The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
A look into the activities of the JCDN, a pioneering arts NPO dedicated to getting out information about the Japanese contemporary dance scene.
日本のコンテンポラリーダンスの情報源 アートNPOの草分けJCDNの活動とは?
佐東範一
──日本のコンテンポラリーダンスを海外はどう評価しているのでしょうか。
とても注目されているのではないでしょうか。新しい身体表現をつくりだした舞踏の流れが背景にありながら、80年代以降たくさん来日したヨーロッパやアメリカのダンスの影響がクロスし、極めてバラエティ豊かなダンサーを輩出しています。その多様性が注目されていますが、まだまだ層が薄いのが現状です。

──5月にソウルで初めて大規模な舞踏フェスティバルが開催されました。そのプログラムの一環として日本のコンテンポラリーダンスを紹介する「Contemporary Dance Exchange」が企画され、佐東さんが日本側のディレクションを担当されました。
若手の中に、日本の中でしか生まれ得ないダンスというものが確実に出て来ていると思います。今回は、8組の全く違うタイプのアーティスト(近藤良平&野和田恵里花、山下残&納谷衣美、森下真樹、身体表現サークル、三浦宏之、ほうほう堂、黒沢美香、鹿島聖子&杉本亮子)を韓国と相談して選びました。
韓国では大学の中に舞踊科があり、体系的な指導が行われています。しかし、日本のコンテンポラリーダンスは様々なところから生まれてきているので、全く違う表現形態が同じ線上に並んでいる状態で、だからこそ可能性を感じます。これだけバラエティに富んだダンスが同時代に生まれ出ているのは、世界にも例がないと思います。
ただ、次の世代がなかなか育ちにくい状況だな、という感じもします。今までは、例えば一度は舞踏のカンパニーなどに所属して、徹底的な訓練や身体表現を突き詰めていくことを学び、育っていく人がいた。でも、今の日本のコンテンポラリーダンスは、アイデア段階で「面白い」という評価を得ても、それを次の段階、作品にもっていけるだけの基礎体力が少ない人が多いように思えます。それは鍛えられる場が少ないからです。将来のことを考えた時、ある種の振付家養成学校のような専門の教育機関をもたないと、日本のダンスは発展していかないかもしれません。
社会とダンスの接点がいくら出来ても、そこに素晴らしいアーティストが継続的に生まれていくような環境がないと話にならないことは事実です。

──「踊りに行くぜ!!」に応募してくる人たちの中に次の世代がいるのではありませんか?
そう思ってこのプロジェクトを行っています。この層がどんどん厚くなってきたら、もう少し違う展開が生まれるかもしれません。後5年したら、「踊りに行くぜ!!」が、30カ所、あるいは全都道府県47カ所でやれるようになるかもしれない。そうしたらきっと変わると思います。

──コンテンポラリーダンスが直面している課題がありますか?
日本のダンス作品は、すでに発表されているCDに収録された既存の曲を使うことが多いんです。実は「踊りに行くぜ!!2001」を収録した「JCDNダンスDVDシリーズ」第1弾を今年初めて発売したのですが、企画してから3年もかかってしまった。それは、オリジナル曲を使っていないために音楽著作権が問題になったことが原因です。振付家の音楽著作権に対する問題意識が日本の場合ちょっと甘いんです。そこで、ダンスとコラボレーションしたいと思っている音楽家のリストを作成し、サイトで出会う仕組みをつくろうかなと、今考えています。それによってもう少しオリジナル曲による作品づくりが増えていけばと……。

──今後もDVDは発行する予定ですか?
できればコンスタントに発行したいですね。公演を見てもらうことができなくても、例えば書店にDVD シリーズが10巻ぐらい並んでいればコンテンポラリーダンスを多くの人に認知してもらえるし、映像を見て公演に行く人もいる。つまり、ダンスに関しては絶対的に情報量が少ないんです。これからすそ野を広げていくためには、情報の出し方、量を増やしていく工夫が必要不可欠です。
それでこの11月から動画サイトを立ち上げて、映像での情報配信をスタートさせます。今、JCDNのチケット予約サイトの登録者数は2,000人近いのですが、無名の人たちの集客力はどうしても弱い。映像を見てもらうことで少しでも集客に繋がればと思っています。

──社会との接点をつくるということに関して、今どの段階まで来ていると思いますか。
様々な地域で一般の人や障害者などを対象にしたワークショップが行われるようになったり、学校を対象にしたプロジェクトも企画されるなど、いろいろな「点」が生まれてきています。ただ、その「点」が、まだまだ単発だし、個人のエネルギーに頼っていることが多い。蝋燭の火みたいなもので、それが絶えてしまうと終わってしまう。その「点」を拡大していく方法があるのか、継続していける方法があるのか、というのが今の課題だと思います。
資金的にも助成金に頼っているため、毎年、申請する必要がありますし、それが通らなければ事業は継続できない。ただ、大きな流れ、機運としては、ダンスの必要性が高まっていること、それを感じている人は多いというところにきていると思います。
その流れを定着させるには、アーティストが地域や学校でのワークショップをすることで、お金を稼げるような仕組みを作ることです。作品をつくるだけではなく、社会の中で自らの力を生かせるようになれば状況はものすごく変わると思います。10年前は日本のアーティスト側にそういう発想が全くありませんでした、それは社会からも望まれていなかった言うことなのかもしれませんが、今は確実に意識が変わってきている。どこまでいけるかわかりませんが、芽は間違いなく出ていますし、JCDNのスタート時より確実に状況は変わってきています。
 
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