The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
A gateway to recognition for young musiciansLooking at Young Concert Artists in today’s music world
若手演奏家の登竜門 ヤング・コンサート・アーティスツの現在
──ちょっと違う質問を。YCAの活動を支えるファンドレイジングはどのようにされていますか?

W:いい質問です。資金調達での成功の鍵は、わたしたちの場合、個人の興味なのです。ひとり当たり年間50ドルから、何百、何千ドルまで、音楽が好きで、わくわくさせてくれる若いアーティストを支援するという考えに賛同する個人が寄付してくれるのです。毎年オーディションにも足を運んでくれますし、ニューヨークとワシントンで行われるデビューコンサートには必ず聴きに来てくれる一番熱心な聴衆でもあります。ニューヨークとワシントンにそれぞれ理事会があって、理事のみなさんは友人を誘って輪を広げてくれる、これが一番大きな支えになっています。財団からの支援もありますが、このところ財団からの支援は減っています。支援元が財源を使い切っていたり、クローズする傾向にあります。アメリカではすべての芸術団体があらゆるコスト削減を行っています。しかし、YCAは元々小所帯なのでスタッフ削減はしたくないと思っています。やるべきことができなくなるのは避けたい。ですから、その他の支出を抑えたり、新しい支援者を探したりしています。芸術や音楽が人々に与えるものは喜びそのものですから、こういう状況では前にも増して求められています。素晴らしい音楽家たちがつくり出す音楽は、魂の愉楽です。だからこそ、求められているからこそ、音楽家も愛好家も音楽が聴ける機会をつくる努力をするのです。そんなふうに感じる人たちをもっと見つけ出して、それを実現するための助けを求める努力を続けています。

H:YCAは若いアーティストの助力をするチャリティです。毎年個々人がこの組織を支え、物事が実現するようにお金をくれます。ベストな若手支援には手間がかかり、やることも考えることも多い。ファンドレイジングはアーティスト支援を実現させるためのものです。ですから、資金調達ばかりに時間を取られて、アーティストたちのための仕事をする時間がなくなったら、本末転倒ですよね。

──YCAは若い才能を支援するための哲学をお持ちだと思います。

W:さっきも言ったように、最も重要なのは、並外れた何かを持ち、技倆にも優れた人を選ぶことです。教養知識の面でも十分で、音楽を通じて何かを人々に伝えるカリスマ性をもつ人です。私たちの哲学とは、アーティストをサポートすることで、彼らが花開き、音楽の道へと前進していくことです。聴いてもらえる機会が増えれば増えるほど、次の機会を掴むことができ、より前進できるのです。
 YCAが始めて展開してきた方法ゆえに、アメリカのほとんどのコンクールは今、ただ賞や賞金を与えるというものではなくなりました。多くの有名なコンクールも、ただ賞を出すのではなく、最低でも2年契約で優勝者のサポートを行い、キャリアを踏み出す助力をするようになったのです。ほかにも、これまでなかったような若手アーティストのための支援プログラムが出来ています。YCAがやったことが基になって、若い優れた音楽家のために仕事をしたり、そのキャリアのスタートを支援することの重要さにみんなやっと気がついてくれたようです。

H:YCAはほかが始めるずっと前から、若いアーティストのための支援をしてきた組織です。多くの団体は今や私たちの真似をしています。YCAはアーティスト支援のためだけに存在してきたのです。メトロポリタン歌劇場やカーネギーホールは100年以上の歴史がありますが、若い音楽家のサポートプログラムに関しては彼らが始めるずっと前から私たちは活動しています。
 さらにYCAには15年前にどこよりも最初に始めた、若い作曲家を支援するプログラムがあります。若い作曲家にとって、YCA以外でこういう機会はほとんどありません。作曲委嘱やコンクールはあっても、マネージャーの替わりをしてくれたり、さまざまな方法でサポートしてくれるところはないのです。というわけで、私たちのサポートを受けている、若手世代のトップクラスの優れた作曲家でも、ほかに行くところがないので、10年もYCAにいるアーティストもいるほどです。
 私たちは、隔年で特別委員会を開き、YCAの若手作曲家の新曲を披露し、楽譜を見てもらう機会を設けています。委員会に出るためには、YCAが選んだ作曲家に2曲委嘱し、YCAのアーティストがそれを演奏するというものです。作曲家と演奏家の出会いのきっかけにもなるし、作曲家にとってはさらなる新曲委嘱の機会、演奏家にとっては演奏の機会が増えることに繋がります。同じ世代の作曲家と演奏家が一緒に仕事をすることも素晴らしいことです。

W:YCAがいつもやっていることがそれです。何かが起こる。そう、「YCAは新しいことを実現させるところ」なんです!

──2010〜11年のシーズンが50周年になりますね。もし決まっていることがあれば教えてください。

W:記念事業については本当にこれから考えていこうというところです。「新しいことが有機的に起こっている」とマークが言ったように、次々に新しいことが実現しようとしています。例えば、東京クヮルテットは、YCAの10周年の年にYCAデビューしました。ということは、こちらの50周年は彼らの40周年です。この前ヴィオラの磯村和英さんから電話があって、彼ら40周年のシーズンには、YCAでデビューした時のプログラムでコンサートをするのだそうです。ニューヨーク公演のときには、こちらの周年企画でも関連づけて何かやってもらおうと思っています。たぶん、ほかにもたくさんイベントを考えていくつもりです。ニューヨークだけではなくて、できればほかの場所でも。YCAのアーティストは本当に世界のあちこちにいますから。
 
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