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Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
Breathing new life into contemporary dance   What is the source of the vitality in Finnish dance today?
コンテンポラリーダンスに新風 フィンランドの活気の源は?
──たぶん、それが私がフィンランドのダンスについて受け取った印象なのですね。フィンランドを初めて訪問したのが、1998年ですから。きっと、ちょうどいい時期にお国を訪れたのでしょう。
それから、ヘルシンキ市立劇場ダンス・カンパニー重要です。マルヨ・クーセラ、ヨルマ・ウオッティネン、ケネス・クヴェンストロームなど皆、ここで仕事をしました。

──その流れは、アカデミーとつながりますね。アカデミーは、新しい振付家を育てていますね。
ヨルマ・ウオッティネンもた、アカデミーで教鞭をとっていきますし、クーセラも、1995年以来教えています。彼らは、ダンサーは独立した存在であり、自分で考えるアーティストであるべきだと考えており、ダンサーたちが一緒に仕事をする上で(学ぶことの多い)強烈な個性を持った振付家たちですね。
アカデミーのカリキュラムでは、まず舞踊学科に学士号が取れる3年間のコースがあります。その後、教育を活かしていけるように、舞踊、振付、あるいは舞踊教育における修士号のコースがあります。クーセラは、ダンスの価値を信じて、“芸術としてのダンス”の基礎を築いたと思います。スサンナ・ライノネンとイエンニ・キヴェラは、2人ともアカデミーでクーセラの指導を受けました。ここは、ヘルシンキの舞踊教育の中枢です。アカデミーには、先ほど言ったように映画、映像技術、舞台美術、照明デザインなどのコースもあり、緊密に仕事をしています。
その他の都市では、単科大学としてダンスの教育が行われています。これらは、学士の水準での教育か、あるいは、コンセールヴァトワールです。こういう教育機関の生徒たちは、ヘルシンキに来てさらに教育を受けます。たとえば、クオピオがそうですし、ほかにアウル、トゥルク、タンペレなどがありますね。主に、こういう学校では、社交ダンス、民族舞踊、ジャズダンスなどの分野のダンス教師を育成しています。

──フィンランドでは、多様な芸術がうまく融合していますね。異なったジャンルのスタイルやテクニックの融合は、フィンランドのダンスに素晴らしいエネルギーを与えているように思います。
我が国のメンタリティを考えていただくと、おわかりかと思いますが、とにかく我々はオープンでなければやっていけません。(フィンランドには)500万の人口しかありません。最初から、そのような小さな世界で、全てを行われなければいけません。ですから、協力し合うという長い伝統があります。たとえば、テロとミキ・クント、劇場の芸術監督のような人や振付家たちはみんなオープンです。彼らは、ひとつのプロダクションで一緒に仕事をする……つまり、何よりも総合芸術なのです。フィンランドのダンスにとって、融合こそがエネルギーの源であることをとても嬉しく思います。ヨルマ・ウオッティネンは、バレエもまた同時代の芸術であることを明確にしました。そういうわけで、私たちは、とてもオープンは気質を持っているのです。

──国立バレエ団では、デンマーク・ロイヤル・バレエ団出身のディンナ・ビョルンの下で、古典作品のレパートリーに戻っているようです。ロシア・バレエの大きな影響を受けながら、これまでロシア人のバレエ芸術監督がいないのも面白いですね。
フィンランドは、ロシアといつも微妙な関係を持ってきましたからね。国民は、フィンランド人の指導者を持つことに明確な意思を持ってきました。それも、現在では弱まり、ロシアとずっと親密になっています。それが、我々の歴史なんですよ。

──話は変りますが、フィンランドの陽の光はとてもドラマティックですね。お国に素晴らしい照明デザイナーが多いのは、フィンランドの自然環境と何か関係があると思われますか。
特にその理由はわかりません。まず、照明デザインの教育がありますが、環境の影響も否定できませんね。冬は、暗く、闇が続きます。ですから、生活のなかで照明を考える必要があり、照明はとても重要です。仰ったように、陰影に富む光がある。
それに、フィンランドはとても高い技術力を誇る国ですから、技術の一部である照明がそれ自体で芸術と言えるほどになったのでしょう。照明家が質の高い仕事をするので、たとえば、我々の街そのものも一種のアートと考えられるかもしれません。
フィンランドを代表する照明デザイナーのひとりであるキンモ・コルクネンは、これまでアリ・テンフラやアルポ・アールトコスキ、ユルキ・カルトゥーネンなどと仕事をしてきたそうです。テロは、常にミキ・クントと仕事をしています。キンモは、アカデミーで教えており、影響力を持っています。ダンサーと照明デザイナーは同じところにいて、最初から一緒に仕事をしますから、当初より作品のなかで照明デザインがどういう意味を持つかを理解しています。照明デザイナーも、ダンスがどのような芸術なのかを理解しています。ともかく、フィンランドのダンスでは、照明はとてもうまく機能しています。芸術上のコラボレーションであり、振付家と照明デザイナーは作品のなかでの主要な協力者なのです。もちろん、衣裳デザイナーの貢献もありますが、コンテンポラリー・ダンスのなかで振付家と照明デザイナーのコラボレーションが、決定的な意味を持つ例は多い。ミキはしばしば、ロック・コンサートのような巨大な仕掛けの照明を用い、「Borrowed Light【反射光】」において素晴らしい仕事をしています。

──テロの作品『ハント』のように、才能ある映像・マルチメディア・アーティストも目を引きます。
ご指摘のアーティストは、マリア・リウリアですね。政府は、この分野にも手厚く助成を与えています。ノキアをご存知と思いますが、情報と技術分野に国家として援助を与えています。ですから、メディア・アートは、それ自身研究機関を持つ確立された芸術分野で、マリアのような芸術家は高く評価されています。彼らが創造し、この芸術分野を確立したわけですから。芸術の手段として、テクノロジーは計り知れない力を持っています。今では、ヴィデオ映像を投影するだけの振付では新鮮さに欠けます。芸術の一部として、一つの要素としてどうテクノロジーを用いるか、そこが最も面白い。ユルキとキンモ・カルトゥネンや、テロ・サーリネンとマリア・リウリアとのコラボレーションは、ヴィデオを用いる以上の大きな効果を生み出しています。

──そうですね。ヴィデオを投影しているだけではないですね。ライヴの動きとヴィデオの映像は、空間を豊かにするインタラクティブな効果を生んでいます。
しかし、振付家が芸術のなかでテクノロジーをどう扱うかを知らなければ、うまくはいきませんよ。振付家たちは、自分の芸術においてテクノロジーをどのように用いていくかのコンセプトと目的をしっかりと持っていなければなりません。総合的なヴィジョンが必要ですね。

──インフォーメーション・センターで見せていただいた作品のヴィデオが、印象的でした。たとえば、サハラの自然のダイナミックな映像と溶け合うアルポの美しいダンスやラーティカイネンの『Opal-D』など。
アリアの作品に出てくるのは、キンモ・コスケラの映像です。

──映画制作の教育はどうですか?
映画制作を含めた視覚芸術に関する大学レベルのコースがあります。アートとデザインのくくりのなかに、芸術大学には、映画、視覚芸術、マルチメディア、衣裳デザインの学科があります。ヘルシンキに拠点を置くマリメッコ、イイタリアやその他のデザイン会社は、いま各々メディア・センターを持っています。彼らの考え方は大変進歩しており、テクノロジーは長いこと芸術の一翼を担ってきましたし、コラボレーションも盛んに行われています。
 
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