The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Presenter Interview
Re-established as a stronghold of contemporary theater in Shanghai Creative efforts of the Shanghai Dramatic Arts Centre
現代演劇の拠点として大・中・小ホールを運営する 上海話劇芸術センターの取り組み
上海話劇芸術センター アーツシアター
アーツシアター
上海話劇芸術センター ドラマサロン
ドラマサロン
上海話劇芸術センター スタジオD6
スタジオD6
アジア現代劇フェスティバル
上海話劇芸術センターでは、毎年9月に「アジア現代劇フェスティバル」(中国語で「亜洲当代戯劇季」)を開催。2005年には日本から神戸の劇団道化座が参加した。

亜洲当代戯劇季
Asian Contemporary Theater Festival
http://www.china-drama.com/a/index.asp
劇団道化座
http://www.kcc.zaq.ne.jp/dougeza/kaigai.htm
──劇場について教えて下さい。
上海話劇芸術センターは18階建て、建築延べ床面積約15,000m2の建物にあります。2000年12月に竣工しました。ビル内には、3つの異なる劇場があり、その他3つの会議室に200m2の稽古場が2つと400m2のスポーツクラブを備えています。
3つの劇場のうちビルの1階にあるのは「アーツシアター」といい、530席の額縁式の劇場です。3階は「ドラマサロン」という小劇場です。面積は450m2。様々な上演に適するよう空間は黒で統一されており、四方を囲む防音壁も観客席も可動式です。エンドステージからアリーナステージまで様々な空間を作ることが出来、座席は最大288席です。三つ目は6階にある「スタジオD6」という多目的ホールです。面積は500m2余り。中小の公演以外に会議の開催にも適しています。観客席は可動式で、最大300名収容できます。ロビーにはバーコーナーとセミオープンの会議室が2つ。上演前の観客との交流やゲストの休憩、小規模のミーティング等に使います。
これら3つの劇場での上演についてですが、上海話劇芸術センターが製作した作品は、先ほど述べた通り年間20本です。その他、国内外の作品が貸し劇場と買取りの両方を含めて年間約40〜50本あります。
稼働率は今のところアーツシアターとドラマサロンがスタジオD6を上回っています。エンドステージで上演する形式に慣れていますからね。スタジオD6は多目的ホールですから空間の制約がありません。こうした空間を作った理由は、これからの演劇は観客とのコミュニケーション、観客の参加に重点をおくべきだと考えたからです。そうした演劇に必要なのは巨大な舞台美術のセットではなく自由な上演空間です。工場跡地を利用した北京の多目的空間「798」(=北京大山子芸術区798、「北京798芸術網」http://www.bj798arts.com/)のような自由な空間が必要なのです。だから、名称も6階にあることにちなんで「スタジオD6(中国語名:D6空間)」とつけたのですよ。

──上海話劇芸術センターの財源はどのようになっているのですか。
この3年間の平均年間総予算は3200万人民元(約15円/1人民元として約4億8千万円相当)です。内訳は、政府の公共財政投資による助成金が約3割、チケット収入が約3割、残り4割がその他の収入で、主に劇場貸し出しによる収入です。企業による支援もありますが、ごくわずかです。理由は中国政府の税制と関係があります。これは現在私自身検討している課題でもあります。NPOや公益事業への寄付に対する減税措置はアメリカが最も進んでいますよね。寄付した金額の85%以上が免税になり、更には名声まで得ることができる。このような政策ならば、多くの支援を得る余地があります。日本はどうですか。確か日本ではまだそれほど発達していませんよね。シンガポールは実施して1年程経つはずです。中国はというと、残念ながらこのような政策はまだありません。だから企業による支援はほとんどないのです。たまにあったとしても、スポンサーは往々にして広告掲載等の要求をしてきます。芸術性を損なうことも多く、協賛を断ることもよくあります。ですから企業の協賛金を主な収入源に据えることは出来ません。
我々のような組織は作品を製作することが第一であり、利益を出す必要はありません。利益が出たら税金を納めなくてはなりません。中国の税率は約33%です、かなり高いといえます。そうなのです、私が強調したいのはその点なのです。上海話劇芸術センターは事実上NPOといえると私は思っています。企業、政府、公共事業団体、いずれともいえない曖昧な状態で、市場経済の成熟した国でいうNPOと非常に似た形態です。NPOならば免税ですよね。我々はというと33%もの課税です。しかも、節約したお陰で利益が出て税金を納めると、余裕があると見られて翌年の助成金が減らされる可能性があるのです。現在の政策は事業の発展に明らかに不利です。このことについて我々は現在議論を進めています。税制の改定、これもまた上海話劇芸術センター設立後の改革のひとつといえるでしょう。来年初め、私は海外のNPOの先進事例を視察調査し、政策の制定に関する研究を行うつもりです。日本にも事例があれば嬉しいですが、ヨーロッパが最も進んでいますよね。イギリス、フランス、ドイツ・・・いずれも制度がよく出来ていてとても羨ましいです。どんな事業も発展するには適当な政策の存在が不可欠です。

──上海は中国で最も市場が形成されていて製作費の回収率が高いといわれますね。
政府の投資額は北京の方が大きいのですよ。その分、チケット収入との比率でみると回収率が低いのです。例えば昨年の北京人民芸術劇院(以下、北京人芸)に対する政府の助成金は約3000万人民元(約4億5千万円)。これは上海話劇芸術センターの受ける助成金の約3倍です。それに対し昨年の北京人芸のチケット収入は約1200万人民元(約1億8千万円)。北京のもうひとつの劇団、国家話劇院は、政府の助成が1400万から1500万人民元(約2億2千5百万円)なのに対して、チケット収入は約500万人民元(約7千5百万円)です。上海話劇芸術センターは政府からの助成額とチケット収入のバランスがとれています。いずれも約900万人民元(約1億3千5百万円)です。
政府の北京への助成が多い理由は、北京が文化都市であり文化交流の中心地だからです。国内外の作品はみな首都北京での上演を望みます。公演の主な目的は専門家や幹部の好評を得ることや賞の獲得であり、チケットを売ることが第一ではありません。また、政治の中心地であるため関係者に招待券を送る習慣があり、それを手にすることにすっかり慣れきった観客達がいるのです。我々は違いますよ。2004年に北京で公演を行った時、その公演に対する政府の助成はありませんでした。赤字を出したら自分達で穴埋めをせねばなりません。そこでチケットを売ろうとすると、招待券を貰い慣れている人達が呆れた顔をして言うのです。「チケットを貰ったって行くかどうかわからないっていうのに、自分で買えっていうの?」と。でも公演が好評なのを知り、結局最後はチケットを買ってくれました。関係者割引は多少しましたがね。その結果、90万人民元(約1350万円)の投資額をほぼ回収することが出来たのです。招待券が多いというのは、文化事業の市場が成熟していない証拠です。歴史的要因と現実問題の両面が絡み合って生み出された習慣だと思います。
上海では受賞を目的に公演を行うことはありません。社会への影響力の方が重要です。つまり観客が劇場に足を運んでくれるかどうかが問題なのです。上海話劇芸術センターではチケットを買って来てくれる観客を育ててきました。彼らは我々だけの観客ではありません。上海の他の市場にも影響を与えます。上海では近年ようやくその努力が実り、市場が形成されてきたのです。もちろん今でも招待券を送ることはありますよ。でも、北京と比べたら少ないものです。
 
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