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Artist Interview
What is a Kabuki furitsuke-shi?   Interviewed Fujima Kanjuro VIII
歌舞伎舞踊の振付師とは? 8世藤間勘十郎に聞く
──蜷川幸雄さんなど現代劇の演出家が歌舞伎を演出して注目されていますね。
振付師はあくまで裏方ですから、ポリシーとして日の当たるところに出るべきではないと思っています。役者さんがよく見えればそれでいいんです。この人がいれば何とか話がまとまるだろうと、役者からも興行主からも、演奏家からも裏方からも信頼されることが大事です。どうしても私に振り付けを頼まなければいけないということはないわけですから、信頼されなければ仕事はいただけなくなります。
本当のプロの世界は年齢も名前も関係なくて、問われるのは実力です。私は祖父の13回忌に勘十郎を襲名しましたが、藤間流の宗家になったからといって仕事がくるわけではありません。歌舞伎舞踊の振付師と呼ばれているのは母と私の二人しかいませんが、日本舞踊の舞踊家はたくさんいるのですから、僕に実力がなければ、ほかの方に頼めばいい。
生半可な知識では舞台で指示は出せないので、自分で言うのも何ですが、ものすごく勉強しました。中学生の頃から長唄や三味線、鳴物に触れていて、歌舞伎座の御簾内(みすうち/演奏者が入る舞台下手のスペース)で演奏させてもらったこともあります。そうするとそこで演奏する長唄さんの気持ちもわかるようになりますし、演奏家の友人もたくさんできました。

──若くしてこの重責を担うのは相当なプレッシャーですね。
最高の息抜きは、自分で台本を書いて、自分が主役で舞台をやることですね(笑)。長唄にも清元にも、鳴り物にも友人がいますから、僕のやりたいように演奏してもらう。誰も文句を言わないんだから、いっさい妥協しなくていい。もう快感です。

──3月にフランスの演劇志望の学生に歌舞伎舞踊の指導をされると聞いています。
今回は、演劇を学んでいる人たちが対象なので、日本舞踊ではお酒を飲む仕種はこうするとか、手拭いをこう使うと波を表現できるとか、扇子の使い方とか、後々、舞台をやる時に少しでも役立つものを伝えられればと思っています。
日本舞踊の基本は、「腰を折ること」と「すり足」です。すり足は着物を着た日本人が美しく見える歩き方です。大股でバサッバサッと歩くと裾さばきが汚いでしょう。すり足でスムーズに足を出すためには、腰を折らなければできません。こういう日本舞踊の基本を学んでいただくのですから、もちろん着物を着て、足袋を履いて勉強していただきますし、着方や畳み方も指導します。

──勘十郎さんは宗家藤間流の宗家でもいらっしゃいます。日本舞踊は習っている方は多くても、お弟子さんが見に行くぐらいで、日舞を楽しむ観客がいないように思います。日本舞踊のファンを増やすには何が必要だと思いますか。
日本舞踊は日本人が築き上げてきた美意識のかたまりです。なので、踊りを見ていると、ああ、きれいだと思うことがたくさんあります。手の開き方ひとつとっても、手を細く美しく見せる工夫があるし、立ち方にも半身に構えると痩せて見えるといった、単純だけど長い間に培われてきた工夫がたくさんあります。それは次の世紀に伝えていかなければいけないし、その繋ぎ目に、私はいるのだと思っています。
古典は面白くないというイメージがありますが、歌舞伎も踊りもお客さんあっての娯楽として発展してきたわけですから、絶対に観て面白い要素があったはずです。畏まって見るような、高尚なものじゃありません。日本舞踊の世界でも最近はシンセサイザーやギターで踊ったり、奇抜な演出の公演をしたりしていますが、ちょっと違うような気がします。
実は、1年ほど前に大阪で若手舞踊家6人で公演をしたのですが、その時はとにかくお客様が沸くものをやろうと、紋付き袴で踊る素踊りで早変わりをやりました。髪形を変えたり、紋付き袴の色を変えたり、僕らは汗だくでしたけれど、お客様にはとても受けた。日本舞踊の生みの親は歌舞伎ですから、もっと歌舞伎の力を借りて日本舞踊を面白くしたらいいと思います。歌舞伎の仕事を大切にしながら、いずれは日本舞踊の可能性を知らせる仕事もしたいと思っています。
 
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