The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
An Overview
2010.6.9
Japan’s Performing Arts on the Internet  
インターネット情報─坪池栄子(文化科学研究所)  
概況

 2000年に森喜朗内閣によって「e-Japan」が提唱されて以来、インフラの整備が進み、2006年2月現在のインターネット世帯普及率は57.3%(接続場所を問わずインターネットを利用している人がいる世帯は85.4%)に上っている。また、2003年に政府が重点計画の中で「コンテンツ政策の活性化」を掲げ、「日本文化への理解向上を図るため、様々な情報のデジタル化・アーカイブ化及び国内外への発信を推進」するとして、この領域の具体的な支援に着手した。

 これにより、国立国会図書館が、日本のデジタル情報にアクセスできる総合的なポータルサイト「PORTA」を構築し、日本国内のサイト上に存在する豊富なデータベース情報に直接リンクするゲートウェイ「データベース・ナビゲーション・サービス(Dnavi)」の運用をスタートするなど、インターネット上で日本の情報を収集できる環境が飛躍的に向上した(ちなみに、Dnaviの芸術・美術領域においてリンクされているデータベース件数は2008年1月現在で930件)。また、政府機関により地域の伝統芸能や古典芸能などのアーカイブ化も行なわれるなど、ネット上でこれまでにない情報も入手できるようになってきた。

 加えて、利用者の共同執筆により日々増殖しているフリー百科事典「Wikipedia」が日本語20万語、英語100万語以上を収録しているなど、ジャンルによって提供されている情報にばらつきはあるものの、特に古典芸能やアニメなどについてはかなりの基礎情報が英語で提供されている。また、CDやチケットのネット販売など商用サイトが発展してきたことにより、活用の仕方によってはそこから無料でニュースや最新情報を入手できる場合も多い。

 日本では、2002年ぐらいからブログが急速に広まり、今では多くの人がブロガーとして情報の受発信をするようになってきた。文化芸術の領域でもアーティスト、ジャーナリスト、プロデューサー、アートアドミニストレーターなど現場に関わる人が自ら発信者になるケースが増えている。日記的なものから最新動向がわかるものまで、玉石混淆だが、注意してウオッチングすると思わぬブロクを発見することもできる。ただし、英語で発信されているものはほとんどなく、また、個人ブログの情報はオフィシャルサイトとは異なるため情報の信憑性については注意をする必要がある。

日本の舞台芸術関係のサイト状況

歌舞伎
 歌舞伎の基本知識もWikipediaが充実している。英語では個人サイトだが、歌舞伎の基礎知識から役者や演目のDBまで紹介している「KABUKI21」が充実している。また、日本研究センター(Stanford Japan Center)を擁しているスタンフォード大学の日本関係のリンク集「Kabuki」が役立つ。歌舞伎の興行元の会社「松竹」の劇場「KABUKI-ZA」にも英語のページがあって上演スケジュールがアップされているが、この中の「KABUKI PAVILLION」には、隈取りを描く順序がヴィジュアルに見学できるなど、歌舞伎入門者に役立つ情報が掲載されている。また、「Let's take a look at the world of KABUKI」の「The world of sound」では長唄、竹本、清元 、常磐津などのサワリを聞くこともできる。
 日本語だが、財団法人日本芸術文化振興協会が運営する「文化デジタルライブラリー」では入門者向けに歌舞伎の基礎知識がヴィジュアルに紹介されている他、入門者向けの映像をみることができる。また、日本でも屈指の演劇関係の資料を収集した「早稲田大学坪内博士記念演劇博物館」のサイトには、 同博物館に所蔵されている4万7000枚もの歌舞伎の浮世絵データベースを検索できる「浮世絵閲覧システム」がある。この他、伝統芸能専門誌「KENSYO」のサイトでは古典芸能の役者のロングインタビューが掲載されている。また、地域で継承されている農村歌舞伎については、「歌舞伎・農村歌舞伎リンク」がもっとも充実している。

