人間とは、ダンスとのつきあい方がまったく違う。その違いの中から、僕自身に対して一般の観客やダンス界の人たちが持っているイメージを、彼女と踊ることで崩してみたいと思ったし、同時に彼女の持っているものを崩してみたいという興味もありました。彼女にとってもダンスの言葉が増えるという意味で、いいんじゃないか、と。

――日本舞踊の坂東扇菊さんとのコラボレーションは?
あちらが「男性コンテンポラリーダンスものを創りたい」と思ってらして、そういえばコンドルズって男性ばかりだから、じゃぁその代表の近藤君にって声がかかった(笑)。僕は日舞をまったく知らなかったですし、扇菊さんは年齢的にも先輩で、彼女のまわりの人々は僕のまったく知らない世界の人たちでした。創ることや舞台そのものよりも、そういう世界を新しく知ったということにすごく知的な刺激を受けました。

――他に、近藤良平個人としてやっていきたい活動は?
いまもうひとつ面白いと思っているのは、日本のいろいろな地方都市でやっているワークショップです。大分県とか鳥取県とか、知らない地方都市にあちらこちら出かけて行く。なんでもかんでも東京一局集中の日本では、地方都市ではコンテンポラリーダンスも基本的に不毛ですから。そういう地域に行くと、2種類のワークショップ参加者に出会うんです。ひとつは、バレエをずっとやってきたけど、情報やきっかけが無いためにそこを抜け出して新しいものに手を染めることができなかった、だから僕と何かやってみたいという人。もうひとつのタイプは、ダンスのトレーニングはしたことがないけれど、美術作家とかのクリエイティブ系で、踊ることを通じた表現にも興味があったのに地方だからきっかけが見つけられなかったという人。どちらも純粋で、すごく面白い。こういう人たちが、地方にはたくさんいます。彼らと一緒に何かするという活動を見つけていきたいと思っています。

――コンドルズを見たことないアメリカ人にコンドルズを説明する時に、「TVのバラエティー番組みたいな作品」と言って紹介します。アメリカ人なら知らない人はいない『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』というバラエティー番組があって、数分のお笑いのナンセンス・スキット(寸劇)がいくつもちりばめられている90分の番組です。その合間にバンドの演奏なんかも入る。コンドルズの舞台作品の構成や可笑しさは、ちょうどSNLみたいだと説明すると、イメージがよく伝わります。例えば、世界に通用するユニバーサルな表現ということで、TVのバラエティー番組を意識しているということはあるのでしょうか?
実は、僕はテレビのお笑い番組がとても嫌いなんです。ヘンに育ちがいいのかもしれないけれど(笑)、そういう番組は子供のころに親から見ることを禁止されていたし。コンドルズの作品は、あくまでダンスから出発し、「コンテンポラリーダンス」という枠組みでやっているものです。TV番組でないだけでなく、演劇でもない。僕らの作品は、あるいは演劇というバックグラウンドから出発してたどりつく表現として生み出される可能性もあったかもしれませんが、あくまで僕らのはダンスなんです。僕の意識の中では、僕の舞台はあくまで「ライブで見せる芸術」としての「ダンス」でないといけない。コンドルズの、こんなぐちゃぐちゃ転がっていっちゃっているような内容のものだからこそ、芸術としての意識が大切だと思っています。
例えば、中学生とか高校生のワークショップに出かけるでしょう。球技やらのスポーツではすごく身体を動かせる子なのに、ちょっとでも“何も目的のないこと”をやらせようとするとまったく身体が動かなくなってしまう。そこにポイントがあると思います。僕たちコンドルズのやっていることは「勝ち負け」のような目的は何もなくて──そのことが直接「芸術」につながるわけではないけれど、ここらに芸術としてのダンスの糸口があるような気がしています。「アタマを使わないと動けない・でも与えられた目的があるわけでない」と。そういう世界を僕たちは提示しなければいけないと思うし、子供たちに対してもそういう世界があるということを知らせるべきだと思っています。
 
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