The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
The Rolex Mentor and Protege Arts Initiative, fostering encounters between artists across generations
巨匠との出会いをコーディネートするロレックス社「メントー&プロトジェ・アーツ・イニシアティブ」
──《メントー》の選定はどのように行われているのですか? 顧問委員会の面々によって候補が抽出されるのは知っていますが、指名に挙がった人々に実際にこの事業の説明をしたり、その人が《メントー》として参加する興味があるかを確かめたりするという手順は、レベッカさんや事業部の方々が実際に候補者らと向き合ってなさるのですか?
2007年初頭にジュネーブで、第4サイクルの《メントー》選定についての顧問委員会を開きました。委員たちは候補を挙げ、討論し、そして投票を経て、一分野につき4〜5人の《メントー》候補を選出します。例えばレベッカ・ホーン(次の第4サイクルの美術《メントー》)を例にとれば、二人の顧問委員──イタリア人彫刻家のジュゼッペ・ペノネと、前回のベネチア・ビエンナーレのキュレーターだったスペイン人のマリア・デ・コラル──が、レベッカ・ホーンと既知の仲でしたので、彼らが私のために接触の道をつけてくれました。そして本人が「諾」と言ってくれた。これが基本的な手順です。
しかしながら、顧問委員の意思を受けて事務局が本人と接触しても、参加への興味はあるがタイミングが合わないからダメだということもままあります。ですから我々としては柔軟性を持って対処しなければなりません。例えば、(次の第4サイクルの《メントー》である)マーティン・スコセッシ監督にはかなり以前から接触を続けていました。一度指名に挙がって本人が興味を示したような人々とは、将来的な参加の可能性を念頭において我々は関係性を保ち続けるようにしていますから。つまり《メントー》の選定は、恒常的に行われているプロセスだとも言えます。例えば先日、私はとても著名な女流映画監督と晩餐会の席で隣同士になったので、その折に「将来この事業に《メントー》として参加する興味があるかしら?」と持ちかけたところ、もちろんとの答えでした。でもこの女性を実際に《メントー》にえるかどうかは顧問委員にかけねばならないし、委員会の承認が必要です。
(《メントー》のラインナップを)多様な構成にすることも大切な留意点です。例えば次の第4サイクルには、2人の女性がいて、出身地は欧州から2人、アフリカから2人、アメリカから2人になっています。残念なことにアジア人はいないですが、少なくともバランスのとれた混在を為しています。つまり、6人の《メントー》が全員アメリカ人だとか全員男性だということにはならないよう、ここにもある種の柔軟性が必要になってきます。

──《メントー》の性格がどんなか、というのはこのプロジェクトにとってとても大切な要素に思えるのですが、一般的に言って、顧問委員は彼らの推薦する《メントー》候補のことをよく知っているものなのですか?
もちろんです。それが顧問委員会を設けている理由ですから。《メントー》の要件として、国際的な地位にあり、不朽の価値と評される作品群を持っており、しかもなお創造と開発に邁進する現役であり、寛容な精神と明確な個性を有し、若い世代と対話を持てる人──といった一連の基準を敷いていますから、顧問委員会が《メントー》を推薦する際にはこれらの基準に当てはまる人物かどうかを話し合います。
この話し合いの内容は一切秘匿しますと委員会の方々には伝えてありますから、それはそれはつっこんだディスカッションが展開されます。委員が自分の専門ジャンルではない人物を推薦することもありますから、そうした場合には該当ジャンル出身の委員が、「いや、彼は卓越した作家だけれど、他人とコミュニケートできない人間ですから、この事業には相応しくないと思います」と意見するといったことも起きます。
《メントー》の推薦においては、その作家の芸術的探究心はどんなか、人間として尊敬できるかといった情報が大切だからこそ、顧問委員会は多くの著名なアーティストや、前言したマリア・デ・コラルのように多くの作家と直接の仕事の付き合いのある人々で構成されているのです。

──顧問委員は持ち回りで入れ替わったりするのですか?
顧問委員は毎回のサイクルごとに総入れ替えするのが基本です。誰にお願いするかは、我々ロレックス自身のリサーチと、そして前サイクルで顧問委員を務めてもらった人に次のサイクルのための顧問委員を推薦してもらうという両方の作業の結果で、どの分野からも最低2名の委員を含めるようにしています。(2007年11月現在、顧問委員は総勢53名。委員のリストは次を参照:www.rolexmentorprotege.com/en/about-the-initiative/advisory-board.jsp)。
時には顧問委員を務めた方が《メントー》になって委員を抜ける場合もあります。私としては逆に《メントー》経験者が顧問委員になるという形態がとても有効だろうと思っているのですが、これはまだ起きたことがありません。時には顧問委員を2年続投してもらう場合もありまして、例えば(カナダ人作家の)マイケル・オンダーチェは、第3サイクルのための《メントー》候補を話し合うジュネーブでの顧問委員会に出席できず、電話会議だけの参加で終わってしまったので、今回第4サイクルでも委員を続けてもらいました。

──私が《プロトジェ》の選考委員を務めた時には、その任にあった数カ月の間、きわめて頻繁に電話会議を開いて世界各地にいる委員らが全員集まっての“ミーティング”を持ちましたが、顧問委員はどの程度頻繁に集まったり電話会議をしたりして《メントー》を決めるのでしょう?
年に一度のジュネーブでの会議のみです。顧問委員の仕事は選考委員に比べてずっと楽です。何人かの候補を示唆してもらい、それらの簡単な履歴資料を提出してもらうだけですから。ボランティア・ベースですから謝礼もお支払いしていません。一方、選考委員にはものすごく骨の折れる仕事(*)をお願いしていますから、謝礼をお支払いしています。

選考委員会について:
最終目的として各分野2〜3人の「《プロトジェ》最終候補」を選出するために、各分野ごとに5〜6人の専門家から成る「選考委員会」が構成される。選考委員は、顧問委員の推薦やロレックスのスタッフの調査、あるいは前サイクルで選考委員を務めた人からの推薦等をもとに選ばれるが、「北米・アジア・欧州・南米・アフリカからひとりづつ」といったように、世界各地から集められるのが普通だ。選考委員各自は、まず最初に、同分野の《メントー》がどのようなタイプの若手芸術家を求めているかというロレックス側から与えられた情報を基に、各自の地域で活動する若手作家のリサーチを開始。数ヶ月後に各自4〜6人の名前を候補として提出する。選考委員は匿名で動くため、こうして推薦された一分野あたり合計30人を越える各候補に逐一コンタクトをするのはロレックスのスタッフの役割だ。候補者が応募の意思をみせれば、同社スタッフはその者から作品の資料やこのプロジェクトで何がしたいかというプロポーザルを徴収、これらの資料を選考委員各自に配布すべくコピーを制作するのもスタッフの役割だ。選考委員各自はこの膨大な量の資料──ダンスや演劇や映画の分野の委員であれば100枚を越えるDVDを、文学であれば100を越える小説を──視聴したり読み通したりして吟味・審査をする。最後に、世界各地にちらばる選考委員にとって一番都合の良い世界のどこかの都市で、分野別に委員全員が集合してミーティングが行われ、そこで「《プロトジェ》最終候補」の2〜3名が決定される。この中から最後のひとりを選び出すのは、《メントー》本人が行う仕事である。
 
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