The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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an overview
Support for the arts by public organizations in Britain
イギリスの公的機関の芸術援助

ロンドンのケース
それでは、ACE、RAB、地方自治体が、どのような政策、方針の下に実際にどのような活動を行っているのか、ロンドンを例にとって見てみよう。

ACE(アーツ・カウンシル・オブ・イングランド)
ACEは、政府とは若干距離をおいて活動している独立した非政治的な組織。中央政府からの公的基金と公営宝くじからの収益の分配をイングランド全体に行うことにより、芸術を発展、維持、奨励し、国民が芸術を楽しめるように運営されている。 ロイヤル・チャーター(特許状)によって定められたACEの役割は、次の3点だ。(1)知識や理解を発展改善し、芸術の実践を理解する。(2)一般市民が芸術により近づきやすいようにする。(3)政府、地方自治体、ACW、SAC、ACNIや関連団体と先の目的を直接的、非直接的に協力して行ったり、アドバイスする。
ACEの芸術部は、ダンス、演劇、文学、音楽、ヴィジュアル・アート、地方公演、観客開発、放送・ニューメディアの8部門に分かれており、各部門の専門家が働いている。委員会の中にも彫刻家や作家など現場のアーティストが含まれ、芸術家と自由な討論を重ねながら、よりよい形で資金配分が行われるようになっている。
ACEから援助金を貰っている団体には、ロイヤル・シェイクスピア劇団、ロイヤル・オペラ・ハウス、サウスバンク・センターなどがあり、ACE予算の30%がRABに配分されている。文化省から貰った99年度予算は、約2億2,700万ポンド。

ロンドン・アーツ・ボード(LAB)
91年にACGBの分科委員会として出発し、92年から全国を10地域に分割し発足したRABの一組織。LABは、ロンドンとその周辺の芸術助成を行っているエージェンシーで、ロンドンでの芸術のインフラストラクチャーをつくり、芸術活動を発展させ、奨励するのが主な仕事だ。
芸術部門には、演劇、複合芸術、ヴィジュアル・アート、文学、ダンス、音楽の専門家を含む18人が働いているが、今後ACEからより多くの責任や業務を引き受けるため、4月からは芸術部門だけでも31人に職員を増やす予定。委員会には、芸術、経済、放送、教育、運営管理など現場で活躍する人たちが含まれている。
資金は主としてACEとクラフト・カウンシルから貰っており、99年度予算は1,574万ポンド。1組織への年間助成金は、5,000ポンドから5万ポンドで、現在は128の芸術組織やアーティストを助成し、その成果をモニターしている。ACEと比較すると、中・小規模の芸術団体の助成やコミュニティベースの芸術活動のサポートをしている。

ウェストミンスター・シティ・カウンシル(WCC)
ロンドンとその周辺に34ある区の中でも芸術団体がたくさん集まっている市内中心部を管轄とする地方自治団体。
86年まではロンドン市内の芸術助成は、ロンドンとその周辺全体を統括する地方自治体、グレーター・ロンドン・カウンシル(GLC)とその関連組織であるグレーター・ロンドン・アーツ(GLA)やインナー・ロンドン・エデュケーション・オーソリティ(ILEA)が行っていた。ところが、サッチャー前首相は、GLCが左翼的で何かというと政府の政策に楯突くので、86年にGLC自体を全面的に廃止してしまった。そのため、ロンドンとその周辺の地方自治体は、急遽これまでGLAやILEAが行ってきた芸術助成の一部を肩代わりして行わなければならなくなり、今日に至っている。
WCCの芸術課は教育部の中にあり、13年前は1人で業務を担当していたが、現在は2人に増員されている。
WCCはロンドンの中心部を管轄としているため、全国レベルの大規模な芸術団体がたくさんある上に、ロンドンのみの芸術団体、WCC地区のみのコミュニティ団体も存在するという特殊な立場にある。そのため、WCCでは、地域住民のためだけでなく、ロンドンを訪れる来訪者も含めて考慮し、芸術援助を行っている。
WCCに拠点を置く組織、プロジェクトやイベント、アーティスト・イン・レジデンスなど教育関係、新しいアイディアを発展させるイニシアチブ基金などに対して援助が行われている。
99年度の年間予算は120万ポンドで、芸術予算はロンドンの中でも多いほうだ。それは伝統的にWCCが芸術を大切だと考えていることと、芸術の発展が観光など地元の就業活性化に役立つという利点もあるからだ。
芸術援助を行うかどうかは、その組織やプロジェクトが地元の地域社会に関係あるか、その活動をしてほしいという要求があるかなどによって判定している。芸術援助の募集は、図書館などに張り紙を出し、年に4〜5回異なった時期に、それから2〜3カ月後の援助を求める団体やプロジェクトを募っている。
WCCでユニークなのは、地元住民で芸術文化に関心のある人に、外部のカード会社を使ってレス・カードという特別な住民用カードを発行していることだ。例えば、WCC地区のレス・カード・システムに加入している美術館や劇場で、このカードを見せれば、10〜50%の割引が受けられ、割り引き分を美術館や劇場が後でWCCに請求し、芸術援助金から支払われるというシステムだ。現在地元住民の4分の1がこのカードを所有していて、大変評判がよいという。

アーツ・カウンシル・オブ・イングランド参考資料
1979年度以降の政府からACGB/ACEへの芸術助成金
1979/80
63,125,000
ポンド ACGB
1980/81
70,970,000
   
1981/82
80,450,000
   
1982/83
91,300,000
   
1983/84
96,080,000
   
1984/85
101,900,000
   
1985/86
106,050,000
   
1986/87
135,600,000
   
1987/88
139,300,000
   
1988/89
152,411,000
   
1989/90
155,500,000
   
1990/91
175,792,000
   
1991/92
205,000,000
   
1992/93
221,200,000
   
1993/94
225,830,000
   
1994/95
185,990,000
  ACEに
1995/96
191,100,000
   
1996/97
186,100,000
   
1997/98
186,100,000
   
1998/99
189,600,000
   
1999/2000
227,300,000
   
2000/2001
237,300,000
   
2001/2002
252,300,000
   
 
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