The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Presenter Interview
Egypt's first private sector arts and culture facility, Cairo's El Sawy Culture Center
エジプト初の民間文化施設 カイロのエッサーウィ文化センター
──運営方法については、どのような特徴がありますか。
エッサーウィ文化センターは100%民間の組織で、政府からの援助や助成金などはまったく受けていません。逆に私たちは、建物の借地料などを毎月政府に支払っています。施設運営と事業のための資金のほとんどは民間スポンサーからの援助です。年間を通じてセンターの活動を支援してくれるスポンサーと事業ごとのスポンサーをそれぞれ募り、その提供資金だけでカバーできない場合は、私と兄が所有する広告&PR会社 アル・アーラミーヤ株式会社が負担しています。

また、在エジプトの各国大使館との共催のかたちで、さまざまな芸術作品を紹介する事業を行うことがありますが、これはある意味、彼らからの間接的な財政支援であると思っています。直接資金は得ていませんが、大使館側は招聘団体の渡航や滞在の費用を負担し、私たちは招聘団体がパフォーマンスの上演に必要な劇場スペース、舞台製作費、PRなどを提供し、チケット収入はセンターの売り上げに計上しています。大使館との共催事業はあくまで役割分担という意識で協力体制を敷いています。今年の12月に初めて日本関連のイベントを国際交流基金と行う予定です(*)。このような各国大使館との芸術交流を通じて、世界のさまざまな作品を提供できるようになりました。

*国際交流基金本部主催巡回公演事業 太鼓グループ「は・や・と」公演
12月11日:エッサーウィ文化センターにて開催予定


──演劇コンテストとはどういったものでしょう。
近年エジプトの演劇界をとりまく環境は危機的な状態です。まるで節操のないナイトクラブのようになっています。それで少しでも演劇の活性化のためになればと思い、3年前に演劇コンテスト「水車の演劇祭」を立ち上げ、毎年7月下旬から8月初旬に実施しています。コンテストには才能の発掘、アーティストの養成といった側面もありますから、舞台芸術のアーティストやグループを広く公募し、審査しています。1次審査では、脚本、演出、技術面などの審査を行い、2次審査では、応募者が審査員の前で実際に作品を上演し、そこで選ばれた個人もしくは団体がこの演劇祭での上演を認められます。2週間で50以上の作品が上演されます。一本あたりの上演時間は原則1時間で、演劇祭の最後に最優秀作品を選び、閉幕式を兼ねた受賞セレモニーを行います。作品のみならず、演出家、俳優、舞台美術などにも賞が与えられます。現段階ではまだアラブ圏以外からの応募はありませんが、将来的には、海外からの参加が可能となるように、スポンサーを募るなど経済的な問題を解決していきたいと思っています。

──文化センターは国内の社会問題にも取り組んでいるそうですね。
エジプト社会では、文化や芸術を語る前に、「物乞い」など人々の生活習慣の改善や啓蒙にかかわる取り組みが不可欠です。観光客目当てに貧しさを装い、物乞いをする人が後を絶ちません。だからといって法律で規制することはあまり効果的な方法だとは思いません。ごく単純なことですが、こうした状況を改善するには、自らを変えよう、悪習慣を正そうという人々の意識を高め、どんな難しい問題でも短期間で解消できるのだ、という強い意志をもつことが重要だと私は思います。エッサーウィ文化センターでは、世論の啓発や人々の教養を高めることを通じて、社会の宿弊の一掃や、難問とされている社会問題の解決を図ろうとしているのです。

その一環として、イスラム教の理念をもとにした「チャリティー(寄付)」に対する考え方をより多くの人々に伝えるためのキャンペーン、また、「アラビア語の年」という正則アラビア語(フスハ)を身につけることの意義を教えるプロジェクトを立ち上げました。アラビア語は、人々の活字離れなどが原因で弱体化する傾向にあります。大人でも正しく正則アラビア語を使える人は少なくなってきました。コーランを何度も読破したという人はたくさんいるのですが、実際に意味を理解しているかどうかは疑問です。読むといった行為よりも「理解する」ということが肝心なのですが、正則アラビア語の弱体化は「アラブ人のアイデンティティ」の欠如にもつながります。より美しく正しく使えて理解できるよう、アラビア語教室を開いて識字率の向上を図っています。
 
BACK
| 1 | 2 | 3 |
NEXT
TOP