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HEADS UP !
HEADS UP !
ミュージカル『HEADS UP !』
(2015年11月13日〜23日/KAAT神奈川芸術劇場)
[原案・作詞・演出]ラサール石井
[脚本]倉持裕
撮影:國田茂十
Data
[初演年]2015年
[上演時間]2時間30分
[幕・場数]2幕
[キャスト]23人(男14・女9)
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2016.3.31
HEADS UP! By Yutaka Kuramochi and LaSalle Ishii 
倉持裕・ラサール石井『HEADS UP!/ヘッズ・アップ!』 
 演出・作詞を担当したラサール石井が10年以上も温めてきた原案を元に、ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕が台本にまとめたミュージカル。とあるミュージカルを上演することになった地方の劇場を舞台に、芝居を愛する裏方たちの夢や挫折、人生をコミカルに描いた劇場へのオマージュ。さまざまなトラブルを乗り越え、1本の芝居を終えるまでの“仕込み”“本番”“バラシ”が作品の中で展開される仕掛け。
 仕込み前の舞台に劇場職員の熊川が登場。ここが某地方都市の劇場「黎明会館」であること、今日は名優小山田丈太郎主演によるブローウエイミュージカル『ドルガンチェの馬』の1001回目の公演があること、これから搬入が始まり、何もない舞台が別世界に生まれ変わることを告げる。#1『劇場で起こること』

 気弱そうな新人舞台監督・新藤が登場。#2『古い劇場』 
 ブロードウェイ留学帰りで、前舞台監督・加賀美の助手だった新藤にとって今日は舞台監督デビューの日。主演女優の交替など不安材料がいっぱいだが、「うまくやってみせる」と自分に言い聞かせる。

 不良あがりで一癖も二癖もある裏方集団・如月社の3人が掃除機を背負ったゴーストバスターズ・スタイルで登場。兄貴と慕われる加賀美も加わり、「舞台で光浴びる者を 闇にまぎれて守る」と歌う。

 裏方が顔を揃えた朝礼が始まり、ボランティアの若者・慎也も参加。参加できなくなった演出助手ゆりちゃんのピンチヒッター、立川が普段は本番に立ち会わない演出家が今日は来ると伝える。

 仕込み開始。バトンが降りてくる。ブロードウェイではこういうヘルメットを着用する危険な作業時間を「Hard hat time」と言うと立川。「Heads Up!(上に気をつけろ。転じて、元気を出して上を向け)」と歌いながら作業が始まる。#3『ハードハットタイム〜ヘッズ・アップ!』

 慎也が足袋に履き替えたときに、脱いでバトンに掛けた靴が上に消えていく。

 遅れていたトラックが到着するが、トラブルでセットが半分しか届いていない。

 「今やれることをやるんだ」。如月社・久米の音頭であり合わせの材料を使い、何とか砦を完成させようとする。#4『Do it!』 

 衣裳助手のまきは女優志望。役者から裏方にまわる人間は多いのよ、と持ち道具係の桃子。二人が歌う。#5『いつかきっと』 

 加賀美の別れた妻で、代役でヒロインを務めることになった女優ひかるが、加賀美に絡む。実は、かつてこの作品でヒロインを務めるはずが、稽古中の事故で降板。舞監だった加賀美はそれをずっと悔やんでいた。#6『あの日から』 

 主役の小山田が登場し、唐突に主役のソロ、#7『キング』を歌い出す。どうやら高齢でボケ始めているらしい。

 砦は完成するが、ラストの“馬”もない。新人舞監の新藤はまたパニックに。

 慎也は、黎明会館が閉館になると聞いてボランティアに参加した。アニメ映画にヒーローショー、子どもの頃は憧れの場所だった。#8『劇場リプライズ』 

 女癖の悪い演出家・海老沢が登場。間に合わせのセットを見て、公演の中止を要求する。絶対にやると対抗する制作。#9『チケットは売れている』 
 横柄な態度にまきもキレ、皆で彼を縛ってセットに閉じ込める。

 開場の時刻、緞帳が上がる。

 #10『ドルガンチェの馬〜キング』
 コーラスをバックに小山田とひかるが歌う。上から、慎也の靴が落ちてきて、つられて歌詞が「ドルカンチェの靴〜」に。
 #11『ドルガンチェの馬〜ラスト』
 大詰めで間に合わせのセットを隠していた幕がはがれ、材料に使っていた“黎明会館”の看板が見えてしまう。「ドルガンチェ〜」と歌うべきコーラスが「黎明会館〜」に。看板が電飾で光り輝き、幕。

 バラシが始まった。#12『夢は終わった』とともにセットが崩され、NGシーンが回想される。

 如月社・滝はバラシが大好きだ。#13『奴をバラせ』 
 不良だった頃に如月社の社長に拾われ、ヒーローショーに出るようになった。

 久米には、酒に溺れて女房を病死させた苦い思い出がある。#14『酒のダンス』
 ヒーローショーで慎也憧れていたのは、久米が演じていた悪役の怪人。「この劇場で繋がっていた」#15『Chain』
 道具を運ぶ加賀美の後姿を見ながら、ひかるも同じフレーズを歌う。

 海老沢に、立川が演助につくはずだったゆりの妊娠を告げる。#16『キング』リプライズ
 海老沢は「愚かなキング 裸の王」と歌う。

 小山田の述懐。30年前、ここで上演するはずだった『ドルガンチェ〜』は本番中に火事になり中止に。最後まで観客の避難誘導をしていた劇場職員が亡くなった。一度上げた幕は下ろさなければならないと、今回の公演を決めた。

 新藤はみんなの助けがなければ公演できなかったと、自分の力のなさに落ち込んでいる。一人で全部できるわけがない、Heads Up!だと加賀美が励ます。#17『一人じゃない』

 加賀美は次の生き方を探すと言う。ひかるは、舞台を続けることに決めた。#18『Chain』『あの日から』リプライズ

 熊川がやってくる。新藤は、熊川こそ30年前の火事で観客を守った劇場職員だったと気づく。#19『劇場で起こること』リプライズ

 トラックの音が聞こえる。「搬入だ!」と舞監の声が響く。

ラサール石井 プロフィール:
1955年大阪生まれ。お笑い芸人、俳優、声優、演出家、脚本家。早稲田大学在学中にミュージカル研究会と声優の養成を行う劇団テアトル・エコー養成所に所属。同養成所で知り合った渡辺正行、小宮孝泰とコント赤信号を結成し、お笑い芸人としてテレビ、舞台で活躍。1996年からテレビアニメで放映された『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公・両津勘吉の声が声優として当たり役となった他、俳優としてテレビ、舞台に多数出演。2001年から本格的に舞台の脚本・演出を手掛けるようになり、舞台版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(脚本・演出・主演、2001)、東京ボードヴィルショー『トノに降る雨』(演出、2012)こまつ座公演『てんぷくトリオのコント〜井上ひさし笑いの原点』(脚本・監修、2014)、ミュージカル『ヘッズ・アップ!』(原案・作詞・演出、2015)など人情味溢れるコメディタッチの作品を次々に発表。『ヘッズ・アップ!』で第23回読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞。
 
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