The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Presenter Interview
Leading South Korea’s dance world  CID-UNESCO Korean Chapter and SIDance
韓国ダンス界をリードする国際舞踊協会韓国本部とSIDance
モーリス・ベジャール『バレエ・フォー・ライフ』(2001年)
モーリス・ベジャール
写真提供:SIDance
プレルジョカージュ・バレエ団『春の祭典』(2003年)
プレルジョカージュ・バレエ団
写真提供:SIDance
アクラム・カーン・カンパニー『ma(大地)』(2004年)
アクラム・カーン
写真提供:SIDance


アジア、アフリカの若手ダンサーたちが集う国際合同公演
国際合同公演
国際合同公演
写真提供:SIDance
──SIDanceへの招聘作品を決めるポイントは?
 どのようなダンサーやカンパニー、作品を招聘するのかというのは、そのフェスティバルの哲学や方向性、アイデンティティを決める大切な要素です。
 芸術監督としては、まず“ダンスの本質”、具体的に言うと身体性やムーブメント、このようなダンスの核となる基礎的なもので決めています。甚だしくコンセプチュアルだったり、シアトリカルなものは招聘しないということではありませんが避ける傾向にあります。私自身、頑固なところがあって、音楽は音で、絵画は色や線で語るように、ダンスは身体と動きで語るべきだと思っているところがあります。最近は様々なジャンルがミックスした作品も多くありますが、基礎があってこそ、です。素晴らしいクロスオーバー作品やフュージョン作品が生まれるためには、各ジャンルが最高の水準でなければなりません。なのに、基礎も何もない演劇とダンスが出合って、まるで三流ミュージカルみたいな作品がいとも簡単に生産されています。ひどい状況です。少なくともSIDanceでは、ダンス固有の美しさ、固有の基礎を見せたいと思っていますし、これに見合う作品を選んでいます。もちろん、フェスティバルですからシアトリカルなもの、コンセプチュアルなもの、ノンダンス的なものと多様にプログラミングしていますが、メインはダンスの本質をきちんと見せてくれ、考えさせてくれる作品です。
 次はダンスの社会性です。私自身、評論家、記者という観客出身なのでそう考える傾向が強いのかもしれませんが、社会的にどのような影響を与え、歴史的にどのような脈絡にあるのか、そういうことを考えて選びます。
 最後に、フェスティバルもある種のイベントなので、多くの人に見てもらわなければ意味がないわけです。ですから、観客が見たくなる、観客を誘惑できる作品ということも大切です。
 このようにいくつかの視点で作品を選んでいるせいか、SIDanceはわりと幅広いダンスを網羅してプログラミングされています。コンテンポラリーダンスだけでなく、伝統舞踊、タンゴやフラメンコなどにも、ダンスの本質を感じる作品があるのでこれらも招聘していますし、フェスティバルの華やかさを演出する大衆性を考慮した作品も招聘しています。

──SIDanceの財政面と規模は?
 全体予算は、毎年10億ウォン以上の(現レートで7,700万円)規模で、その40%〜50%が公的機関からの助成金、残りが企業スポンサーやチケットの売り上げです。この予算を成立させるためには、企業からのファンディングが重要なのですが、文化芸術の中でもダンスは一般的な人気がないので一苦労です。ソウル国際公演芸術祭や果川ハンマダン祝祭のように公的機関主導のフェスティバルとは違い民間フェスティバルなので、公的機関からの助成の増額を要求してもなかなか受け入れてもらえないのが現状です。ただ、国庫助成対象フェスティバルのなかで、“規模”“質”“ダンス界への影響”を評価され、2005年に優秀フェスティバルに、06年には最優秀フェスティバルに指定されたので、政府からの助成金は徐々にですが増えています。韓国には助成事業の評価制度があって、評価が上がると10%ずつ助成金が増額される仕組みになっています。また、招聘ダンサーやカンパニーの在住国家機関などが渡航費用を支援してくれてもいます。
 SIDanceの開催期間は20日前後、年によって違いますが10〜20作品、100名前後のダンサーが参加しています。観客は延べ1万2,000人前後です。

──国際舞踊協会韓国本部の大きな特徴のひとつはコラボレーション事業だと思うのですが、どのような国々と作品を作っているのですか?
 私自身、基本的にハイブリッド文化が好きだということが影響していると思うのですが、例えばマラッカ半島の孔子、仏陀、キリストを違和感なく共存させている村、ポルトガル人とアジア人の血を引く末裔が住む村、スペイン文化と土着文化が混ざった建築物、ブラジルやアルゼンチンの黒キリスト像、現地語によるカトリックのミサ音楽など、土着文化と外来文化、伝統と現代、東洋と西洋、どのような形であれ、ハイブリットなものに関心が向いてしまいます。
 私には、韓国人は各国の固有文化に対する理解も関心も低いように思えます。日本人は他文化に対する関心が高いじゃないですか。少しでも他者の文化に関心をもってもらいたいという思いもあり、直接交流できる場が必要と考え、コラボレーション事業を始めました。また、出来上がった作品をソウルとコラボレーションした国でも公演できるので、ダンサーたちの活動領域を広げられるメリットもあります。
 本格的なコラボレーション事業は、2002年日韓ワールドカップ共同主催記念公演として、小池博史の振付でパパ・タラフマラと韓国のダンサーが出演した『Birds on Board』と伊藤キムとアン・ソンスの共同振付による『祭りの日』をプロデュースしたのが始まりでした。05年の「日韓ダンス交流フェスティバル」の時も大駱駝艦などを招聘するとともに、日韓共同作品で山崎広太振付けの『Caused by Economy』、キム・ヨンヒ振付の『Somewhere』をプロデュースしましたが、とてもいい成果が生まれたと思っています。日本はもちろん、オランダ、シンガポール、メキシコ、カナダ、フランス、南アフリカ共和国など20カ国あまりと、SIDanceの枠内に限らず世界舞踊協会韓国本部が主催する様々な取り組みのなかでコラボレーション事業を行っています。
 2004年にアジア公演芸術フェスティバル協会の理事に選出されてからは、シンガポール・アーツ・フェスティバル、メキシコのセルバンティーノ国際芸術祭、日本の横浜ダンスコレクションR、フランスのモンペリエ・ダンスフェスティバルなど、各国のフェスティバル団体をカウンターパートナーにした共同プロデュースを行い、韓国内だけでなく相手国でも公演するコラボレーション事業を実現させています。
 また、07年に文化体育観光部が推進する「文化同伴者事業」の対象に民間団体で唯一選ばれ、07年にはアジアと南米、2008年・2009年はアジアとアフリカのダンサーと多国間コラボレーション作品をつくりました。
 コラボレーション事業の具体的な進め方は作品によって異なりますが、海外ダンサーを招聘することもあれば、韓国ダンサーを派遣することもあります。期間もそれぞれ違います。カナダ、メキシコ、日本の場合は、1カ月くらい現地で作品づくりをある程度し、韓国ダンサーは一度帰国し、公演2週間くらい前にまた現地に赴き、海外公演を終えてソウルへ戻ってきてから国内公演するという形を取りました。これらは2国間コラボレーションですが、「リトル・アジア・ダンス・エクスチェンジ・ネットワーク」では多国間コラボレーションも試みたことがあります。
 ダンスよりも活動が活発な演劇や音楽ジャンルでも、私たちほど数多くの国と多様な交流、多彩なコラボレーションを行っているところはないでしょうね。コラボレーションは招聘するよりも予算も掛かり、作品も評価が出ているわけではないのでリスクも大きいですが、やり甲斐があります。
 
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