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南の島に雪が降る
南の島に雪が降る
南の島に雪が降る
ベッド&メイキングス第3回公演『南の島に雪が降る』
(2014年6月12日〜22日/お台場潮風公園内「太陽の広場」特設会場)
撮影:引地信彦
『南の島に雪が降る』特設テント設営&解体作業の様子
Data
[初演年]2014年
[上演時間]2時間50分
[幕・場数]2幕26場
[キャスト]12名(男10名、女2名)
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Play of the Month
2014.12.4
Minami no Shima ni Yuki ga Furu (Snow falls on the South Seas island) by Mitsunori Fukuhara 
福原充則『南の島に雪が降る』 
俳優・加東大介が従軍経験をもとに書いた小説を、脚本家・演出家の福原充則の脚色により戯曲化。過酷な状況下、芝居に情熱を傾けることで生き抜いた個性溢れる男たちの物語。俳優・富岡晃一郎とのユニット「ベッド&メイキングス」により、土の匂いのするテント芝居として初演された。
 プロローグ。芝居小屋。役者の加藤徳之助が、妻・京町みち代、姉・沢村貞子と共に『関の弥太っぺ』を上演する中、召集令状が届く。

 ニューギニアのマノクワリ。兵士たちは祖国に想いをはせている。杉山中尉は伍長になった加藤に、内地での役者経験を生かし、飢えた兵士に生きる望みを与えるための“演芸分隊” を作ることを提案する。

 オーディション会場。宴会芸ばかりの中から、レコードを出したことがある今川一等兵、田舎の役者だった鳶浜助夫一等兵、如月寛多の芸名で活躍していた青戸光兵長、また裏方として実家がカツラ屋だった小沼茂四郎上等兵らを採用。もとは浅草の芸人だった叶原利明伍長と加藤も加わり、どうにか一座が出来上がる。

 兵舎。もめごとが多くなかなか稽古が進まない。加藤と叶原と青戸が外で話している。加藤は内地で如月寛多に会ったことがあり、青戸とは見た目が違いすぎると指摘する。実は青戸は如月ではなく、ただのドサ回りの役者だった。

 叶原は「ウソでも、死んでいく兵士が“俺はあの如月寛多を観た”と思うことが救いになる」と、青戸を残すよう説得する。「お前くらいがこの分隊にふさわしい」と言う加藤に、青戸は、内地で加藤がしてきたいわゆる本物の芝居が、「今、誰かの生きる糧になる自分の偽物の演技より上だと言い切れるか」と詰め寄る。

 港。慰問に向かう貞子とみち代は爆撃にあい、ボートで海を漂流する。

 将校集会所、本番前の楽屋で準備をする分隊。開幕、観客席の兵士たちは、演技ではなく、現地にはあるはずもない着物や女形、作り物の柿に騒ぐ。終演後の楽屋で落ち込む一同に、杉山中尉が常打ち小屋の建設を提案。「今日が最後の観劇だった者もいるだろう。生きている者は芝居をしよう! 死んでる者も観に来るはずだ」という杉山の言葉に分隊は励まされる。

 完成した「マノクワリ歌舞伎座」のこけら落とし公演中、爆撃音が響き芝居は中断。ガッカリしつつも、爆撃で死んだ馬の肉が配給されると聞いて兵士たちは盛り上がる。

 だが馬肉を取りに行った前川が持ち帰ったのは馬のシッポ。「かつらに使う」という名案に一同は喜ぶが、「俺は肉を食いたかった」と今川は怒る。そこで加藤が「われこそは役者だと思う者は、たらふく馬肉を食え!」と言うと、一同、料理を食い、酒を飲み、女を抱く“演技”を始める。

 静かに一人外に出た鳶浜を追う加藤。自分は女を知らないと言う鳶浜に、経験のないことでも演じるのが役者だと教える。

 数日後、中断した芝居が無事最後まで上演された。兵士たちが、劇中の少女「お小夜」が、母や妹、妻や初恋の女性に似ていると押し寄せる。彼らは「お小夜」の化粧を落とした前川に気づかず、彼女に渡してくれと差し入れを置き、去っていく。

 前川が女形を武器に食べ物を独り占めしていることが発覚し、面白くないともめる分隊。「お小夜」を持ち回りで演じる案も出るが、前川は「死んでいく仲間が最後に惚れる女がお小夜だ、自分を好く人が次々戦場で死んでいく経験は、自分だけで充分」と苦しい思いを吐露する。

 そこに、加藤を内地に戻す転属命令が入る。加藤は気持ちが揺れるが、大詰めの演出を思いつき、留まることを決意する。

 大詰め。紙吹雪に大迫力の殺陣と、舞台は大成功をおさめた。終演後、鳶浜が「3日前、日本が無条件降伏をしていた……」と客席に報告する。

 エピローグ。劇場解体を進める兵隊たち。実際に劇場は解体され、観客の目の前には現在の東京の街が浮かび上がる。と、遠くから貞子がボートに乗って現れ、加藤と再会する。芝居小屋に敬礼した兵士たちは、それぞれの道へと歩み去る。

作者プロフィール:
1975年、神奈川県出身。2002年、ピチチ5(クインテット)を旗揚げ、主宰と脚本・演出を務める。06年には俳優・森谷ふみ、光瀬指絵と「ニッポンの河川」、11年には俳優・富岡晃一郎と「ベッド&メイキングス」をそれぞれ立ち上げ、複数のユニットで活動。近年の作品に、ピチチ5『はぐれさらばが"じゃあね"といった』、ニッポンの河川『大地をつかむ両足と物語』、ベッド&メイキングス『未遂の犯罪王』(全て作・演出)など。外部への参加も多く、コントユニット親族代表(脚本・演出)、大槻ケンヂ作詞の楽曲を元にした『サボテンとバントライン』(作・演出)、女優・高田聖子のユニット・月影番外地『くじけまみれ』など。宮崎あおい主演による『その夜明け、嘘。』で第54回岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネート。06年度若手演出家コンクール観客賞受賞。近年は映画・テレビ・ラジオのドラマ脚本などでも活躍。
 
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