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Presenter Interview
Interview with Marie-Helene Falcon, Director of TransAmeriques, the leading performing arts festival in Canada's Quebec Province
カナダ・ケベック州の舞台芸術を牽引するフェス トランス・アメリークのM・H・ファルコンに聞く
──フェスティバルの運営についても聞かせてください。まず、予算のことを聞いてもよいでしょうか?
 今年の場合でいうと、全体予算がおよそ280万カナダ・ドル(約2.8億円)です。前回は270万ドルでした。この規模のフェスティバルとしては、予算は少ないと思います。たとえばブリュッセルのクンステン・フェスティバルよりもだいぶ少ない予算でやっています。
 収入の中では公的助成金が、ざっと3分の2くらいを占めています。いちばん支援してくれているのはケベック州政府(ケベック州芸術人文評議会、収入の36%)、それからカナダ連邦政府(遺産省とカナダ芸術評議会、20%)、最後にモントリオール市とモントリオール芸術評議会(9%)です[注:カナダでは、ケベックまで含めて、芸術文化に対する助成は政府から独立した助成機関によって行われている]。支出の内訳は、プログラムの準備費用と作品制作費とで63%、広報と観客開発とで22%、事務局の経費が15%となっています。
 民間企業から援助を得るのはなかなか難しいですね。北米といっても、ケベックでは企業メセナはあまり盛んではないんです。モントリオールのジャズ・フェスティバルくらい有名になれば、話はちがうわけですが。でも、現代演劇やダンスに対する企業の支援は、アメリカ合衆国でもそう大した金額にはなっていないと思いますよ。
 チケット収入は、公的助成金に次いで、重要な収入源です(チケット販売収入、その他の収入を合わせて収入全体の35%)。チケットの値段はもう少し下げられればもっといいと思っているのですが、助成金が潤沢なヨーロッパとは違って北米の文脈では、なかなか難しいです。でも、作品を見るほど割引が大きくなるようにしたり、野外で行う無料の公演を必ず入れるようにしたり、できるだけ幅広い観客とフェスティバルの接点をつくるようにしています。

──観客といえば、フランス語系、英語系の割合はどれくらいなのでしょうか。
 フランス語系のほうがかなり多いですね。モントリオール市にしてもケベック州にしても、フランス語が主要言語ですから、それは仕方ないと思っています。もちろん、プロフェッショナルの観客、つまり、世界各地からやってくる劇場やフェスティバルのディレクターやプログラム担当者には、フランス語がまったく話せない人も少なからず含まれていますが。
 ただ同時に、私のフェスティバルは「現代における創造」を中心にしているとはいえ、芸術にまったく関心がない観客にも劇場に足を運んでもらいたいと思っています。まさに今、おこなわれている芸術の最先端を見せようというわけですから、すでに現代芸術に関心を持っている層が多くなるのは仕方のないことではあります。

──会場は全部、有料で借りているのですか? 上演作品は劇場と相談の上で決めているのですか?
 ええ、自前の会場は持っていませんので、すべて会場は上演期間中、借り上げています。痛い出費ではありますが。上演する作品の選定に関しては、フェスティバルが行っています。一部、劇場との共催の場合は、劇場側との合意の上で作品選定をしています。

──事務局のスタッフは、通年では何人体制なのですか? 有能なだけでなく、ほんとうに気持ちよく接してくれるスタッフのみなさんのおかげで、私のモントリオール滞在も、実りの多いものになりました。
 年間を通じて雇用されているスタッフは全部で11人です。フェスティバル期間中は、舞台の裏方や警備スタッフまで含めると、最大で200人ほどが働いています。毎年、研修生をスタッフに受け入れていますが、今年は7人を受け入れました。研修生をコピーとりに使うなんてことはせずに、大事な仕事を何かひとつ全面的に任せるようにしています。優秀な人材が多く集まってくれるおかげで、安心して仕事を任せることができるのは、幸運としかいいようがありません。

──2009年のアヴィニョン演劇祭は、モントリオールのカナダ国立演劇学校に学び、ケベックで演出家として活動を始め、世界的に評価されるようになったワジディ・ムワワドが、アソシエート・アーティストになるそうですね。正式な演目はもちろんまだ公表されていませんが、ケベックのアーティストたちのすばらしい仕事ぶりを、あらためて確認する機会になるのではないかと思うと、楽しみでなりません。今日は、ほんとうにどうもありがとうございました。
 こちらこそありがとうございました。
 
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