The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Artist Interview
Pioneering a new realm of creative design   The world of costume artist Kodue Hibino
造形的なデザインで新たな世界を開拓 コスチューム・アーティスト、ひびのこづえの感性とは?
NODA・MAP第3回公演『TABOO』
(1996年4月〜5月/Bunkamuraシアターコクーン)
作・演出:野田秀樹
衣裳:内藤こづえ(現ひびのこづえ)
TABOO
撮影:青木司
NODA・MAP番外公演
橋爪功VS野田秀樹 二人芝居『し』

(1995年12月/六本木・自由劇場)
構成・演出:野田秀樹
衣裳:内藤こづえ(現ひびのこづえ)
し
NODA・MAP第10回公演『走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト!』
(2004年12月〜2005年1月/Bunkamuraシアターコクーン)
作・演出:野田秀樹
衣裳:ひびのこづえ
走れメルス
撮影:渞忠之
走れメルス
『野田版・研辰の討たれ』
(2001年8月/歌舞伎座)
脚本・演出:野田秀樹
衣裳:ひびのこづえ
研辰の討たれ
研辰の討たれ
──野田秀樹さんは、1990年に東宝製作の『から騒ぎ』の衣装を手掛けて以来、ひびのさんが最も多く仕事をした劇作家・演出家です。野田さんとの仕事はどのように進めていますか。
まず台本を頂いて、何回か読んで。でも野田さんの戯曲は難解なので読むだけではほとんど理解できないので、お会いして説明を受けようとするのですが、野田さん自身が説明するのがあまり好きではないもので、結局自分でイメージを膨らませるしかない(笑)。

──野田さんは、衣装のイメージに具体的な注文を出さないのですか。
初期はそうでした。『から騒ぎ』のとき、日生劇場という大きな劇場で東宝という大きな会社と仕事をする、しかも野田さんとも初めてという状況で、私はちょっとビビってしまい、いろいろ気を使ったスケッチにしたんです。そしたら、野田さんが「これはこづえさんらしくない。すごく普通だ」と。
一週間かけて全部描き直したら、今度はすごく気に入ってくれて。「どんな現場でも思い切りやっていいんだ」と、あの時、背中を押してもらえたことはとてもラッキーだったと思います。野田さんは、とにかく何でも面白がれる人なので、私が出したアイデアには口出しせずに、そのコスチュームが活きるような演出を考えてくれたりもします。

──野田さんとは現在まで一緒に仕事をされていますが、その間、進め方などに変化はありましたか。
私自身も変化していますし、野田さんの戯曲も「テーマ」が素直に読み取れるような現実性のあるものに変化してきているので、最近の作品ではコスチュームにもある種のリアリティを求められるケースが出て来ています。私としては、「得意じゃないことをやらなければ」というプレッシャーを感じることもありましたが、今は野田さんの考え方も理解できるようになりました。

──野田作品に限りませんが、ひびのさんのコスチュームは、登場人物の生活・職業を説明するような、一般的なリアリティとは一線を画した造形・デザインになっています。そのアイデアは、戯曲の解釈や演出プランからくることが多いのですか。
アイデアを生み出すとっかかりとなるヒントは、自分のストックや創造力からくることもあれば、戯曲や演出家のイメージの中からくることもあります。野田作品の場合は、戯曲の設定自体、時代も国も明らかでないもののほうが多いので、それだったら新しくて見たことのない、しかも美しくて楽しいコスチュームを俳優さんに着せて、観てもらいたいなと思っています。 

──たとえば色から発想するとか、形から発想するとか、素材から発想するとか、ひびのさんの発想をリードする要素というのはありますか。
別々に浮かぶものではないかも知れません。スケッチを描く行程としてはもちろん形が先にあって、色はあとから塗りますが、ものによっては「キーカラーはこれ」と先に決まっていることもあります。変わった素材を使うので「素材ありき」で作ったと思う方もいますが、ファッションの世界では素材を一から作ることもありますが、普段の仕事では時間も予算もそこに割くことはできないので、イメージにあった素材を後で探しにいきます。

──野田さんとの仕事と並んで大きなトピックスと言えるのが、演出家の串田和美さんと歌舞伎俳優の中村勘九郎(現:勘三郎)さんが一般のホールで新演出の歌舞伎公演にチャレンジされている「コクーン歌舞伎」の衣装を担当されたことです。
歌舞伎の仕事は本当に楽しいです。こんなに自分にあっているとは思いませんでした。自分が持っている色の感覚は、とても歌舞伎にあっていると思いました。私は、どちらかというと現代的なリアリティが苦手なのですが、歌舞伎の衣装にはリアリティはまったく必要ないでしょ。
ただ、最初にお話をいただいたときには、自分の作るものはアバンギャルドだ、西欧的なとらえ方だと思っていましたから、「なぜ私が歌舞伎?」と思ったのも事実です。でも仕事を始めてみると、自分がいかに日本人かがよく分かりました。空の色ひとつとっても、日本とフランスとでは違いますよね? 二つ並べたときに自分が選ぶのは日本の空の色、日本の空気や日の光がどうしようもなく染みついているということを、歌舞伎の仕事を通じて再認識しました。
 
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