The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Presenter Interview
Pioneers of China's contemporary independent arts scene   Caochangdi Work Station
現代中国のインディペンデント・アートの草分け 北京・草場地ワークステーション
「トイレ」
写真7.「生活舞蹈工作室」作品『トイレ』
Photo: 張志偉
「出産報告」
写真8.「生活舞蹈工作室」作品『出産報告』(1999年11月)
Photo: 凌幼娟
「身体報告」
写真9.「生活舞蹈工作室」作品『身体報告』(2002年12月)
Photo: 黄大智
「37.8℃報告」
写真10.「生活舞蹈工作室」作品『37.8℃報告』(2005年10月)
Photo: 黄大智
「出稼ぎ労働者と踊る」
写真11.「生活舞蹈工作室」作品『出稼ぎ労働者と踊る』(2001年8月)
Photo: 張建平
「出稼ぎ労働者と踊る」
写真12.「生活舞蹈工作室」作品『出稼ぎ労働者と踊る』(2001年8月)
Photo: 張建平
──草場地ワークステーション設立前はどこでどのような活動をしていたのですか。
文:場所の確保は最も頭の痛いことで、いろいろなところを転々としていました。作品はというと、生活舞蹈工作室の初めての作品は、約10名の友人たちと一緒に創りました。作品製作にはそれなりの費用がかかります。自分たちの稽古場も劇場もなく、製作資金も十分でない私たちが、ギャランティーを払ってダンサーを起用するわけにはいきません。友人たちの職業はカメラマン、演出家、教師、記者等、と実に様々。プロのダンサーは私だけでした。上演は、北京にある電影学院という大学の教室で行いました。1994年のことです。
 翌年は、呉文光と2人だけで小作品を創り、広東省で開催された「実験小劇場内部公演」に参加しました。トイレを題材に自分たちの日常を表現しようと、2人で構成を考え、2人で演じました(写真7)。呉は映像作家ですが、生活舞蹈工作室の作品では、コンセプトメイクから構成まで手掛け、彼自身も演じます。
 その後、99年までの4年間は資金の目処がつかず、残念ながら中国国内で作品製作を行う機会はありませんでしたが、準備期間として、新作のためのインタビュー調査を手掛けていました。インタビューは無料で出来ますからね(笑)。中国の女性を取り巻く生活環境や成長の過程を表現しようと考え、話を聞く切り口として出産を選んだのです。ブルーワーカー、編集者、作家、助産婦、主婦と、さまざまな職業の、出産経験のある25歳から約90歳までの幅広い年齢層の女性にインタビューを行いました。それをもとに製作したのが99年の『出産報告』(写真8)です。その後続く「報告シリーズ」(写真9・10)の先駆けとなりました。

──『出産報告』は何を契機に製作に踏み切られたのでしょうか。
呉:この『出産報告』は私たちにとって転機となった作品です。作品を探しに北京に来ていたオランダのディレクターが、生活舞蹈工作室に新作を創ってアムステルダムのフェスティバルに参加して欲しいと言ってきたのです。彼女たちの資金のお陰で、私たち2人でやるしかなかった状況からダンサーを起用できる環境へと変化し、音楽、装置など様々な分野のアーティストとのコラボレーションも可能となりました。オランダの友人たちとはこれを契機に交流が始まり、2005年の草場地ワークステーションオープン後は、そこでの活動の重要なパートナーとなっています。
 『出産報告』の中国公演は、北京の中央に位置する公共劇場、北京人民芸術劇院の小劇場を借りて3ステージ行い、その後は欧米各地のフェスティバルに招聘され、これまで延べ40ステージ以上公演しています。

──インディペンデント・アーティストの立場で、中国での公演の機会はありましたか。
呉:今もそうですが、社会主義の中国では、公共の芸術団体以外の作品が上演の機会を得るのは非常に難しい状況です。公共の芸術団体は自分たちの劇場を持っていますし、上演許可証もある。私たちのようなインディペンデントの活動団体はそのいずれもないのです。チケットを売ることもありますが、1枚50RMB(約700円)程度で数回の上演では採算はとても合いません。回収できないことを覚悟でお金を払って劇場を借りなければ、上演の機会はないのです。北京のアーティストであるにもかかわらず、海外公演の機会はあっても北京で作品を上演する機会がないというのが現実です。『出産報告』が2度目の中国国内上演の機会を得たのは、初演から4、5年後のことでした。
 自分たちの作品を制作し上演できる空間を私たちが望んだのは、こうした状況からです。それを理解して提供してくれる友人がいたのは幸いでした。私たち2人で他の場所を探すことも不可能ではありませんが、これほど大きな空間を手にするのは難しかったと思います。
 こうして空間を手にすることが出来たからには、自分たちが使うだけでなく、同志であるインディペンデント・アーティストの活動を促進する活動をしていかねばと考え、草場地ワークステーションを活動拠点にワークショップや講座、フェスティバルの開催を始めました。

──ワークショップの状況をお聞かせ頂けますか。
呉:海外から講師を招いてのワークショップは、1週間から10日を1つの期間として組んでいます。2005年4月に行った第1回は、オーストリアのダンサー、ウィリー・ドーナーを招きました。
 毎日13時から17時まで、4時間。全て無料です。毎回10人から20人の人が参加します。全期間通して参加することが原則ですが、無料だと参加者の意識が甘くなり、欠席者が出やすくワークショップの運営に影響が出ます。今は保証金として100 RMB(約1,500円)をとることにしています。効果てきめんです(笑)。
 この他、私たち2人によるワークショップも開催しています。これは週末の午後の開催で1、2ヶ月のコース。参加費はやはり無料です。これまでは演出家による表現のワークショップを行ってきましたが、2008年は音響等、技術面のワークショップを開催したいと考えています。将来はドキュメンタリー映像のワークショップも手掛けたいですね。

──草場地ワークステーションに来るのは主にどのような人達ですか。
呉:ダンスと演劇の分野に分けていうと、ダンスの人達は、専門養成機関でダンスを学んでいる学生か、卒業生が多いです。演劇は、専門機関で学ぶ学生や卒業生は見かけたことがないですね。研究者はいたかもしれませんが、演技や演出を専門に学んだ人は誰もここへは来ません。方向性が違うのでしょうね。彼らはテレビドラマや映画の仕事で忙しいのでしょう。表現を専門に学んでいない人の職業は、教師や雑誌編集者、設計士、学生といろいろです。全体としては、インディペンデントで作品を創り表現したいという若い人が目立ちます。年齢は20代から30歳ぐらいまでの人が中心です。
 
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