能・狂言/文楽
 「能・狂言」が世界無形遺産に認定されたのを機にサイト情報を充実する動きがでてきたが、まだ数は限られている。英語で広範な知識を得ることができるのは、Wikipediaの「Noh」と「Kyogen」のコーナー。能の総合サイトとしては、日本芸術文化振興会による「能楽への誘い」の基礎知識が充実している他、映像を見ることもできる。
 日本語のみだが、社団法人日本能楽協会のサイトには能楽の曲目(作品)のデータベースと全国約70の能楽堂のデータベースがある。イベント情報が充実している「能 狂言」、能楽師のホームページへのリンクが充実しているNPO法人せんすのHPなども便利だ。
 「文楽」について英語で広範な知識を得ることができるのは、やはりWikipediaの「Bunraku」のコーナー。文楽の総合サイトとしては、日本芸術文化振興会の「文楽への誘い」「文楽協会」のサイトがある。日本語のみだが、読売新聞関西発の「文楽の招待」というニュースのコーナーでは、文楽のホットニュースを配信している。

民俗芸能/文化財
 このジャンルでは、国や自治体のプロジェクトとして、日本の芸能や文化財を発信するための情報のデジタル化が図られている。日本語のみだが、「国指定文化財等データベース」、国や地方の有形・無形文化財の情報発信を目的とした「文化遺産オンライン」、地域の伝統芸術等の映像を公開し、英語・中国語・韓国語がある「地域文化資産ポータル」、北海道が運営し、産業遺産から文化施設まで道内のさまざまな文化的資源をジャンル別に紹介している「北海道文化資源データベース」など。まだ実験運用中のものもあるが、今後ますます充実していくと思われる。また、地域伝統芸能活用センターのホームページには全国の地域伝統芸能分野のデータベースがある。

現代演劇/現代ダンス
 現代演劇や現代ダンスについては、古典と比べて、Wikipedhiaの基礎知識は決して充実しているとは言えない。個別カンパニーや個人の評論サイトはたくさんあるものの、包括的な情報を入手できるサイトは限られている。代表的な総合サイトとしては、国際交流基金が運営している日本語・英語の月刊バイリンガルウェブマガジン「Performing Arts Network Japan」がある。アーティスト・データベース、戯曲データベース、フェスティバル・カレンダー、アーティストのロングインタビューなど充実したコンテンツとなっている。
 現代演劇については、日本語のみだがチケット情報を発信している商用サイト「シアターガイド」がニュースや記者会見情報などもアップしていて、最新の公演情報を入手するには便利。また、早稲田大学演劇博物館が運営する「デジタル・アーカイブ・コレクション」には現代演劇の上演記録のデータベースがアップされており、公演記録を調べるのには役立つ。現代ダンスについては、NPO法人Japan Contemporary Dance Network JapanのHPに100名を越えるアーティスト・カンパニーの情報が写真付きでアップされている(冊子は英語版がある)。

クラシック音楽
 日本のクラシック音楽については、NECが社会貢献として日本クラシック音楽協会と共同で取り組んでいる英語での情報発信をメインにした「NEC Navigates JAPAN CLASSICAL MUSIC ARTISTS」が最も充実している。洋楽だけでなく、邦楽の演奏家までカバーしたアーティスト・データベースはプロフィール情報に加え、CD情報、アクセス情報も入手できる。また、トピックスも発信しているので、定期的にチェックすることをお勧めする。また、国内外のオーケストラ、オペラハウスなどのリンク集は老舗個人サイトの「CLASSICA」が便利だが、日本語のみしかない。

邦楽
 邦楽(日本の伝統音楽)については、Wikipediaでかなり広範な基礎知識を入手することができる。また、日本伝統文化振興財団が運営する「じゃぽ音っと」には演奏家のデータベースや解説が充実している他、COLUMBIA MUSIC ENTERTAINMENTが運営する「日本の伝統芸能」には楽器解説や歴史的な解説が詳しく掲載されている。和太鼓については、全国の和太鼓奏者・団体を調べたい場合は、「和太鼓ドンドン・ドットコム」にデータベースがある。雅楽もWikipediaに詳しい基礎知識が掲載されているが、中田太三さんの個人サイト「雅楽」も充実している。また、邦楽専門誌の「邦楽ジャーナル」のサイトには演奏家などのリンク集がある。

その他劇場、ウェブマガジンなど
 Theatre Suportが運営する「HALL IN ONE」では全国約1500カ所のホールがデータベース化されている。また、旬のアーティストを取り上げるトレンドマガジンには「TOKYO SOURCE」「REAL TOKYO」などがあるが、いずれも日本語のみ。
 
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