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Presenter Interview
One of South America's oldest and most active theaters, the Municipal Theater of Santiago, approaches its 150th anniversary
南米有数の由緒ある劇場 創立150周年のサンチアゴ市立劇場
アンドレス・ロドリゲス




チャイコフスキー『エウゲニ・オネーギン』
© Juan Millán T.
Teatro Municipal de Santiago


ワーグナー『ローエングリン』
© Juan Millán T.
Teatro Municipal de Santiago
海外との交流について

──チリのオペラで私たち日本の聴衆が記憶しているのは、数年前の新国立劇場での「ナブッコ」のセットです。あれはチリの劇場が制作したと聞いています。演出や舞台の輸出は普通に行われているのでしょうか。
常に販売を考えております。新国立劇場が買った「ナブッコ」は、私たちサンチアゴ劇場で自主製作・上演したものです。私たちはヨーロッパの劇場と比べ、とても廉価に装置を提供できるのです。「オテロ」「ジョコンダ」「アイーダ」「トロバトーレ」などの製作コストは、ヨーロッパの劇場なら新作で50万〜100万ドルはかかりますが、私たちの製作費はその1割程度です。それに私たちの装置の質は極めて高く、ダラスやスペインのオヴィエドにも作品を提供していますし、ワシントンには「ティトゥスの慈悲」のフルプロダクションや、ハンペ演出の「コシ・ファン・トゥッテ」なども出しました。私たちの劇場には装置を保管したり収集したりする場所がないということもありますが、お互いに良い商売なのではないかと思います。

──貴方の劇場は巨大な輸出品を製造しているわけですね。
そうです。質は良いし、まあ、チリワインやサーモンなどの従来的な意味での輸出品ではありませんが(笑)。

──新国立劇場の「ナブッコ」はどうして日本に来ることになったのでしょうか。
私たちの「ナブッコ」新演出を知り、新国立劇場関係者が日本から来られ、公演をご覧になりました。即座に関心を持って下さり、価格交渉がありました。私たちの装置には日本の法律に則った防火対策が施されていなかったので、作業場に戻し消防法に適合する対応をし、東京に送り出しました。

──なるほど。完全にビジネスなのですね。
はい、そうです。

──南米諸国との交流はないのでしょうか。
南米とアメリカとはアソシエーションを作ろうとしています。ブエノスアイレスとは深い関係にあり、ウルグアイのモンテヴィデオも同様です。コロンビアやブラジルとも関係を広げつつあります。オペラを上演するアルゼンチンの小規模劇場とも関係を結ぼうとしています。まだとっかかりの状態ではありますが。なにせ、私たちの劇場は先までを準備しますが、多くの南米のオペラハウスはあまり計画を立てません(笑)。

日本との交流について

──今後の日本との関係は予定がありますか。
まずこれまでのことについてお話しますと、過去15年間に日本から3度の大きな協力がありました。1988年に照明機材や音響装置の提供を受け、93年にはオーケストラへの楽器の提供がありました。2005年には新しい音響・映像システムのための資金も提供され、最新設備にアップデートされました。
さらに、劇団四季の浅利慶太氏演出の「蝶々夫人」を2001年にチリで上演したのです。1986年にスカラ座で上演した浅利氏演出の改訂版です。私は当時あのステージに接し、美しさと質の高さに感銘を受けました。サンチアゴから一晩かけてミラノに到着したその足で出向いたのですが、余りの感銘に、翌日も別のキャストの上演を観に行きました。そのときに”アサリ”という名前を知ったわけです。その後、個人的な用件で日本に来たとき、たまたま「ライオンキング」の上演に出かけました。この技術的に極めて優れた舞台を演出しているのは誰かを人に尋ねました。で、”アサリ”と言われてその名前は聞いたことがあると思ったんです。翌日になってスカラの「蝶々夫人」の人だと判った。そこでこの人に会わねばと思い、そこから全ての話が始まりました。15分の予定が2時間の会見になり、会見の終わりに、私の演出を差し上げます、と仰って下さったのです。さらに浅利氏は演出料を免除、スタッフの一部を派遣してくれました。公演は大成功で、観客も評論家たちも絶賛していました。

──なるほど。
2年前、私たちのスタッフは来年の劇場設立150周年記念シーズンの企画を始めました。最近上演したいくつもの美しい舞台の中で、聴衆に大きなインパクトを与えた舞台はどれかを考え、その答えは浅利氏の「蝶々夫人」でした。そこで再び氏にお願いし、許可をいただいたわけです。

──公演はいつの予定ですか。
2007年9月を予定しています。9月は二重の記念なのです。ひとつは劇場創設150周年で、まさにそのときにこの「蝶々夫人」を上演する予定です。もうひとつ、日本とチリとの修好条約締結110周年記念の月でもあります。日本の舞台をチリで上演するにはとても良い機会だと思います。サンチアゴの日本大使館も大きな協力をしてくれています。まだまだ実現までにはいくつかの壁がありますが、150周年記念シーズンは生涯に一度ですからね。

──実現を期待します。ありがとうございました。
 
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