The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Presenter Interview
Bringing Korean performing arts to the world scene
世界に向かって進出するコリアン・パフォーミングアーツ




*5 アジアからのゲストは渡航費、滞在費、参加費が一切免除されるが、その他の国からのゲストは渡航費は自己負担。
──大学路には40以上の劇場が点在していますが、それらの民間劇場や芸術団体との連携もあるのでしょうか?
特別な連帯はありませんが、波及効果は大きいでしょうね。海外からのゲストには大学路ツアーのプログラムを準備していますし、何よりもアートマーケット参加者が大学路に足を運ぶことで自然と韓国の舞台芸術を広く見てもらえる機会になると思います。

──戦略とコンセプトとおっしゃいましたが、詳しくお聞かせください。
戦略としては、海外ゲストの構成に主眼をおきました。世界を西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中東、北米、中南米、オーストラリア・ニュージーランド、アジアの7地域に分け、フェスティバルディレクターよりも劇場やアートセンターなどのプロデューサーを中心に招待しています。オーストラリアを例にあげれば、シドニーにはオペラハウス、メルボルンにはヴィクトリア・アートセンター、クイーンズランドにはパフォーミングアーツセンターがあります。もし、ある芸術団体のオーストラリア公演が決まった時、この都市をつないでツアーが可能な下地作りをしておくということです。今までは各国のフェスティバル関係者が主な海外ゲストでしたが、これではひとつの都市での単独公演で終わってしまいますし、時期も限定されてしまいます。労力と投資に比べて効果は小さいわけです。また、劇場やアートセンターであれば、公演場所はあるわけですから1年中お互いの時期を調整しながら、その国の地域をつないで公演するができます。コンセプトはアジアです。これからはアジアにフォーカスを当てていかなければならない時代だとの判断からです。今回のソウル芸術見本市の特徴のひとつでもありますが、アジアからのゲストはすべて無料招待で、他地域のゲストよりも経済的な面で優遇されています(*5)。これはもちろん経済格差もありますが、アジア内での市場形成が不可欠と考えてのことです。アジアはお互いに市場になりえる可能性を持っていますからね。またアメリカやヨーロッパではすでに地域内での市場が形成されていますし、そこにわざわざ多額を投資して参入していくよりは、アジア内での市場で注目されれば、自然と他地域の市場にも影響を与えられるのではないかと思っています。

──お話をうかがっていると、既存の世代にはないとても理論的で戦略的な感じがします。
韓国の舞台芸術界は世代交換の時期に入っています。ショーケース公演を行う「2006 PAMS Choice」の選出も、プログラムディレクターシステムを導入して40代以下の各ジャンルの専門家が行いました。若い目で海外に進出可能な作品を責任をもって発掘すると同時に、韓国の文化土壌の中ではなかなか注目されづらい若く実験的な作品により目を向けさせるためです。そんな若手専門家の目で、韓国の舞台芸術の多様性と躍動性、そして同時代性をもつ演劇7作品、ダンス9作品、音楽4作品、複合4作品、その他1作品、計25作品が選ばれました。

──現在の韓国の舞台芸術の状況をどのように見られていますか?
韓国の舞台芸術はとても多様で独創性に長けています。多様性の面では、1500以上の公演芸術団体が活動しており、年間7500本の作品が発表されているという数字をみていただければわかると思います。独創性の面では、演劇にしろ、ダンスにしろ、その他の舞台芸術にしろ、西洋の形式を受け入れながらも、韓国の伝統と融合させた伝統の現代化という第三の形式をもっています。多様性と独創性をもちながらも、国内の場合、これらを流通させる側は550あまりと、市場が小さいのが現状です。海外の場合も同じです。間違えなく海外でも競争力をもっている団体や作品にもかかわらず、紹介される作品はこのうちのわずか2.4%にしかすぎません。国内外の流通システムを構築することが韓国の舞台芸術の現在の課題だと思います。

──海外進出は交流というより市場開拓ということですか?
交流と経済は切っては話せない時代ではないでしょうか。実質面からお話をしましょう。芸術団体の生存には、経済性の安定が不可欠です。経済的な面が安定すれば再生産、すなわち次の作品を作っていく基盤ができるわけです。しかし、国内市場には限界があるわけですから、海外に市場を広げる必要があります。芸術面では国内だけで活動していると井の中の蛙に陥りがちです。互いの文化の同時発展のためにも海外進出には意味があります。これら両極面が交流だと思います。

──日本との関係をどのようにお考えですか?
今回のソウル芸術見本市で、東京芸術見本市とプログラム交流協定の調印式を行います。両国は互いにとって大きな市場ですからね。今後も積極的に交流をつづけていくつもりです。

──最後にこれからの夢をお聞かせください。
今は韓国芸術経営支援センター長という仕事に全力を尽くしたいと思います。任期は5年ですが、アーチストに真に必要な、アーチストのための制度と政策を構築していきたいと思いますし、文化のための政治を作りたいですね。それと、舞台芸術の現場の世代交代が求められている現状の中で、単なる世代交代ではなく、真に意味のある変化を引き出せる仕事をしたいと思います。
 
BACK
| 1 | 2 | 3 |
TOP