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Presenter Interview
This interview explores the actor education system at The Royal Academy of Dramatic Art, an institution with a 100-year history
100年の歴史をもつ王立演劇アカデミーの俳優養成システムとは?
──王立演劇アカデミーは、財政的にはどうやって運営しているのですか?
王立演劇アカデミーは1904年に創設されましたが、ずっと資金繰りが大変で複雑でした。今ではコンセルバトワールを作ってすべての学生が高等教育基金カウンシルから奨学金を貰っているので、学生は他の大学生と同様の奨学金が得られます。学校は独立組織で、政府からは各生徒への奨学金が出るのみです。
また、学外でも日本で「RADA in Tokyo」といったコースやニューヨークの2つの大学とのコースを開設しています。毎年、米国から32人の学生がシェイクスピアの授業を受けるためにロンドンにやってきます。夏休みには8週間の夏季学校を開設し、シェイクスピア・コースや現代劇のコースに、23カ国から160人もの学生がやってきます。
また、関連会社の「RADAエンタープライゼーズ」では、ロンドン市内のカムデン地区の若者のためにユース・シアターを開設したり、QEIIという豪華船の上でショーを行ったり、英国全土のユースセンターなどと協力して週末に演劇に親しむワークショップなどを組織したりしています。また、大企業のリーダーや地方自治体の人が職員の訓練を行う時、アクティングを活用する方法を指導したり、自分に自信をつけてプレゼンテーションやスピーチを上手に行う方法を指導したりしています。エンタープライゼーズで得た利益は学校に還元しています。

──卒業制作について話してください。
RADAでは、卒業制作と呼ばれる特定の公演があるのではなく、3年生になってエージェントを呼んだり、一般客を入れたりして行うすべての公演が卒業制作になります。私が演目と演出家、キャストを選び、実質的には私が3年生の芸術監督を務めます。ちなみにエージェントへのプレゼンテーションは、RADAの創設者ハーバート・ビアボーム・ツリーの名前を取って「ツリー」と呼ばれています。エージェントに学生のプレゼンテーションを行い始めたのは英国でRADAが初めてで、学生がエージェントを見つけるのに一番よい方法だと思っています。

──RADAの特色はなんですか?
これというのは難しいのですが、RADAの古典の訓練はシェイクスピア劇とジャコビアン朝および王政復古期の戯曲に力を入れ、アレキサンダー・テクニックとともに学校が創設されたころからずっと教えられてきました。また、少人数制で教えていることも、大変重要ですね。アレキサンダー・テクニック、歌唱、発声などは個人レッスンですし、グループ・レッスンも10人以下の小さなグループなので学生に入念な個人指導ができます。さらに学生には、学内外から個人にチューターがつき、プロとの強いつながりが結べます。もちろん、現代劇も教えますが、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやナショナル・シアターで仕事をする卒業生が多いのは、RADAが古典に強いことを示していると思います。

──日本ではアレキサンダー・テクニックは知られてないと思いますが、アレキサンダー・テクニックはなぜ俳優にとって重要なのでしょうか?
アレキサンダー・テクニックの創始者であるアレキサンダー氏は俳優でしたが、ワンマンショーを演じている時声が出なくなったので、鏡を使って頭と首の関係が座ったり歩いたりする姿勢全体にどのように影響しているかや、俳優としてナーバスになるなどの精神状態が声にどのように反映されるかということを見出しました。ですから、アレキサンダー・テクニックでは、習慣になっている肉体的緊張をほぐすことが中心になっています。最近英国の演劇学校ではアレキサンダー・テクニックを教えるところが多くなっていますが、RADA創設者のツリー氏自身がアレキサンダー氏からこのテクニックを直接伝授されたこともあり、RADAではアレキサンダー・テクニックが特に重要なものとされています。

──バーターさんご自身について教えてください。1993年から現職ですが、その前はどんな仕事をされていたのですか?
校長になる前の5年間はRADAの教頭でした。1971年にゲスト演出家として働いたのがRADAとの最初の関わりです。そもそも私は演出家で、1963年から1988年まで、ロンドンのウェストエンドの商業劇場からフリンジといわれる小劇場、シアター・ロイヤル・リンカーンといった地方の劇場で演出したり、ロイヤル・シェークスピア・シアターの地方公演ユニットで働いたりしていました。イプスイッチ・アート・シアターの運営に携わった後、ロンドン最大の児童劇場であるユニコーン劇場の芸術監督を10年間勤めました。常に若い人と仕事をすることと訓練に強い関心をもっています。

──英国では80年代ミセス・サッチャーの時代に「俳優の数が多すぎる」といって、俳優削減の動きがありましたが、俳優の数はその後減っていますか?
減っているとは思いません。マスコミやテレビの仕事は減っていませんが、問題なのは劇場での仕事の数が減っていることです。もう何年も地方の劇場の予算がインフレに追いつかなくなっているので、かつてのように地方劇場のネットワークで俳優を2〜3カ月といった単位で雇い、俳優がそこで育っていくといったことがなくなってきました。一方、特にロンドンでは小劇場が増えていますから、パブ・シアターとか、サザック・プレーハウスのような古い建物を改装して作った新しい劇場で働く機会はあるのですが、通常それでは大した報酬は得られません。劇はかなりのレベルなのですが、仕事としてはセミプロの仕事ですね。
 
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