The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
An organization for the promotion of the arts in the American Midwest, Arts Midwest
アメリカ中西部の文化振興組織 アーツ・ミッドウェスト






※2 RAO
アーツ・ミッドウェストとNEFA以外のRAOとしては、テキサス州などの6州を管轄し、美術展の巡回プログラムで知られているミMid_America Arts Alliance(M-AAA)、西海岸を含む広大な「西部」12州を管轄するWestern States Arts Federation(WESTAF)、フロリダ州を含む「南部」9州を管轄するSouthern Arts Federation、ニューヨーク州を含む「東部」9州を管轄するMid-Atlantic Arts Foundationがある。
http://www.usregionalarts.org
──アメリカの国土は日本の約25倍という広大なものです。地域の概念も日本でイメージするのとは相当違うのではないでしょうか。アーツ・ミッドウェストは、イリノイ、インディアナ、アイオワ、ミシガン、ミネソタ、ノースダコタ、サウスダコタ、オハイオ、ウィスコンシンの9州を管轄しているそうですが、そういうRAOとはどういうものなのか、もう少し詳しく聞かせてください。
RAOはNEAの主導により、約30年前にできたシステムを運営する組織です。ご存知のように北米は広大な国土をもち、連邦政府の下に50もの州があります。そのため連邦が各州に対してきめ細やかなサービスをすることがなかなかできない。それでNEAはいくつかの州をまとめた広域圏を管轄するRAOを設けて、そこに対して支援する仕組みをつくりました。州政府の文化局とRAOでチェック&バランスがとれるというメリットもあると思います。
RAOの中で国際的にも比較的知られているのは、アーツ・ミッドウェストと、ボストンのある北東部6州を管轄しているニュー・イングランド・ファウンデーション・フォー・ジ・アーツ(NEFA)です。

──この6地域はどういう区分ですか?
アーツ・ミッドウェストは中西部9州を管轄していますが、一般的に中西部と言う場合、必ずしもこの9州を指すとは限りません。どの州を集めた地域を区分とするかについては、基本的に、NEAが地域的特長をある程度考慮しながら、便宜的に決めたものです。RAOにもそれぞれ特徴があり、芸術、文化をより直接的に支援しているのは、アーツ・ミッドウェストとNEFAだと思います(※2)。
特にNEFAは、リージョナルな組織にもかかわらず、全米を対象にしたダンスの創作とツアーのためのファンドも設けています。NEAの他、ドリス・デューク財団など全米の名だたる基金から支援を受けている「ナショナル・ダンス・プロジェクト(NDP)」です。この助成プログラムが、ユニークなのは、全米で約12の拠点劇場(hub site)を決めて、その担当者が年2回全米会議に招集され、どの企画に助成するかを審査するという点です。
毎年、全米から300件ぐらいの新作制作のための申請がきていると思いますが、それを書類審査で30件程度に絞り、全米会議で2日間かけて審査員全員でビデオを見ます。その前に、ハブサイトのプレゼンターたちはその30件を分担し、振付家と直接話しをするなどして詳しく調査していて、最終審査会でアーティストに代わってプレゼンテーションするんです。「この企画はこういう点で素晴らしいので、もし助成されて、作品が完成した暁には、うちの劇場でも上演する予定です」とアピールする。これにより、新作の上演やツアーについて企画段階からある程度の目処が立つ、という全米でも他に例のない素晴らしい仕掛です。

──RAOは各地域で名称が異なりますが、それぞれ組織も資金源も異なる独立した組織ということですか。
そうです。共通しているのは、それぞれの管轄州を対象にした助成/支援プログラムがあること、NEAとの結びつきが強いこと、管轄州政府の文化局がメンバーシップ・フィーを納めていて各RAOは州の文化局と連携、あるいは役割分担をしながら様々なプログラムを行っていることです。
例えば、CTNの仲介により、アーツ・ミッドウェスが和太鼓奏者の林英哲さんをオハイオ州での長期レジデンシ−・プロジェクトに招聘した時には、州の文化局と連携して事業を行いました。これは、ドラッグや、ティーンエイジ・マザー(10代で母親になり、困窮に苦しんでいる女性達)など、さまざまな社会問題を抱えている地方都市のコミュニティに対して、アーティストのクリエイティビティ−でポジティブな刺激を与える取り組みです。しかし、受け入れ先については、私たちも州も細かい情報をもっていないので、州が窓口になり地元に詳しい市のアーツ・カウンシルを通じて各団体(学校や施設他)にコンタクトしてもらいました。

──ネットワークがきちんと機能しているということですね。
はい。アメリカではNPOアーツセクターの長い歴史があるので、各NPO団体と市や州政府、アーティストとプレゼンター、あるいはプレゼンター同志などいろいろなネットワークが発達し、なかなか良く機能していると思います。特にプレゼンターがプロフェショナルとして確立していて、舞台をよく見ているのはもちろんのことですが、インターナショナルなフェスティバルにも参加するし、自分のコミュニティについても詳しくて、市や州と積極的にコンタクトをとるなどネットワークの中で重要な役割を果たしています。また、プレゼンターやアーティスト個人が市や州、RAOに、例えば、助成金の審査員やアドバイザーとして関わる機会も多いですし、全州の文化局が一堂に会する「ナショナル・アソシエーション・オブ・ステート・アーツ・エージェンシー(NASAA)」の会議や、全RAOが顔を揃える会議も年1回開催されています。

──RAOが担っているアメリカにおける地域間交流の意義は何ですか?
RAOができたそもそもの目的は、フレア曰く「インターステート・トラフィキィング」であると。これは要するに州のボーダーを越えるということです。アメリカの場合、州のボーダーを越えれば国が違うぐらい変わる場合もあるので、州を越えた交流を活性化するにはRAO のような組織が必要でした。これは、アーティストの仕事(マーケット)、ツアーを増やすのにも有効でした。しかし、RAOが誕生して30年以上が経過し、幾つかのRAOが国際的なプログラムに力を入れるようになるなど、事業内容も役割も変わってきています。
私がいつも感じるのは、移民の国であるアメリカには国内にさまざまな文化的背景をもった人々がいて、個人個人が、文化的多様性を理解することが、国として極めて切迫した課題になっているということです。でもそれを身近に感じられるニューヨークやカリフォルニアのような州もあれば、例えば、アーツ・ミッドウェストが管轄している州の中には未だに白人コミュニティ一一色の地域も数多くある。アメリカは、自分たちの国の多様性を理解するためにも、他の地域と交流しなければならないという宿命を背負っているのだと思います。
 
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