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Presenter Interview
LG Art Center is an emerging theater in Seoul operated but a corporate philanthropic foundation and targeting a middle- to wealthy-class audience
中間富裕層をターゲットにした新劇場が台頭企業メセナで運営されるソウルのLGアートセンター


──LGアートセンターは今年5周年を迎え、最近、レパートリーの傾向が少し変化したように思います。オープニング当時は、ピナ・バウシュをはじめ海外の話題作の招聘公演など、実験的でアート的な公演が中心だったのが、最近は『オペラ座の怪人』『美女と野獣』『アイーダ』など、大衆的な大型ミュージカルが中心になっていますよね。
皆さんにそう言われます(笑)。でも、今言われたミュージカル公演の中で実際に私たちがかかわったのは、『美女と野獣』の共同製作だけです。共同製作といっても、資本を投入したわけではなく、劇場施設を提供するという形です。後の2本は貸館公演です。基本的には、当初からの運営理念の一つである“海外のクオリティの高い作品を時差なく提供し、芸術の地平を新しく拡大する”というところから変わっていません。ミュージカルブームで焦点が当たりやすくなっているし、特に大型ミュージカルは宣伝量も違いますから、LGアートセンターが商業的に変わったというイメージが皆さんの中にあるようです。先ほどもお話しましたが、確かに私たちの劇場は、LGグループという企業体が背景にあり、その企業体の中にある文化財団が運営しています。そうは言いながらも、やはり劇場の自主企画だけでは難しい……特に最近は金利が下がっていますからね(笑)。貸館は必要条件です。
ミュージカル公演に対する長期貸館が多いのは、ソウル市内にミュージカル公演をできる規模の劇場が少ないからです。ミュージカル可能な公共劇場はいくつかありますが、やはり公共ですから、長期の貸館は無理でしょう。それに、大型ミュージカルを製作できる会社がいくつか成長してきていてミュージカル劇場へのニーズが生まれていた。具体的にお話すると、『美女と野獣』の場合、製作は韓国のゼミロ(Zemiro)とソル・アンド・カンパニー(SEOL&CONMAPY)、そしてディズニー・シアトリカル・カンパニーの3社です。ゼミロとソル・アンド・カンパニーは『オペラ座の怪人』を製作もしています。主催は、LGアートセンター、ライズオン(RizeOn)、放送局のSBSの他、製作投資会社も関わっていました。私たちとしては、韓国でロングランがどれくらい可能なのかというサンプルづくりと、観客の動向調査のためにも、このようなミュージカル公演に貸館をしています。
また、自主企画でいい作品を提供していくためには、海外に作品を調査に行くことから始まり、2年、3年の準備期間が必要です。貸館の間は、その準備に時間を割けられますからね。今は貸館と自主企画の割合がほぼ半々、自主企画は15−20本です。ただ自主企画といっても、演劇、ダンス、室内楽、独唱、ジャズなどの音楽とジャンルが多様なので、それぞれの数はそんなに多くはありません。とはいっても、劇場の技術的な管理を担当する技術部、総務的な役割、全体の運営管理、作品決定をする運営部、実際の制作、劇場の貸館管理をする企画部の3部署に、それぞれ7〜9人の人員体制ですから、結構忙しいですよ。

──この5年間の自主企画のレパートリーをみると、どのジャンルも圧倒的に海外からの招聘公演が多いようですが、国内作品の公演に関しては、どのように考えていますか?
国内の演劇作品を上演したこともありますが、大学路(ソウルの演劇街で小劇場が50余り密集している)で公演されているような演劇は、LGアートセンターの立地的な条件も含め、なかなか成功例がありません。LGアートセンターの会員は13万人ですが、その多くは江南(カンナム)から南に広がる新興都市の住民、20−30代の女性が中心です。この人たちが私たちの観客、いうならば顧客ですが、国内作品に対する関心は低いですね。彼らを対象とした特化された作品、LGアートセンターのスタイルを追求した国内作品が必要です。でも、観客に合わせて作品をつくるというわけじゃありません。新しい分野を開発する必要があるということです。その試みとして、長期的な海外アーティストとの交流、共同作業を通じて、国内作品の多様性を広げる作業を今後展開するつもりです。その一環として、今年はピナ・バウシュ・プロジェクトを6月に準備しています。これは海外からの作品を、言葉は悪いですが買い付けて、公演してきた今までの招聘公演とは違うものです。LGアートセンターで企画の発案から製作までというのは、今までほとんどなかったのですが、その本来の意味での自主企画であり、プロデュース公演のスタートになると思います。

──ピナ・バウシュ・プロジェクトを含めて、今後のLGアートセンターの活動について、お聞かせください。
この5年の間、先ほどもお話しましたが、世界ネットワークを構築しながら海外のクオリティの高い作品を時差なく提供し、韓国内における芸術の地平を新しく拡大するということを中心にしてきました。その役割はある程度は果たせたと思います。もちろん、これは今後も大きな柱になりますが、それと合わせ、舞台製作、創作にも力を入れていくつもりです。韓国をキーワードに、国内のアーティストと海外のアーティストの共同作業と交流を通して、新しい創作作品を作っていきたいですね。この最初の一歩がピナ・バウシュ・プロジェクト(6月22日〜26日公演)です。ピナ・バウシュさんは、2000年のオープニング公演、そして2003年にも公演していただいています。その過程から、今回“大韓民国”をキーワードに作品作りをしていただくことになりました。すでに2004年の秋に来ていただき、約2週間滞在し、韓国のアーティストたちとも会いましたし、伝統芸能を含め韓国的な様々なものを見ていただきました。これを世界初演で公演します。具体的な稽古はこれからですし、海外のアーティストと長期的な視点で作品づくりをするのも初めてですので、試行錯誤をしながら、これからどのようなシステムを構築すれば、このような交流事業が可能かを見極めていきたいと思います。日本からも多くの人が観に来てくれるといいですね(笑)。また、海外といえば、今までヨーロッパなど西洋が中心でしたが、日本も含めてアジアについても現在検討しています。劇場があるわけですから、ステップ・バイ・ステップで、長期的な展望を持ちながら、一つずつ積み重ねていこうと思います。

 
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