The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents

文学座アトリエの会『エスペラント〜教師たちの修学旅行の夜〜』
(2006年/文学座アトリエ)
撮影:飯田研紀
Data
[初演年]2006年
[上演時間]1時間40分
[幕・場面数]一幕
[キャスト数]12人(男7・女5)
art interview
Japanese Drama Database
Contact
Play of the Month
2006.7.6
Esperanto--A Night on a Student Trip for Teachers   Go Aoki 
エスペラント〜教師たちの修学旅行の夜〜 青木 豪 
十和田湖の近くにある古びた旅館の、別館と本館をつなぐスペースを舞台に、さまざまな人生を背負った高校教師たちのすれ違いの人間関係が描かれていく。
5月。修学旅行の最後の夜。消灯時間はとうに過ぎている。
奥の別室では、先生たちのミーティングが開かれようとしている。
星先生と松下先生が、将棋を指しながら、脱走する生徒を警戒している。

このあと、以下のような複数の出来事が、平行して錯綜しながら起こっていく。

星と貴子先生は恋人同士だが、星が今ひとつ煮え切らない態度をとり続けている。

泊まり客・野口は、男湯で人が溺れていると騒ぐが、それは女湯との境に立てられていた高村光太郎の「乙女の像」のレプリカだった。誰かが女湯を覗こうとして壊してしまったらしい。

笹木先生は高校時代の星の家庭教師であり、星はいまの職につくときも笹木先生の世話になっていた。笹木は星の貴子に対する煮え切らない態度を、浮気性だった母親の姿につまずいて、女はみんな信用できないみたいな気になっているのかとたずねる。それはあると答える星に、笹木は君の人生は君だけのものだ、この修学旅行中にプロポーズをしてしまえ、と励ます。

帰国子女の生徒・狩場七恵は、アメリカで9.11を経験してきており、父の同僚がみな犠牲になっていた。そのせいかうまく眠れず、悪い夢にうなされてばかり。テロリストもアメリカも、なにもかも許せないような気になって、えらそうに英語を喋る自分もイヤになっていた。

エスペラントの会に入っている野口が、どこの国の言葉でもないエスペラントを教えてあげようかと狩場に。宿のカウンターに貼られた宮沢賢治のエスペラント詩「企てと無」を読み、絶望の詩であると自分の解釈で訳してみせる。「子供が良い服着て、傲慢なごど言っててよ。んで太陽は隠れぢまっで川は凍ってんだべ? 自分が歪んでんのかも知れねぇけど、この先の道は凍って見えんなぁ」と。

笹木には昔愛人がいて、よくねぶた祭りに来ていたという噂を耳にした星は、母が最初に浮気した相手はあなたかと聞く。一緒に来たことはあるが最初の一人ではないと答える笹木。笹木は「そんなに希望が欲しいの? 結婚しようが子供が産まれようがさ…将来が保障されてる人間なんてどこにもいないよ。それを受け入れろよ」と言う。

星は思い切って貴子にプロポーズする。

今年定年の笹木は、家庭も冷え切っており、退職したら高校時代の同級生である旅館の女将・明世に、旅館を手伝いにきてもいいかと申し出る。バツイチ+娘ひとりである女将への、それとなしのプロポーズとも取れるが、結局断られる。

星のプロポーズを聞いた笹木は、「良いなあキミらは/目の前の道が凍ってなくて」とこぼす。

女風呂の覗きの犯人が、添乗員の黒川であることを見抜いた野口は、笹木に、定年したら添乗員の仕事なんかどうですか、少し心当たりがありますと申し出る。

作者プロフィール:[生年]1967
神奈川県出身。明治大学文学部文学科演劇学専攻卒。劇団グリング作品のすべての作・演出を務める。舞台にとどまらず、『中学生日記』(NHK脚本)や、『IKKA:一和』(第11回PFFスカラシップ作品)の共同脚本、ラジオドラマの脚本も手がける。
http://www.gring.info/index.html
 
TOP