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Presenter Interview
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ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが移転して3年バービカン・シアターの新戦略




『エレファント・バニッシュ』
Photo by Joan Marcus
──BITEの演目はどのように選ぶのですか。
BITEには実に多様な演目が混ざっています。まず、ピーター・ブルック、蜷川幸雄など世界的に有名な演出家の作品を選び、それと同時に挑戦的、意欲的なコンテンポラリーな作品も選びます。さらにコンテンポラリーダンスと音楽が大きな比重を占めている舞台仕立てのミュージック・シアターの演目を選びます。重要なのは、質の高い作品を選ぶこと。なので国別のテーマ設定をして作品を選ぶといった方向では考えていません。まず、その年に上演する優れた作品を何本か選び、その作品に対して表現として拮抗するような作品とか、演劇・ダンスなどのジャンルのバランスとか、有名人・新人などのバランスとかを考えながらラインナップを組んでいきます。どこかの国を1年間特集することはないと思いますが、一つの国から複数の作品を招聘することはありえます。

──作品選定にあたっての情報はどこから得るのですか。
私はあちこち海外に出かけて作品を見ますが、どの作品を見るかは業界の誰かの推薦によります。BITEはフェスティバルの変形のようなものなので、他の国際フェスティバルのプログラムを参考にすることもあります。手紙による売り込みや提案も大量に来ますし、外国の文化部門のひとたちが面会に来ることもあります。蜷川さんのように評判がよくて、別の作品を招聘することもあります。

──BITEの客層は?
BITEにはフェスティバルに近い面もありますが、客層という意味では少し異っています。国際フェスティバルは短期集中型なので、それを目当てにいろいろなところから観光客が来たりしますが、1年を通して海外の作品を紹介するBITEの観客は大半がロンドンの人で、観光客はほとんどいません。ただ、日本の舞台を紹介すればロンドンにいる日本人がたくさん来るといったことはあります。

──これまでどのような日本関係の舞台が紹介されましたか。また、どのような作品がヒットしましたか。
蜷川幸雄の『近代能楽集』『身毒丸』『ハムレット』、ダム・タイプの公演を行ないました。それから日本関係ではコンプリシテと世田谷パブリックシアターが共同プロデュースした『エレファント・バニッシュ』、スイスのローザンヌの劇団Theatre Vidyが上演した『Hashirigaki』には日本の民謡が使われていて、日本人女優も出演していました。『エレファント・バニッシュ』は、BITEの中でも最も成功した作品のひとつだったので、2シーズン公演しました。これがロンドンの観客に非常に受けたのは、第1に作品がすばらしかったこと、第2にサイモン・マクバーニーとコンプリシテの知名度が高かったこと、第3に作家の村上春樹は英国でカルト的な人気があり敬意が払われていること、という3つの要素がうまく作用しあったからだと思います。私も見ましたが本当に素晴らしい作品でした。蜷川作品では、日本の生活が見えてくるような舞台の方に人気があったように思います。
この他、ヒットした作品としては、ピーター・ブルックの公演はチケットが完売しましたし、アフリカのダンス、英国のアビー・シアターの公演も人気でした。アメリカのロバート・ウィルソンも評判になりました。あまり知られていないウクレレ・オーケストラ・オブ・グレート・ブリテンという奇想天外なグループも大人気でした。
ちなみに、今年度は過去6カ月、チケット販売は非常に好調で、大半の作品に予想以上の観客が入りました。常に予算内で仕事ができたので上々だと思います。

──BITEが始まって数年になりますが、方向性が変わった点がありますか。
年間を通してBITEをやるようになってから、少し変わりました。期間が半年から1年と2倍になったからといって、作品本数を2倍にするのは、資金的にも集客面でも無理でした。それで何本かの作品については公演回数を増やし、何本かの作品についてはバービカンシアターで自主プロデュースをすることに決めました。それで、昨年、はじめてロバート・ウィルソンの『ブラック・ライダー』をプロデュースし、バービカンシアターで5週間公演した後、サンフランシスコとシドニーで海外公演を行ないました。現在、制作中のデボラ・ウォーナーが演出する『ジュリアス・シーザー』は、パリ、マドリッド、ルクセンブルグでの海外公演が決まっています。

──海外公演のメリットは?
海外公演を行なっても利益は上がりませんが、共同プロデュースしてくれる、作品づくりに出資してくれるパートナーが見つかるというメリットがあります。制作したのは大変コストの高い作品ですが、これは共同制作のパートナーなしにはできないことでした。

──今後も国際共同プロデュースを行う予定ですか。
コンプリシテと世田谷パブリックシアターが共同プロデュース作品を企画しているという話もあるので、そうなれば、バービカンはその一端を担いたいと話しました。

──今後日本の作品を上演する予定は?
現在のところ特にありませんが、いつ話があるかは分かりませんからね。蜷川さんの作品には興味をもっていますが、まだ具体的にはなっていません。
 
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