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Presenter Interview
Oh Tae-sok, a genius of Korean theater and Artistic Director of S. Korea's National Theater and National Drama Company
韓国演劇界の鬼才、オ・テソク(呉泰錫)韓国国立中央劇場・国立劇団芸術監督に聞く
国立劇団公演『胎』
(作・演出:呉泰錫)

1974年、ドラマセンターで初演(アン・ミンス演出)される。劇団木花旗揚げ後、呉泰錫自身が演出を手掛け、代表作となる。1997年、国立劇団で公演され、観客が再演を望む作品ベスト3に選ばれ、2000年には国立劇団50周年記念作として上演された。2006年、韓国政府が、文化芸術を通じて韓国に対するイメージを高め、韓国文化を海外に広める戦略のひとつとして国家ブランド演劇を選定したが、その第1号作品となった。
『胎』は、幼くして王位についた端宗を暗殺し王座についた世祖が、権力に対する欲望と端宗の家臣をことごとく処刑した罪悪感の間で、狂気と破滅へと向かっていく内容だ。韓国史の実話をもとに、古から変わることなく繰り返される人間の愚かさを描くとともに、人間存在の哀れさを表出する。
胎
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──木花では志を同じくする同人劇団にこだわり、変わることなく黙々とご自身の演劇世界を構築なさってきましたが、国立劇団で何をなさりたいと思いましたか。また、就任後に国立劇団が変わった点はありますか。
 役に合った年齢の俳優たちと作品をつくりたかったし、自分の作品もそうですが、国立劇団の作品やレパートリーの完成度も高めたいと思いました。朝鮮6代王端宗(タンジョン)と朝鮮7代王世祖(セジョ)の政治的葛藤を背景にした『胎(テ)』は国立劇団で以前に何度か公演している作品ですが、就任後、伝統を活かした韓国を象徴する国家ブランド演劇の最初の作品に選ばれ、3年間の国家助成を受けて制作しています。初年度に再演、2年目にはインド公演、来年はポーランドと日本での公演を準備しています。特に史劇は、その役に見合った年齢の俳優と十分な稽古が必要なので、国立劇団だから可能な作品といえるでしょう。
 私が就任して変わった点は、どうでしょうね。国立劇団が本格的な芸術監督制になってから、まだ10年にもなりません。芸術監督制の前は、俳優たちの中から団長を選んで運営していました。私から任期が3年制になりましたが、前芸術監督たちは2年でした。まだ、芸術監督と国立劇団の両者が、国立劇団における芸術監督とは何かを模索している段階なのかもしれません。長い間のシステムはそう簡単には変わりません。芸術監督というそれぞれ違う色をもった新しい風が吹き込み、徐々に変わっていくのではないでしょうか。

──国立劇場に芸術監督制が導入されたのはいつですか?
 2000年だと思います。演出家のキム・ソクマン氏、キム・チョルリ氏の時は、団長もいて2人体制で国立劇団を支えていました。その後、イ・ユンテク氏から単独芸術監督制になり、私は2代目です。国立劇団は俳優集団です。韓国演劇界が演出家の時代と言われるようになり、潮流が変わり始めたのを契機に国立劇団も外部の演出家を芸術監督として起用し始めました。

──国立劇団の人員構成と年間公演は?
 現在、俳優は26名、年間4本以上の作品を公演しています。作品は最終的には芸術監督が決めますが、観客のアンケート、韓国の古典作品の再創造、モリエールやシラー、シェイクスピアやチェーホフの西洋の古典作品、それと創作戯曲の4つの柱で年間レパートリーを組んでいます。特に創作戯曲には力を入れ、一般公募とともに、30代〜70代の劇作家に作品依頼をして、競わせるというのはおかしいですが、その中から1作品を選ぶこともしています。
 演出家は国内だけでなく、海外からも招聘しています。特に1年に1作品は公演している「世界名作舞台シリーズ」の時は、海外の演出家を招いて、西洋演劇の演出法を俳優も観客も体験できるようにしています。今年はドイツのイェンス・ダニエル・ヘルツォークを招聘し、『テロリスト・ハムレット』を公演しました。私も一部劇中劇の部分を担当させてもらいましたが、西洋と東洋が混在する楽しい仕事でした。そうそう、それと今年は俳優たちにも「スタジオ俳優熱戦」という企画で演出する機会を与えました。鄭義信さんの『冬のひまわり』を中堅俳優イ・サンジクが演出し、国立劇団の若手俳優たちが総出演して好評でしたよ。

──最近、国立劇場と海外団体との交流も盛んになった気がしますが。
 国立劇場は以前から海外と交流していましたが、館長がシン・ソンヒ氏に代わり、活発になり始めたように思えます。去年から『世界国立劇場フェスティバル』を開催していますが、第2回目の今年は、10月1日から30日まで、フランスのオデオン国立劇場、ノルウェーのベルカントフェスティバル、中国国立バレエ団などが参加し、韓国の団体も合わせて11団体が公演します。また、国立劇場の各専属団体も年々海外公演、海外交流に力を入れるようになってきました。最近、韓国は国家次元で文化ブランドを海外に出すことに力を入れていますからね。

──今年で芸術監督の任期を終えるわけですが、国立劇団に対する今後の希望は?
 就任して一番残念だったのは、公演期間が短いことでした。1週間程度の公演期間では、作品の完成度はなかなか上がりません。演出も、俳優も、観客と出会い、何かをつかみ、舞台に集中し始めた頃に幕が下りるという感じです。先ほど俳優の層の厚さと経済的な安定についてお話をしましたが、これが国立劇団の長所なら、公演期間が短く、作品の完成度をなかなか上げられないシステムは短所といえるでしょう。俳優は何といっても、舞台を経験することで、訓練され、演技力が向上していくものなのに。
 私としては、20人ほどの俳優を1チームとして2チーム40人が常時稽古しているのが理想です。作品によってはオーディションも行い、外部の俳優とも切磋琢磨し、休むことなく作品が上演されている。演劇と俳優はコンクリートミキサーと同じです。止まるとどんどん固まっていきます。回り続けることで、いつでも柔軟な演技と作品を創出できるわけです。これは、予算や観客動員など、制作的なことも絡むので簡単には変えられないと思いますが、今後検討してもらえればと願っています。
 
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