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Energizing the Performing Arts Through International Exchange
活発化する舞台芸術の招聘と海外公演─土屋典子・坪池栄子(文化科学研究所)
招聘元としてクローズアップされている民間プロモーター

 最新動向として押さえておきたいのが、舞台芸術の招聘元として民間のプロモーターが果たす役割が大きくなってきたことである。例えば、ポピュラー音楽のコンサートを中心に手がける民間プロモーター、キョードー東京は、15年ほど前から海外のエンタテイメント作品の招聘に力を入れている。特に、日本のポピュラー音楽市場がJ-POP(日本のポップス)中心となり、海外の大物ミュージシャンの公演がインパクトを持たなくなった90年代から、それに代わるものとして、音楽の要素を強く持ちながら視覚的にも訴える、創造性の高い新しいタイプのエンタテインメントをいち早く日本に紹介してきた。

 2003年に招聘した『ブラスト!』は、マーチングバンドを大胆にショーアップしたブロードウェイの作品で、連日満員の大盛況となった。この他、身近な道具をリズム楽器にして躍動感溢れるユニークな演奏を繰り広げて成功した『ストンプ』、アルゼンチンで誕生したパフォーマンス『ビーシャ・ビーシャ』もキョードー東京の招聘である。また、同じく民間プロモーターのH.I.P.もアイリッシュダンスとケルト音楽を合体させた『リバーダンス』を招聘するなど、同様の取り組みをはじめている。

 こうした海外の舞台芸術を招聘した代表的な成功例は、カナダのカンパニーであるシルク・ドゥ・ソレイユのケースだろう。シルク・ドゥ・ソレイユは1984年にモントリオールで結成されたカンパニーで、アクロバット、音楽、衣裳、舞台美術が一体となった、ダイナミックで幻想的なステージが特徴。

 招聘元のフジテレビは、92年、「ファシナシオン」を東京・名古屋・大阪・札幌・横浜・仙台など全国8都市で上演。自社のメディアでの宣伝効果もあいまって、来場者は71万人を数えた。以来、大手企業の冠イベントとして定期的にロングラン公演を実施。また、2008年秋には東京ディズニーリゾート内に専用常設劇場「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」もオープンする予定で、話題となっている。

 このように民間のプロモーターやテレビ局の事業部などが招聘元となり、2000年代に入って、バブル期を思わせるような来日公演のラッシュが続いている。活況の理由としてあげられるのは、チケット代が平均1万円と下がったことに加え、海外旅行者の増加で、現地で本物のエンタテイメントを体験した20代後半から30代の女性がファンとして定着していることがあげられる。

 また、韓国において新興富裕層を中心に海外エンタテイメントの鑑賞がステイタスとしてブームとなっていることから、日本公演を合わせて韓国公演がブッキングできるようになったことも大きな要因となっている。今後、経済成長の著しい上海や台湾なども含めたアジアマーケットが確立する日も近いと言われており、海外舞台芸術作品の招聘は、ますます盛んになりそうだ。

 なお、2008年3月には民間テレビ局が本格的な劇場運営に乗り出し注目されている「赤坂ACTシアター」(1300人収容)がオープンする予定で、こけら落としには『ABBA GOLD』『リバーダンス』などの海外エンタテイメントが並ぶなど、今後もテレビ局の動向から目がはなせない。
 
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