The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Artist Interview
Installations of the body and light  The art of Hiroaki Umeda
身体と光のインスタレーション 梅田宏明の作法
『1. centrifugal』
初演:2009年
振付:梅田宏明
出演:Satu Rekola、Milla Koistinen、Natsuko Kuroda
1. centrifugal
撮影:山方 伸
グループワークについて

──フィンランドで初演された『1. centrifugal』は、フィンランド人2人と日本人1人という計3人のダンサーに梅田さんが振付けた初めてのグループワークです。
 横浜市芸術文化振興財団とフィンランドセンター(Finnish Dance Information Center)が3年間の予定で、毎年お互いに振付家を交換するプログラムを企画していて、僕はその2年目に選ばれました。本当はフィンランド公演で終わりだったのですが、横浜でもぜひやりたくて、今年3月に横浜の赤レンガ倉庫で上演させてもらいました。

──3人は梅田さんが選んだのですか。
 若くて身体の動く女性のバレエダンサーというオーダーを出して、フィンランド側が選びました。そこで文化を超えて経験を積もうということで、基本的にはすべて任されていました。僕みたいに振付を全くやったことがないものにとってはとてもよい企画だったと思います。

──振付するというのは、自分でソロを踊るというのとは全く違う次元の仕事だと思いますが、どうでしたか。
 気を付けようと思ったのは、自分がやっている踊りをそのまま振り移しするのではなく、そういう反応が自然と出てくるようなシステムを考えようということ。自分の身体がもっているものを彼女たちに移植できる、動きを共有するための方法論をつくりたかったんです。

──具体的にはどのようなことをやったのですか。
 まず、僕の動きの基本となる立ち方、歩き方から始めました。手本を見せたり、口頭で指示するんですが、クラシックバレエをやっている人はできないんですね。というのも、僕が自分の身体を通して論理化した動きで、どちらかというとアジアな身体から出る動きだと思います。
 どういうものかというと、単純に、「重心の取り方は踵で」とか「膝は曲げてください」という感じで具体的な指示を出すのですがそういう身体の使い方ができない。バレエの人の重心の取り方は、いわゆるアンドゥオールで、腰がこう入って、踵の外側あたりで重心を取るのですが、僕は逆。腰を少し後ろに引いて、踵の内側辺りで重心を取って腰を載せるんです。そうすると、少し胸が出てくる……。

──腰の位置や重心の取り方、姿勢の保ち方は能に近いものがありますね。
 そうかもしれないですね。キーワードは、重心が腰だけではなくて、胸にもあるということです。踵と腰と胸の重心が三点重なると、もう全然力を入れなくても楽に立っていられる。すごくリラックスできて、動きもすごく速くなります。僕はニュートラル・ポジションと言っていますが、バランスを崩さないためにはどうすればいいかを考えた時に、体験的に辿り着いたのがこれでした。

──ニュートラル・ポジションの後はどうしたのですか。みんな即興で踊ったわけではないですよね。
 稽古の中ではかなり即興をやってもらいました。振り写しはやらないで、システムや論理を与えて、彼女らがそこから発展させ、出してきたものを僕が抽出して、構成するという方法を取りました。ベースを共有しながら個性を出してほしいというのが、グループワークでの僕のやりたい方向なので、どういう要素を彼女らがもっているのかギリギリまで見極めて、組み合わせを考えていった感じです。

──ソロを踊ること、人に振付けること、自分の身体性ということをとおして、将来的にどんなことを考えていますか。
 ソロでは今後も音や映像を使った実験的なことをやっていくと思います。サッカーをやっていたおかげで、これくらい無酸素運動で踊っても大丈夫というタフさはありますが、このスタイルが続けられるのは後5年ぐらいだと思うので、自分がどういうことを表現したいのか、その後のことも考えたいと思っています。
 振り付けについては10年がかりでしっかりやっていこうと思っています。10年というのは僕が踊りをやってきて、今に至るまでの年月。思っていることを実現するにはそれくらいかかると思います。ちなみに次の振付作品は、フランスのヒップホップダンサーとやります。『1. centrifugal』は「遠心力」がコンセプトでしたが、今度は「レスポンス」をコンセプトにしようと思っています。例えばステップを踏んだ時にちょっと反動が来ますよね。この反動は僕の踊りで結構使う動きですが、これをテーマにして振り付けようと思っています。
 あと、5年後にダンスのないダンス作品をつくりたい。今この話をすると、屁理屈みたいになってしまうので、その時に詳しく話します(笑)。ダンサーが踊らないダンス作品ではなく、舞台に身体を置かないで照明や音でつくるダンス作品。それをダンス作品だと言って提示してみたい(笑)。
 
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