The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
Looking into the heart of the Asian Cultural Council, an organization that has helped support over 5,000 artists
5000人以上のアーティスト等を支援 アジアン・カルチュラル・カウンシルの精神
──ACCは、アメリカの個人がアジアに行ったり、アメリカの団体が個人をアジアに送ったりする時の助成もしていますよね。
 我々のプログラムの第一義は常に、「アジア人が米国を訪れる」ことに対する支援です。ただし「ジャパン・プログラム」の場合のみは、「双方向的に」ということが最初からの条件でした。ですから長年、ACCがアメリカ人のアーティストのアジア行きを支援できるのは、日本行きだけだったのです。が、近年ではヘンリー・ルース財団がくれた寄付によって、アメリカ人をアジアのどの国にも送れるようになりました。

──他にも近年の新しい動きはありますか?
 アジア内での交流に対する助成を、2000年からスタートさせました。つまり、「アジアとアメリカ」だけでなく、例えば中国の人が日本へ行きたい場合、あるいは日本人がインドネシアを訪れたい場合、などです。これによって、アジアの助成申請者のものの考え方が以前とは違う方向に向かいました。発端は、他のアジアの国のことをもっと理解したいと思っていた日本の申請者です。さらに、ACCのフェローには、特に舞台芸術の分野で、古典の音楽を学び、日本に興味を持っている多くの中国人がいます。例えば、現在ニューヨークに滞在しているフェローのひとりはとても優秀な古琴奏者で、現代音楽や実験的な音楽に非常に興味を持っていました。中国で伝統楽器の奏者が現代音楽を試みるというのは、ようやく最近起こってきた動きです。けれど、日本ではそれはもう長年やってきていることでしょう。

──助成申請と、その審査基準、審査のプロセスなどについて説明してください。
 ACCの助成に申請したい人は、このニューヨーク・オフィスにでも、アジア各地のオフィスにでも、どこにでも申請を出せます。その申請書に書かれた内容を吟味してから、次の段階として過去の作品や活動の資料に目を通します。そこからより注意深くその申請者を知る作業に入り、我々はここで最終候補に選ばれた申請者たちに実際に会いにいきます。ですので、我々のスタッフはアジア各地によく出張に出かけます。

──それはつまり「面接」ということですか?
 ACCでは「面接」という言葉を意識して使わないようにしています。「申請者に会う」というのはつまり、申請者の《地元》で会うことによって、彼らが誰なのかよく知ることができますし、彼らの作品や仕事が地元の文脈の中でどのような位置を占めているか、そもそもその《文脈》とはどんなものなのか、それを把握したい。それが申請を評価するプロセスの一環となるわけです。しばしば、我々の付き合いのある人で、申請者の仕事に近いところにいる人物に面談を頼む場合もありますが、基本的には、助成対象者を決定する前に我々スタッフ自身が申請者と会うのが基本です。

──どれくらいの人数の人がACCに申請をして、どれくらいの人数の人がACCのスタッフと《会う》段階にまでゆくのでしょう?
 あまり一概には言えませんが、例えば今年なら、「申請したい」とACCにコンタクトをしてきたのがたぶん1000件くらいで、そのうち700件くらいに申請書を送付しています。そこからだいたい450件ほどが実際にACC申請書を提出し、その先に我々スタッフが会う個人の申請者は、80人くらいでしょうか。最終的には、アメリカ人がアジアに行くケースも含め、対個人・対団体合わせて、合計100件が助成を獲得します。

──どのような人が審査に携わるのですか? 「審査委員会」のようなものを作っているのですか?
 「アドバイザー委員会」というものを、各地・各(芸術の)ジャンルごとに設けています。アジアの4つのオフィスにも、現地ごとのアドバイザリー委員会があります。委員たちは実際に集まって話し合い、推薦する者を決めます。我々はこれも意識して「審査委員会」とは呼ばずに「アドバイザリー委員会」と呼んでいるのですが、というのも、彼らの話し合いは(決定ではなく)推薦をすることであり、あくまで長い審査の一過程だからです。また、受けた申請の内容によって種類の違うアドバイザリー委員会を設けたりもします。

──私は自分の仕事上、ニューヨークを訪れたいと思っている日本人のアーティストや、日本へ行きたいと思っているアメリカのアーティストなどに数多く出会うのですが、彼らの渡航の希望が、「展覧会をやりたい」とか「公演がしたい」とかいうのではなく、むしろ「行ってみて、何が起こっているのか見てみたいのだ」というような場合には、ACCの説明をして申請してみてはどうかと勧めています。何人かは、実際にACCにコンタクトをして、興味の内容を簡単に説明したものを提出し、めでたく申請書を手にしたりしています。
 それは良いですね。どうやって申請するかということについて言うならば、まずはインターネットや何かのきっかけで我々のことを知った、というケースがあります。二つ目には、我々のことを知っている人や以前にACCのフェローだった人々が、貴女がなさっているように、若いアーティストや研究者にACCの話をする場合。我々の過去のフェローはアジア全土とアメリカに5000人いますから、彼らは申請を広く奨励したい我々にとって貴重な広報資源です。そして三つ目。ACCのスタッフが出張先で、すばらしいアーティストに出会い、その仕事の重要さを感じ興味をそそられて、「ACCを通じての国際的な体験をすることが、この人の利益になるのではないか」と思った場合、そのアーティストに申請を勧めるケースです。

──ACCのスタッフが勧めたからといって、申請の審査過程が免除されるということではありませんよね?
 もちろん免除などされません。誰もが申請書を提出しなければなりません。申請しようとしている人たちに私がいつも言っていることですが、競争率の高い助成金の審査というのは、最初はなにしろ脆弱な申請を振り落とす作業に始まります。簡単に半分くらいの数になる。この作業を繰り返して、だいたい最後の10件くらいにまで絞った時点では、すべてが強力な申請ばかりになっているものです。この中からたった一つを選ばなければいけない場合、どうするのか? そこまでくると皆等しく助成を得る価値があるのです。最後の段階での決定は、まったく本当に難しいものです。
 つまりは、時には良い結果かもしれないし、時にはそうではないかもしれない、そういう理解のもとで成り立っているのが助成申請というものなのです。アートの世界にいるアメリカ人は、なにしろ「助成申請」という歴史とすでに50年つきあっていますから、このコンセプトを受け入れていると思います。けれども、アジアの多くの地域においてはこのプロセスは新しいものなので、ACCから助成申請書が送られて来た時点で、申請者たちは助成金がもらえると思ってしまうかもしれません。

──そうですか。でも日本ではそんなことはないと思いますが…。
 今はそんなことはないですが、かつては日本もそうでした。アジア各国の芸術や学究の世界にいる人たちが、助成あるいは賞与のための「公募申請」というコンセプトを学習することにおいて、ACCは一翼を担ってきたと思います。
 
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