The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Presenter Interview
The IETM network, contributing to the promotion of collaborative commissioned works and tours in Europe
ヨーロッパにおける共同委嘱やツアーの進展に寄与 IETMのネットワーク力
コンテンポラリー・パフォーミングアーツ国際ネットワーク会議「IETM@TPAM」採録集

コンテンポラリー・パフォーミングアーツ国際ネットワーク会議の東京サテライト・ミーティング「IETM@TPAM」は、東京芸術見本市2008の併設事業として2008年3月3日〜5日の3日間にわたって開催された。IETM@TPAMのすべてのレクチャーおよびセッションの内容を記録した「IETM@TPAM採録集」は以下のサイトからダウンロードできる(英日とも公開中)。
トップページの右下、「IETM@TPAMレポート」をクリックしてご覧ください。
http://www.tpam.or.jp/
http://www.tpam.or.jp/ietm/ietm.html


東京芸術見本市2009 開催日程

会期:2009年3月4日〜7日
会場:恵比寿ザ・ガーデンホール/ルーム

「TPAMショーケース」:
2009年2月28日〜3月8日

東京芸術見本市ホームページ:
http://www.tpam.or.jp/
──IETMという組織の運営体制を伺いたいと思います。予算やスタッフの数は? それからIETMがブリュッセルに本拠を構えている理由を教えていただけますか?
 IETMの運営予算は、年間35万〜50万ユーロです。ただし、総会などの会合は開催地のパートナーとの共催なので、この数字は、共催者が現地で調達する資金や経費を加えることで倍加します。つまりこれを含めれば、年間運営予算は約100万ユーロ(約1億6000万円)ということになります。
 最初に述べたように、IETMの最初の8年間は、まるでパーティーみたいにフェスティバルのたびにあちこちに集まってはミーティングを開催していました。その頃はちょうどアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルや、ヴィム・バンデケイビュス、ヤン・ローワース、ヤン・ファーブルといったダンス・アーティストが登場した、いわゆる「ベルギー・フランダースの波(フレミッシュ・ウェーブ)」が起こり始めた時期で、フランダースのプレゼンターたち自分たちの組織を立ち上げようとしていました。のちにそれが、フレミッシュ・シアター・インスティテュートとなります。この団体のディレクターに就任したのが、IETMの創設者の一人です。彼が「IETMのために、私のオフィスの一角と、自分のスタッフを時々使っていいですよ」と言ってくれたことが、今もIETMがブリュッセルに本拠を構えている理由です。多くの人々は欧州連合がブリュッセルにあるからだと思っていますが、それが理由ではありません。
 IETMには、さまざまな国から集まった20人〜25人のボードメンバーによる理事会があります。そのうちの6人が「デイリーボード」と呼んでいる常任理事に指名され、この6人が理事会を招集します。そして25人でネットワーク全体の責務を担うという構造です。私を含めて事務局スタッフは5人。3人の正規スタッフと、任期1年のスタッフ2人、加えてインターンがいますから、総勢8人ほどになりますね。非常に小さな体制ですが、当初は1、2人のスタッフしかいなかったことを思えば今や大所帯です。小さい組織だからこそ、私たちは会合を開催するために共催者らパートナーたちと何から何まですべてやらざるを得ません。

──貴女はどうして今のエグゼクティブ・ディレクターのポジションについたのでしょう?
 IETMの前は、主にコンテンポラリーダンスや音楽劇、そして時々バレエの公演のツアー企画や、プログラミングをしたりするという仕事に従事していました。その後、イギリス南西部のアーツ・カウンシルでダンスと実験的なパフォーマンスの事業を担当しました。その頃、ヨーロッパの文化行政についての修士号取得のための勉強をしていましたので、ヨーロッパにおける共同制作の現場を見たいと思い、そういった作品を作っている人たちに修士論文のためにインタビューをしていたんです。興味深い作品をつくる人たちは皆IETMのメンバーだったのです。それで、IETMは面白い組織に違いないと思い、自分もメンバーになりました。その後、事務局長(Secretary General)のポジション---ヨーロッパの慣習でエグゼクティブ・ディレクターとは呼ばないのですが---に応募したところ、採用されたわけです。

