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どどめ雪
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どどめ雪
月影番外地『どどめ雪』
(2016年12月3日〜12日/下北沢ザ・スズナリ)
演出:木野花
Data
[初演年]2016年
[上演時間]
[幕・場数]
[キャスト]6(女4・男2)
Japanese Drama Database
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Play of the Month
2017.3.3
Dodome Yuki (Muddy-purple Snow) by Mitsunori Fukuhara 
福原充則『どどめ雪』 
 劇団☆新感線の女優・高田聖子によるユニット「月影十番勝負」に、福原充則(ベッド&メイキングス、ニッポンの河川ほか)が書き下ろした会話劇。谷崎潤一郎の長編小説『細雪』に着想を得、さまざまな事情を抱える四姉妹を軸に、平凡に暮らしていると思っていた人々が、見て見ぬ振りをしてきた現実に翻弄されていく姿を、四季の変化に擬えて、コミカルに、優しく、シビアに描く。
 長女・鶴子、次女・幸子、三女・雪子、四女・妙子の四姉妹は、高さ120メートルもある大仏がシンボルの地方都市暮らし。鶴子、雪子は独立し、大仏が見える古い平屋の実家には幸子・貞之助夫婦、ひねくれた性格の妙子が同居し、貧しいながらも一見平穏に暮らしている。

 春。雪子が見合い相手の高梨を実家に連れて来る。久々の四姉妹が揃った会食中に、妙子は、雪子の元カレがヌード写真をネットで公開しているという家族の秘密を暴露してしまう。

「そんなことは気にしないから、結婚しよう」と言う高梨に、自分の気持ちを誰にもうまく説明できない雪子。数日後、高梨は再び実家を訪れ、雪子を説得する。

 夏。正義感の強い鶴子は、夫の建築会社の手抜き工事を告発したことがきっかけで離婚。情緒不安定になり、実家に転がり込む。結婚したと嘘をつき、バイト暮らしの高梨と同棲することにした雪子も生活費を節約するため実家暮らしをはじめる。幸子・貞之助夫婦は、家族としてみんなを受け入れる。

 貞之助が警備員として働いているアウトレットモールでは、窓ガラスが割られる事件が発生するが、幸子・貞之助夫婦は残業代が稼げると喜ぶ。ある日、自分たちの家まで被害にあい、脅迫状からどうやら犯人はアウトレットモール建設に反対していた商店街の関係者らしいとわかる。鶴子は持ち前の正義感から「アウトレットモールにも問題がある、こちらが勉強不足だ……」と、脅迫相手と文通をはじめる。

「ささいな正義感なんて持たずに堂々と生きてほしい」と、幸子が鶴子を諭していたとき、天井を突き破って石が飛んで来る。外に飛び出した鶴子は、トラックにひかれそうになるが、幸子は反射的に不思議な力を発揮して、鶴子の命を救う。

 秋。妙子には12年前、中学の同級生を川に突き落として殺した過去があった。罪は償ったものの、賠償金の支払が滞っていたことが今頃になって報道される。それが原因で貞之助も雪子も仕事をクビになる。家を売らなければならないほど逼迫した家計を何とかしようと、家族全員で夜中の不法投棄防止を監視するアルバイトに出かける。

 幸子は高梨だけに、指を指すだけで物を動かせる“幸子パワー”があることを打ち明ける。その場にいる全員が同じことを願わないとこの力は働かない。そんな話をしていた時、雪子が近くの川に落ちてしまう。溺れながら「進む道を決めるには、どっちを向くか決めればいい」と何かを悟った雪子は、自力で這い上がる。

 一方、川を流れる雪子を見ていた妙子は12年前の事件を思い出し、実は故意に突き落としたのではなく、事故だったと話す。誰にも信じてもらえないと思い、言い訳するより罪を認める方が楽だったと妙子。

 冬。家を出る日、家族全員で引っ越し作業をしていると、大音響が響きわたる。手抜き工事を疑った鶴子が現場に入り込み、巨大な杭打ち機に乗り込んで操作したためにマシンごと倒れたのだ。

 ぐったりとした鶴子に、「“幸子パワー”を使う時だ」と促す高梨。本当に助けたいのか選択を迫られる幸子。自分の心がわからないまま勇気を振り絞った幸子パワーで鶴子は生き返る。そこに降る、一筋の雪。

 数年後。姉妹それぞれが、それなりの人生を送っている。58歳になった幸子を通り魔が刺す。一緒にいた鶴子は幸子を真似て「せーので、同じことを思ってください!」と野次馬に呼びかけるが……。

プロフィール:
1975年、神奈川県出身。2002年、自ら作・演出を務めるピチチ5(クインテット)を旗揚げ。06年には俳優・森谷ふみ、光瀬指絵と「ニッポンの河川」、11年には俳優・富岡晃一郎と「ベッド&メイキングス」を立ち上げ、複数のユニットで活動。生活感溢れる普通の人々を主人公に世界を作り上げる手腕に定評がある。近年の作品に、ピチチ5『はぐれさらばが"じゃあね"といった』、ニッポンの河川『大地をつかむ両足と物語』、ベッド&メイキングス『未遂の犯罪王』(全て作・演出)など。女優・高田聖子が主宰する月影番外地や劇場プロデュース公演など、外部への作品提供も多い。『その夜明け、嘘。』で第54回岸田國士戯曲賞最終候補、『つんざき行路、されるがまま』で第59回岸田戯曲賞最終候補。近年は映画・テレビ・ラジオのドラマ脚本などでも活躍。
 
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