The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
Training arts managers to support the activities of the multi-cultural, multi-ethnic artists of Indonesia   Jakarta's art NPO Kelola
アート・マネージャー育成で、多文化・多民族アーティストを支えるジャカルタのクローラ財団
佐東 現在のインドネシアの劇場の状況について教えていただけますか。

クスモ それぞれの州都に「文化的空間」という意味の「タマンブダヤ」と呼ばれる公立の施設があります。全国におよそ32館ありますが、大抵の場合そこには劇場が2つあります。中にはソロ地区のタマンブダヤのように野外劇場もある大きな施設もあります。インドネシアの舞台芸術の団体は個人のスペースか、芸術系学校か、このタマンブダヤで活動しています。また、首都のジャカルタには、ジャカルタ芸術センターに3つ、ジャカルタ芸術劇場、ゲーテ・インスティトゥートのホール、ジャカルタ芸術学院の劇場、ウタン・カユ劇場があります。2008年10月にはサリハラに新しい劇場がオープンする予定です。

佐東 アムナさんはサルドノさんの活動のサポートに始まり、インドネシアの中心的な舞台芸術の制作者として30年以上にわたり活動を続けていますが、それだけ継続していけるアムナさんの情熱はどこからくるものですか。

クスモ 前にも言った通り、それは私の「アーティストの友人たちを支える」という考え方からきたものです。芸術センターが活発な時代は、当時のアーティストたちはアーツ・カウンシルからプロダクションのための十分な資金援助を受けていました。例えば、アリ・フィン・チェヌールという著名な演劇の演出家は、年間4本の作品を制作した年もありました。しかし、資金援助は徐々に減り、アーツ・カウンシルは十分な活動ができなくなっていきました。それでアーティスト自身が資金やスポンサーを探さなくてはならなくなったのです。
 私は、資金調達をしてくれる誰か(アート・マネージャー)がいないために、作品がつくれなくて大変困っている才能ある多くのアーティストをみてきました。結局彼らは、アーティスト活動をやめてしまいます。おそらく私は他の方達よりも、プロデュースしたり資金調達をしたりするのが上手くやれたのだと思いますが、多くの人に役立つことを何かしたいと考えました。
 インドネシアの我々の世代は、若い世代の舞台芸術のアーティストが育たないことをとても危惧しています。例えば、ダンスにおいてはサルドノ世代の後、誰も育っていません。ボーイ・サクティがいましたが既に引退していますし、ミロトやムギヨノなどはいますが、ほんの少しです。インドネシアにはとても多様で豊かな文化遺産がありますが、何もしなければカリマンタンの熱帯雨林が伐採で消滅したように、25年後にはどうなっているかわかりません。

佐東 アムナさんは、1999年にクローラ財団を設立されました。そのきっかけは?

クスモ クローラ財団を立ち上げたきっかけとなったのは、なぜ一部のアーティストは他のアーティスよりも上手く仕事ができているのか、と疑問をもったことです。よいプロデューサーとマネージャーがいれば資金調達をすることができるし仕事依頼もとってこられます。それで、私たちは、アーティストをサポートできる能力のあるマネージャーを育てられればと思い、クローラ財団を立ち上げて、たくさんのマネージメントのワークショップを行いました。最初はアート・マネージメントのワークショップをするだけのとても小さな団体でしたが、私たちの活動内容も幅広くなりました。

佐東 インドネシア政府はクローラ財団のことをどう考えているのでしょうか。

クスモ NPOとして活動しているので、政府は干渉しませんし、また支援も全くありません。政府と話すことはありますが、私は彼らが何かをやるときのパネリストまたはアドバイザリー・ボードとして呼ばれる関係です。

佐東 さきほどのマネージメント・ワークショップについて少し詳しく教えていただけますか。

クスモ まず、1998年にパイロット・プロジェクト(試験的なワークショップ)を行いました。インドネシアでは芸術大学でもアート・マネージメントを教えているところはありませんし、正式なアート・マネージメント教育というものがありません。それでビジネス・マネージメントの大手コンサルタント会社のディレクターや講師の人と一緒にアート・マネージメントのワークショップのモデルをつくるところから始めました。その会社がこのプロジェクトに協力してくれる人を募集し、協力を申し出てくれたPPMという団体と一緒にあらゆる芸術団体を訪問しました。それは私たちにとっても、彼らにとってもひとつの勉強でした。多くの芸術団体のリーダーに会い、話し、たくさんのヒアリングを行いました。それを練って発展させ、私たちのアート・マネージメント・ワークショップのモデルをつくりました。最初のワークショップは1999年2月に実施しました。
 その後、改訂しながら何度もワークショップを行っていますが、この9年でのべ900人以上の方が参加しています。ワークショップは約1週間で計48時間のコースで定員は24名です。授業は朝から午後まで行われ、参加者はグループ別に課題について作業を行い、翌日発表します。カリキュラムは、実際のアート・マネージメントの仕事に生かせるような実践的なものです。ワークショップは一般の人も参加できますし、地域も問いません。このワークショップをやってよかったことのひとつは、全く異なる地域から来た人々が約1週間ともに過ごし、学ぶことによってお互いをよく知るようになることです。インドネシアでは、移動費が高いのであまり旅行をすることがありません。ですから、このワークショップはこれらのマネージャーが1カ所に集まり、ネットワークをつくる非常にいい機会になっています。これはクローラ財団にとっても重要なネットワークになっていて、今ではいろいろな人が「この街へ行きたいのですが、どなたか仕事を一緒にできる方を知りませんか」と訪ねてきます。
 
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