The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Artist Interview
The world of Takayuki Fujimoto, a lighting artist at the forefront in Japan’s multimedia performance scene
日本のマルチメディア・パフォーマンスを支える照明アーティスト藤本隆行の世界
『true/本当のこと』
(2007年12月8日、9日/金沢21世紀美術館シアター21)
ディレクション・照明:藤本隆行
振付・出演:白井剛
振付・出演・テクスト:川口隆夫
true
true
true
true
true
Photo by Hiraku Ikeda
Presented by 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
坪池:そうしたテクニカルな表現は『true』のテーマとどのように関わっているのでしょう。

藤本:それは『true/本当のこと』というタイトルの意味にも繋がっていることなのですが、自分があると思っているものが「本当に」あるのか? という問いがテーマになっています。自分に聴こえるのが音だと思っているけど、音は振動だから聴こえない音もある。じゃあ音って本当は何なのだろう? パフォーマンスはライブだと言うけど、振付が決められていて音に合わせて動いているだけなんじゃないか。じゃあライブって何なのだろう? 色も同じで、どうしてRGB(Red、Green、Blue)でいろいろな色が見えるのだろう? とか。目の前にあるものが、あなたが信じている世の中が揺るぎないものとしてそこにあるように思っているけど、それは「本当」にあるのか、ちょっと考えてみようよみたいな。禅問答ですね(笑)。

坪池:『true』は、真鍋さんをはじめとした多くのクリエーターとのコラボレーションです。こういうマルチメディアのコラボレーションはどのように進めるのですか。

藤本:どうやって情報をシェアしながら作品をつくっていくかはいつも課題になっています。僕も学校の連絡ノートみたいなものをネット上に置いておいて、そこに皆が情報を貼り付けていくとか、いろいろ試していますが、今でもまだ試行錯誤しています。ダムタイプではすごく長い時間を共有していて、お互い何を考えているのかおおよそは把握していたし、共通言語のようなものもあったので、もう少し曖昧模糊として進んでいけたのですが、新しい作品を新しい仲間とつくる場合はそれでは通用しません。
 それで『true』では、製作ノートのようなマトリクスをつくって進めました。シーン毎に分けてあって、ここで何が起こりたいとか、いろんなところから参照してきた文章なんかが載っている。それが確定ではなくて進めながら組み直していく。
 マトリクスはExcelで作成してあって、とりあえず1日の作業が終わって何か進展があったら皆に同報メールを送って、それに合わせて次の作業について各自に書き込んでもらっていました。それをどんどんアップデートしていきながら、最後にそれが台本になるみたいな。テキストで書けない人は、音や映像のサンプルを付けるとか、実際舞台上でその断片でも発表する。それをみんながチェックして、フィードバックを返す。そういうやりとりを数日おきに僕がまとめて、全員が共有できるようにしました。
 それとマルチメディアの場合は、稽古が始まって最初の1週間ぐらいはみんなでカチャカチャとキーボードを叩いていて、パフォーマーは何もできないような状態が続きます。練習が始まっても何かちょっと躓いたら「修正しま〜す」って数時間は平気でカチャカチャやっている(笑)。それで泣き出しそうになるパフォーマーとは一緒にできないのですが、川口さんはもちろん大丈夫だし、白井さんは自分で映像をつくる人だから、テクニカルが何をやっているのかわかるし、システムについても提案できる。そういう人とでないとつくれないですね。

坪池:『true』では、各シーンを国語・算数・理科・社会・音楽という学校の時間割に見立てて場面構成されていました。

藤本:そうです。シーンのタイトルとして国語・算数という教科の名前が付けてあって、最初にみんなで教科毎のキーワードを出し合いました。例えば、「音楽は波である」とか、「音楽は数学である」とか。そういう「◯○は△△である」というキーワードもマトリクスに書いてあって、そこから具体的なイメージをつくっていきました。小学校の教科というのは、善かれ悪しかれ、子どもが初めて社会で出合う世界像ですよね。

川口:僕は国語のシーンの担当だったので、パフォーマンスだけでなく、具体的に言葉を考えなくちゃいけなかったんだけど、浮かばなくて。「どうしよう」って(笑)。

藤本:最初から言葉を使う部分は川口さんにお願いするつもりでシーンを用意してあったんです。青い光のなかで単語の映像が浮遊するシーンがありますが、その言葉は川口さんが書いたテキストから抽出したものです。生で見ると川口さんが喋っている台詞にあわせて映像などが動いているように見えるのですが、実は逆で、録音した音声素材が最初に流れて、それに合わせて川口さんが喋るパフォーマンスをやって、それをキューにして映像や照明がついていくという仕掛けになっています。
 
BACK
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
NEXT
TOP