The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
South Africaユs comprehensive culture center  ARTSCAPE and its programs
南アフリカの総合文化センター ARTSCAPEの取り組み
マイケル・マース
マイケル・マース
──大きな変化の後、オペラ、バレエ、オーケストラの3つのカンパニーは独立したわけですが、これらのカンパニーの運営などについて、アーツケープはどのような関係にありますか?
私たちはそれぞれのカンパニーと密接な関係を保っています。それぞれの力を合わせ、うまく進めています。私とオペラ、バレエ、そしてオーケストラなどのトップとは定期的にミーティングを行い、劇場での上演に向けてのプランが練られます。というのも彼らが出してくる舞台技術面での課題はアーツケープの劇場に関係してくるからです。「協力(cooperation)」「協業(collaboration)」「相乗効果(synergy)」の3つの原則が私たちを1つに結びつけています。また、他の演劇などのカンパニー、教育機関や地元の芸術団体などとの関係もこの3原則の上に成り立っています。私たちから資金提供ができない分、お互いに協力しあって、共に制作したり、知識や資源を共有したりしていかねばなりません。

──アーツケープは劇場複合施設ですね。建物の中にはどのような施設がありますか?
私たちの施設には1,187席の「オペラ・ハウス」、540席の「アーツケープ・シアター」、160席の「アーツケープ・アレーナ」とキャバレー・スタイルの劇場があります。また、オペラ、バレエ、オーケストラ、コンテンポラリーダンスやその他のさまざまなカンパニーのためにオフィス、そしてあるいはリハーサル室を提供しています。私たちはインフラに関して全面的なサービスを提供し、多くのアーティスト、多くの芸術団体に資することができます。南アフリカ共和国で芸術とアーティストとが花開くため、できうる限りのことをしています。
コスチュームを製作や保管をする衣裳部門もあり、地元のカンパニーや海外の市場に貸し出しも行っています。日本のカンパニーの公演のための衣裳と舞台装置を作ったという話もあります。舞台装置を製作する部門もあります。舞台セットについても広い保管スペースがあります。このようなノウハウを海外市場に売り込み、それで外貨を獲得しようとしています。

──ケープタウン・オペラ・カンパニー、ケープタウン・シティ・バレエ団には舞台美術部と衣裳部がないということですね。カンパニーの構成員数や運営方針を教えてください。
アーツケープは彼らの舞台装置と衣裳を有料で提供しています。彼らの仕事は「舞台に作品をのせる」ということです。このためにケープタウン・オペラ・カンパニーには全部で12〜14名、ケープタウン交響楽団は6名、ケープタウン・シティ・バレエ団は3名、ジャズアート・コンテンポラリー・ダンス・シアターには3名の常勤スタッフがいます。そのほとんどが運営部門で、アーティストやオペラ歌手は必要に応じて招集されます。ケープ交響楽団、ケープタウン・シティ・バレエ団には固定メンバーがいます。
4年前、国内には5つのオーケストラがありました。現在は2つだけです。他の3つは資金難で閉鎖してしまいました。常設のオーケストラのうち1つはケープタウンに、もうひとつはダーバンにあります。ヨハネスバーグにはありません。ヨハネスバーグにはフリーランスの音楽家がたくさんいて、必要なときに彼らを呼んで編成しています。ケープタウン・オペラ・カンパニーは南アで唯一の常設のオペラ・カンパニーです。バレエではケープタウンとヨハネスバーグに常設カンパニーがあります。

──アーツスケープの上演スケジュールをウェブサイト上で拝見しました。非常に多くの公演が行われていますね。1年間で何公演くらいありますか?
昨年は120以上のカンパニーによる約800回の公演が行われました。ステージがいつも埋まっているので普通の練習には舞台を使用できないんですよ。ステージでの舞台稽古は本番の直前に限られています。リハーサルに必要なスペースを確保するため、別な建物が必要な段階になりました。

──ケープタウン・オペラ・カンパニーはオスロの劇場と共同制作を行ったことがありますが、他の劇場ともっと共同制作したいとお考えですか? 市場としてはどのエリアに興味をお持ちですか?
海外との交流はこれからの分野ですね。ケープタウン・シティ・バレエ団は2002年に中国公演を行いました。上海の国際舞台芸術祭に参加し、南京での公演の後、北京へ行きました。ロシアのカンパニーから振付家と何人かのプリンシパルが南アフリカに来て共同制作を行ったこともあります。どこに行きますかと訪ねられたら、可能性がある場所ならどこでも、と申し上げておきましょう。
ケープタウン・オペラはヨーロッパで高い評価を受けていますが、合唱の歌手たちによるところが大きいと思います。もし文化交流の機会があって日本へオペラを運ぶことができたらいいですね。

──アーツケープの劇場に来る観客のほとんどは社会である程度恵まれた階級に属しているかと思いますが、オペラ、バレエ、オーケストラ、演劇のチケット料金はどのくらいなのでしょうか?
演劇のチケットはリーズナブルでなくてはなりません。音楽の聴衆のほうがアプローチしていき易いかと思います。バレエのチケットはそう高くはありませんが、オペラのチケットは約200ランドします。平均月収がそれほど多くないこの国では、相当高価です。しかし、ロビン・ウィリアムスがコンサートをしにやって来た時のチケットはどんなに高くてもファンが買っていましたしね。
現在の南アにおけるひとつの問題は、学校で芸術教育にプライオリティーがないことでしょう。昔は音楽の先生がいる学校も数多くありました。しかし今はほとんどいなくなってしまいました。いま学校で重きを置いているのは読み書き算数です。先生対生徒の比率は大変高く、35人の生徒を1人の先生が受けもっています。芸術にあまり関心がないか資金のない学校でしたら、芸術関係の先生を置かずに、勉強の学科だけになってしまう。学校で芸術、舞台芸術に接する生徒はほんのわずかと言ってよいかと思います。人々が芸術と触れ合わず、芸術の鑑賞や理解の仕方を学ぶことができずに大人になってしまうのは問題です。そういう意味からも、私たちが行っている演劇の授業は意義があると思います。私たちは学校に芸術をもたらそうと試みているのです。合唱をやる学校も多くなりました。少数の学校ですが、演劇や音楽のクラスもあります。ケープタウンには幸運なことに楽器演奏教授法を教えている教育学部の後援で3つの音楽センターが運営されています。こういうところでは放課後の時間にトレーニングをしています。
私は金沢でコンサートを見学して本当に驚きました。オーケストラ・アンサンブル金沢という小規模なアンサンブルでしたが、オーディションで選んだ人たちと一緒にコンサートを行っていました。金沢の4つの大学から80人が招待されて演奏に加わりました。この学生さんたちは音楽の専攻ではなく、普通に工学やなんかを勉強している人たちなのです。1つの都市に80人もそういう人がいるなんて。やっぱり小さい時から舞台芸術に触れるという環境が大事なのですね。舞台芸術への関心と愛着を喚起して育んでいくにあたって、アーツケープのような機関が果たす役割は大きいのです。

──ケープタウン・オペラ・カンパニーは1年間にどれだけの演目をかけますか?
平均して年間9つの作品を上演しています。当然のことながら、上演作品数は資金によって左右されます。もしさらに資金があれば、作品数はもっと増えるでしょう。ほとんどの作品はアーツケープで上演されますが、例外もあります。外の劇場で上演する場合も、私たちは技術的なことでの支援や他のインフラの提供などを行っています。オペラのシーズンにはバレエの作品のレパートリー公演がオペラ上演の合間に行われます。
 
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