The Japan Foundation
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吉田恭子
吉田恭子(YOSHIDA, Kyoko)
data
アーツ・ミッドウェスト
http://www.artsmidwest.org






























※1 CTN
日米両国の舞台、美術業界の関係者と協力し、日米交流の長期的なネットワークと支援システムづくりを目指すプロジェクト。日米交流の地理的な拡大と内容の充実を図り、双方向で行うプログラムを企画し、実施している。
Presenter Interview
2005.11.28
An organization for the promotion of the arts in the American Midwest, Arts Midwest  
アメリカ中西部の文化振興組織 アーツ・ミッドウェスト  
アメリカには、いくつかの州をまとめた広域圏の文化振興と地域間交流を担う「リージョナル・アーツ・オーガニゼーション(RAO)」と呼ばれる非営利法人が6つある。各RAOは全米芸術基金(NEA)や他の公私の財団から支援を受け、州政府の文化局と役割分担しながら独自の活動を行っている。その中のひとつ、アメリカ中西部9州をまとめる「アーツ・ミッドウェスト」に所属し、日米の文化芸術交流を支援するプロジェクト「日米カルチュラル・トレード・ネットワーク(CTN)」のディレクターをつとめる吉田恭子さんに、話を聞いた。
(聞き手:坪池栄子)


──日本人の吉田さんがアメリカでアーツ・マネジメントの仕事をするようになった経緯から聞かせてください。
85年、下着メーカーのワコールが100%出資して青山にオープンしたアートセンターのSPIRALに就職したのがはじまりです。当初はSPIRAL HALLが企画した海外から招聘したダンスなどのプロデュースをやっていましたが、不況で自主事業が縮小されたのと前後して、日本でもアーツ・マネジメントという概念が注目されるようになってきました。私は欧米のNon Profit Arts Sectorについてとても興味があったので、ニューヨーク市立大学ブルックリン・カレッジの大学院に留学し、2年間アーツ・マネジメントについて学びました。
その後、フリーランスとしてニューヨークで日本から公演に来るカンパニーのマネジメントやマーケティング・コンサルタントをしていたのですが、修士論文に協力してもらった縁で、96年にロサンジェルスの日米文化会館(Japanese American Cultural & Community Center)に就職しました。最初は、エグゼクティブ・ディレクターのジェリー吉富氏のアシスタントのポジションでした。吉富氏はロサンジェルスに日本の芸術を呼ぶだけではなく、全米を巡演できるようなネットワークが必要だと考えていて、私はそのネットワークづくりに関わっていました。
3年半の後、同会館の日米劇場(880席)のプログラム・マネージャーになり、日本からアーティストを招聘していました。しかし、吉富氏が退任され、日米文化会館の企画は、ロスの日系人アーティストを中心とするプログラムと、日本のトラディショナルなプログラムに移っていきました。
私はコンテンポラリーな日本の舞台芸術を全米に紹介したいという気持ちが強く、既に全米各地のプレゼンターとのネットワーク作りをしていましたので、何とかそれを続けることができないかと思っていた時、アーツ・ミッドウェストのエグゼクティブ・ディレクター、デイビッド・フレアにそのプロジェクトをうちでやらないかと声をかけられました。
フレア氏は、アメリカの真ん中に位置する中西部は自ら進んで積極的に国際交流を仕掛けていかないと世界から孤立すると考えていて、日本とも日米友好基金の支援を受けて交流プロジェクトをはじめる準備をしていました。最初はロスでこのプロジェクトを手伝っていましたが、2002年の3月にアーツ・ミッドウェストの拠点があるミネソタ州のミネアポリスに移り、以来、CTN(※1)を専属で担当しています。

──CTNでは具体的にどのようなことを行っていますか?
例えば、全米には国際的(特にアジア)な舞台芸術のプログラムを定期的に上演しているプレゼンター達のネットワークがあるので、彼らを対象にした日本の舞台芸術に対する最新情報のセミナーなどを国際交流基金と協力して実施しました。
また、これまであまり日本では知られていない中西部を中心にしたアーティストを日本に紹介することにも力を入れています。例えば、東京芸術見本市(TPAM)には2001年から毎年参加し、米国各地のアーティストを紹介するビデオ・プレゼンテーションやライブ・ショーケースなどを行っています。2003年のTPAMでは、ペンシルベニア州のレニー・ハリス・ピュア・ムーブメントというヒップホップのダンスカンパニーや、地元ミネアポリスのショーン・マッコネログ、ボストンのホイ・ポロイや、オハイオ州のデイトン・コンテンポラリー・ダンス・カンパニーなどを中心に紹介しました。
TPAMには全米からプレゼンターの派遣団を組織、引率して参加し、日本の舞台芸術の紹介も同時に行っています。CTNの活動に参加したのがきっかけでそれまで日本のアーティストに興味のなかったペンシルベニアのプレゼンターが、津軽三味線の新田昌弘さんに惚れ込んで、全米ツアーやジャズバンドとのコラボレーションを実現した例もあります。
CTNではこうして日米の情報交流を図っていますが、その時に私たちがいつも心がけることが、コンテクストライゼーション、つまりアーティストが作品を生んだ背景や、それをとりまく全体像の情報も一緒に提供するということことです。レニー・ハリスの場合は、ヒップホップの背景にあるアフリカン・ダンスの伝統と社会的なメッセージについて解説し、アメリカのダンスシーンにおける彼の位置づけとともに紹介しました。また、公演以外に、アーティストのワークショップを行うなど、できるだけ直接体験を通して深い交流が実現するようにしています。
TPAMにアメリカのプレゼンターを引率する場合も同じで、全体像や流れがわかるよう、日本の専門家に特別レクチャーをお願いしたりします。それ以前の、名刺や時間厳守といった日本のビジネス/カルチュラル・ベーシックスについてももちろん説明しています。

──日本のアーティストの招聘についてはいかがですか?
CTNが直接招聘するというのではなく、情報提供や日本のアーティストを招聘したプレゼンターのトラブルを解決するなど、英語で言うところのテクニカル・サポートが主な役目です。
日本のアーティストがアメリカで公演する体制はある程度できていますし、日本に興味をもっているプレゼンターもいますが、常に新しい情報を提供してそういう人たちの興味を繋ぎとめ、招聘意欲を高める必要があります。また、文化が違う国から招聘するのはとても大変なことで、たった2時間の作品を上演するために膨大なメイルのやりとりが必要だったり、コミュニケーションがとれなくてトラブルになったり、よほどの熱意がないとできない。そういうプレゼンターの努力が破綻しないようにサポートするのが、CTNのポジションだと思っています。
本当はTPAMなどにこうした海外のプレゼンターを大々的に招聘するうまい仕組みがあればいいのですが。例えば、エディンバラ・フェスティバルの時にブリティッシュ・カウンシルが行っているショーケースの場合は、プレゼンターに対する旅費の補助制度があり、指定した英国アーティストのショーケースを幾つか選んで見るのが条件になっていて、今年も米国からだけでも20人以上、世界中から200人ぐらい参加しています。
 
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