The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
South Africaユs comprehensive culture center  ARTSCAPE and its programs
南アフリカの総合文化センター ARTSCAPEの取り組み
──南アでの芸術に対する資金援助はどのような状況なのでしょうか?
現在、お金を集めることが難しくなっています。この状況は、日本の1980年代と比べることができると思います──たくさんの建物、たくさんの劇場、たくさんのコンサートホールが建てられました。しかし、劇場の中の芸術作品にかける十分なお金はなかった──私たちも同じような状況なのです。
我が国ではまだ、私企業が芸術にお金を出すという成熟した文化的慣習が確立していません。資金は、ナショナル・アーツ・カウンシル、国の宝くじ基金、またある時は地方自治体からも回ってきますが、往々にして舞台芸術制作団体を立ち上げて維持していくには十分ではありません。
その上、芸術制作団体の数が非常に増加したために、限られた資金を得るための競争も激化しました。1996年より政府はより幅広い層にその資金を配分するという政策をとってきました。多くの場合、それぞれの組織が手にする金額が小さすぎて、何か意味のあるものを達成することができません。芸術の発展により人々がひとつになりアーティストの雇用の機会が広がる可能性があるというのに、それに必要な資金源が十分でないということは悲しいことです。
日本は非常にいい状況にあると思います。「ソフトウェア」に投資する、という必要に対する認識があるからです。これは重要なステップで、私たちもそれに向かって動き出し、なるべく早くそこに到達する必要があります。
アーツケープの根本はここにあります。劇場の建物とインフラの面倒を見るのは私たちです。しかし、もし劇場に生きた芸術作品がなければ、劇場は何の意味ももたなくなってしまうのです。
アーツケープが採用したスタイルは、政府より得た予算を劇場の建物やインフラのような「ハードウェア」のための費用とし、しかし「ソフトウェア」(芸術作品)を感動的な生きたものに保つためには資金を集めねばならない、というものです。

──現在のアーツケープの資金について具体的に教えてください。
政府からは年間2,100万ランドの予算が出ています(邦貨換算約3億8,000万円)。額はここ数年そう増えてはいません。私たちの劇場の年間総予算は約3,400万ランドです。これは全体の予算で、この中に芸術関係の費用も含まれています。私が試みているのは、政府から受け取った資金を核にして、そこから芸術や芸術の育成ため、それから特にこれまで育ててこなかった分野のために使うさらなるお金を生み出していくということです。
1995年の800人の従業員に対し、現在のフルタイムの雇用者は66名、短期契約者は22名です。舞台スタッフについては、上演作品に応じて外部から臨時に必要な増員をすることも多いです。私の運営哲学は、組織のインフラ自体はむしろ小さめに抑え、私たちが生み出したり政府からもらったりした追加のお金は、それはパフォーミング・アーツのため、“ソフトウェア”のため、教育やトレーニングのために使っていきたい、ということなのです。

──観客育成・教育についてもう少し詳しく聞かせてください。
芸術を学校生徒に紹介していくことは非常に重要なことだと考えており、私たちの観客育成・教育部門は学校の子どものためのプログラムをいくつかスタートさせました。
私たちはまた、学校の必須科目に演劇を導入し、学校のカリキュラムの3つの公用語の中に組み込まれています。私たちの地域には3つの公用語があり、それらは英語、アフリカーンス語、コサ語です。勉強した作品は劇場でプロデュースされて上演され、生徒たちは劇場に来て、自分たちが読んだ作品が舞台上でどう生きた作品になるか見ることができます。教育の専門家によると、私たちがコサ語での演劇の時間を始めたところでは、試験の合格率が上がったということです!

──こういったプログラムのためには予算が必要と思います。政府からの予算が減少していく中、どのようにして資金を捻出したのですか?
企業からの資金、ナショナル・アーツ・カウンシルからの援助、国の宝くじ基金によるお金、他の政府機関からの追加の資金援助を得ようと努力しています。日本には「新世紀アーツプラン」というアートカンパニーに対する助成事業があるそうですが、それと似た状況に変わっていくために、南アの芸術に関する資金環境を見直していく必要があると思います。

──アーツケープはNPOだと聞いております。NPOは英国、米国など国によって微妙に位置づけが違うようです。南アにおいてNPOはどのように定義されていますか?
NPOは、南アでは基本的に「所得税を払わない」ということです。利益が上がっても、それにかかる税金はありません。しかし政府が母体の組織として、私たちは財政について透明性を保たねばなりません。残念ながら資金提供者側に関する税金の優遇措置はありません。

──アーツケープは組織としてはNPOですが、「貸し劇場」あるいは「商業劇場」と呼べる部分もあるかもしれません。
政府による変革によって私どもの劇場は自主制作の劇場から貸し劇場へと大きく転換しました。アーツケープは貸し劇場として舞台空間を貸し出して1年365日稼働し、利益本位の運営をすることができます。しかしそれでは、舞台芸術のアーティストたちの人生に変化を与えたり、舞台芸術産業に付加価値を付け加えたりすることはできません。半面、自主制作だけの劇場であったとしたら舞台空間を貸すことができず追加のお金を入手することは不可能となり、さらなる資金の調達が必要となってしまいます。ですから、アーツケープの路線は、舞台空間を貸す商業劇場であると同時に、パフォーミング・アーツが必要としているもの応えていく、ということです。このバランスは微妙なものがあります。ある時はどちらかといえば商業劇場の面が強くなって助成を受けているグループの公演が少なくなり、またある時はその反対、というように。2つの間でちょうどよくバランスがとれるよう工夫して予算を編成し、別枠のお金が入ればそれをパフォーミング・アーツのほうへ還元するようにしています。

──そのようなバランスを保つための方針の決定の主導権は誰が握っていますか?
支配人(Chief Executive)である私が、理事会と連携をとりながら決定します。理事会には9名の理事がおり、理事は芸術文化省により任命されます。理事会は、演劇、教育、ビジネス、法曹界の専門家で構成されています。
 
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