──2008年の3月に東京でサテライト・ミーティングが開催されました。その前の年はソウルで、その前は中国でした。IETMはヨーロッパの国々が中心のネットワークだと思いますが、なぜアジアで開催するのですか?
 「インターナショナル」と組織名に付けているにも関わらず、IETMのメンバーの85パーセントはEUと非EUを含むヨーロッパ圏の人々です。つまり、15パーセントは他地域圏のメンバーですから、ヨーロッパの状況とそれ以外の世界の間の架け橋をつくりたいと考えています。ヨーロッパ圏のメンバーが、アジアでは誰に会って、何を観るべきで、何を討議すべきなのか知る機会を設けたいと思いました。その逆も同様で、アジアのプレゼンターがヨーロッパとコラボレーションをする機会がもっと増えるようにと考えています。
 お察しのように、会合の開催には多額の資金が必要です。その資金は、開催地のパートナーがファンドレイジングします。ほとんどのパートナー、つまりIETMと共に会合を開く共催者は、IETMのメンバーです。開催地は開催を希望するパートナーが名乗りを上げ、最終的に私たちの理事会で決議します。地理的なバランスは考慮しますが、こちらからほとんどアプローチをしたことはありません。常にいくつかの候補者が自ら名乗り出てくれますし、時には非常に若く小さな団体が野心的に名乗り出てくれることもあります。そういう場合には「まだちょっと早いかもしれない、何年か様子を見て、共催できる体力がつくまで待ちましょう」と示唆することもあります。

──開催地での上演プログラム内容に、IETMは関与するのですか?
 いいえ。総会にしてもその他の小さな会合やサテライト・ミーティングにしても、芸術的な部分の判断は開催地の共催者に任せます。私たちが口を挟むとすれば、「国際的なプレゼンターにふさわしい作品を見せてほしい」ということと、抜粋バージョンではなくフルレングスで作品を上演してほしいということぐらいです。いずれにしても芸術的な部分の判断は、共催者に一任しています。

──東京でのサテライト・ミーティングの感想はいかがですか?
 異文化の出会いという観点から興味深かったのは、ヨーロッパ人はよくしゃべって大いに質問をするというのに対して、日本人は静かで聞くことに徹しているということです。我々ヨーロッパ人はこのことについて、おそらく日本人は質問攻めにすることは礼儀に反すると感じているのかな、と思いました。この経験をふまえて、もしまた会合を日本で開くことになれば、日本人とヨーロッパ人とがより深く論議を交わせるよう、各種のセッションをもっとずっと小さな規模に分けていくべきだろうと思います。

──各種の会合をさまざまな場所で開催することのほかに、IETMはどのような活動をしているのでしょう?
 IETMは政治の面で非常に活動的で、ヨーロッパ圏という範囲において実に多くの唱導活動をしています。また舞台芸術環境のヨーロッパにおける向上のために多くのロビー活動もしています。

──「政治の面で活動」や「ロビー活動」というと、具体的にどのような行為を指すのですか?
 「政治の面での活動」としてはさまざまな諮問委員会の役員として参加する、諸団体の理事を務める、ヨーロッパ内外の文化政策シンクタンクと協働するといったことを行っています。例えば、私が12人のメンバーの一人として務めていたEUの諮問委員会では、「今後10年間、若者・学生・研究者・アーティストなどがヨーロッパ内で活動しやすくするための勧告案」をEUに提言するため6カ月間かけて準備をしました。
 また、芸術支援の諸法令を研究して、実際には効力が発揮されていない政策や、現代舞台芸術をめぐる環境の向上が阻害されていないかを調査します。企業が行っている各種の助成や支援の状況について調査し、いかに役立てるかを提言したりもします。例えば、ベルリンの壁の崩壊後は、東欧や中央ヨーロッパの環境は向上するだろうと誰もが思っていました。実際には資本主義・自由主義社会において公からの助成は減少し続け、民間からのスポンサーも増えていない---このような状況を非常に憂慮しています。
 これらの調査を会合で報告したりしています。時には、問題の根はどこにあるのか、より深い研究を外部に依頼することもあります。そして、各レベルの政府機関や財団、企業を対象にした勧告・提案を作成し、政治家や財団や大企業の門を叩いて、「これがヨーロッパの将来構想ですが、ご賛同いただけますか? 参加していただけませんか?」と陳情に行きます。IETMは単なる交歓の場所ではない、もっと多面的な活動をしています。
 
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