The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
Re-established as a stronghold of contemporary theater in Shanghai Creative efforts of the Shanghai Dramatic Arts Centre
現代演劇の拠点として大・中・小ホールを運営する 上海話劇芸術センターの取り組み

イギリスのイエローアースシアターとの共同製作作品「リア王」
(2006年秋上海公演)

海外の現代劇の中国版の製作
「4.48サイコシス」
(2006年秋上海公演)
──上海話劇芸術センターの年間の計画はどのようになっているのでしょうか。
我々は政府の政策に基づき5ヵ年計画や年間計画を立てています。しかし今は市場経済の時代ですから、状況を見ながら調整しています。例えば日本のある劇団と数年前から共同製作の話がありますが、助成金が下りなかったという日本側の理由で何年も見送りになっています。また、20公演予定していた作品の客入りがよくなければ早々に打ち切り、別の作品が好評であれば上演回数を増やす。これもまたよくあることです。我々は自分の劇場を持っていますから、計画の調整を柔軟に行うことが出来るのです。
上演作品に関していうと、この数年来、全体の60%は上海話劇芸術センターが製作した作品を上演しています。残り40%は国内外の外部団体の作品です。作品構成は原則として、上海話劇芸術センターのオリジナル作品、古典名作、海外作品を含む現代作品を各1/3ずつ上演することにしています。上海は国際文化交流都市としての位置づけがありますから、プログラム編成上もその点を考慮し、海外の作品を一定の比率で組み込む必要があると考えています。

──海外とのプロジェクトはどのように進めていますか。
まずプロジェクトの意義の有無が第一です。費用が最大の問題ではありません。経費は基本的に対等に負担します。航空運賃は互いに自己負担し、国内でかかる費用は各国が各々負担します。これまでの経験からすると、こうした対等な関係で行うプロジェクトは成功率が高いです。ただ対等とはいっても、国ごとに物価や生活レベルの違いがありますから、その点は考慮する必要があります。例えば1日にかかる食費は日本より中国の方が安いですよね。またホテルのグレードの状況も国によって異なります。ヨーロッパに滞在する時、5ツ星といわれても中国のホテルほどではないと思うことがあります。ですから1人につき1部屋用意するという点では対等ですが、グレードはその国の事情によるということです。こうした違いをお互い理解できれば、意思の疎通の問題はありません。

──海外との共同製作を数多く行っていますね。
ちょうど今もイギリスのイエローアースシアターと「リア王」を製作中です。昨年合意して、今年の10月末には上海で初日を迎えます。我々の方は原資がありますから、自分で決めることが出来るのです。政府の上演許可をとるのに2、3カ月の時間を要する以外特に問題はありません。日本の劇団のように助成金が下りないので出来ないということはないのです。
海外との共同製作を行う意義はというと、中国人の審美眼だけで製作すると、外国の文化背景を理解していないがゆえに、外国人の観客に受け入れられる作品に仕上げるのは大変ですが、共同作業をすることでその問題を解決することが出来ます。交流は相互に作用するものですから、共同作業を通じてスタッフ全員が互いに相手の文化習慣や考え方、表現方法を理解するようになります。それが作品にも反映するのです。相手側からいい提案をもらうこともあれば、自分達で自主的に表現方法を工夫することもあります。
2005年にはロシアと共同製作しましたが、その作品は4万字という膨大な字数の脚本で、第1稿はロシア側に受け入れられませんでした。検討し手を加えた結果、何とわずか数千字の作品になってしまいました。その代わり、字数が減った分を音楽や身体表現で表すことにしたのです。結果は大成功でした。これが共同製作の妙です。
また、海外との交流を通じて、我々の作業効率はかなり上がりました。西洋の影響でしょう、端的に物事を進めるようになったのです。それから海外の様々な芸術の風格、流派に対する理解も進みました。お陰で、上海らしい個性ある作品作りを以前にも増して考えるようになりました。相手を理解すると同時に自分の個性を大切にすることが大切です。これは文化事業に取り組む者の使命、責任でもあります。

──日本とのプロジェクトの予定はいかがですか。
大きなものでは、先ほど述べたように数年来取り組んでいるものがあります。日本側の助成金が何年も渡り下りなかった理由は、日中の政治関係がうまくいっていなかったことに起因すると思っていますので、来年は実現出来ると期待しています。その他いくつか小さな案件もあります。それぞれ異なるところから話が来ているとのことですが、プログラム編成を担当する喩栄軍(ユィ・ロンジュン/英語名Nick Yu)が先ほどインタビューの始まる前にここで、日本の窓口が一本化してもらえると助かると言っていましたね。上海は日本と異なり芸術団体が多くありません。だからもし自分の劇団に適当でないと思う案件があった時は、他の芸術団体に紹介するのが普通です。でも、日本ではこういうことはあまりないようですね。競争が激しいからでしょうか。様々なルートから来た日本の案件の間に交流関係はないようです。また、当センターが接点のある日本の作品には、若手のものがまだ少ないですね。どのジャンルにおいても若手の活躍なくして未来はありません。若手演劇人の交流が増えることを期待しています。
 
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