The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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ウ・ヨン
Profile
ウ・ヨン氏(Woo Yeon)
1971年生まれ。
淑明女子大学国語国文科入学後、演劇部で劇作を始め公演芸術分野と出会う。卒業後、創舞会(舞踊)、劇団Modl Theatre(演劇)、韻志会(現代音楽)などの民間カンパニーのマネージメント、国際児童青少年演劇祭、創舞国際芸術祭などの国際フェスティバル企画を企画する事務所を立ち上げる。05年まで国際舞踊協会韓国本部が主催するSIDanceの企画室長も務め、「2005韓日舞踏フェスティバル&コンテンポラリーダンスフェスティバル」、「デジタルダンスフェスティバル」「ブリティッシュ・カウンシル・フォワードモーション韓国展」など、多様な国際ダンスフェスティバルの企画・プログラマーとして共同製作の現場にも携わる。06年、ソウル芸術団のプロデューサーとして国公立芸術団体の運営を学びながら、ミュージカルとトータルシアターの企画制作ならびに海外ツアーを推進。07年からは韓国文化体育観光部傘下の(財)芸術経営支援センター国際交流チーム長として勤務。「ソウル芸術見本市(PAMS)」をはじめとする韓国舞台芸術の海外進出市場開発と交流戦略事業の総括責任者として活動している。

(財)芸術経営支援センター
http://www.gokams.or.kr/MA/
(財)芸術経営支援センター
Arts Organization of the Month
→「今月の支援団体」(芸術経営支援センター)
Presenter Interview
2010.4.9
Serving as the “control tower” for the international outflow of Korean culture, Korea Arts Management Service (KAMS) 
世界進出の司令塔 韓国の芸術経営支援センター 
2006年1月に発足した文化体育観光部傘下の(財)芸術経営支援センターが、今年5年目を迎えた。芸術文化コンテンツの開発と育成に力を入れ、世界進出を文化政策の大きな柱とする韓国。その要とも言える機関が(財)芸術経営支援センターである。韓国の舞台芸術を海外へと送り出す司令塔である国際交流チーム長のウ・ヨンさんに、この5年間の成果と今後の展望について話を聞いた。
(聞き手:木村典子)


──発足当時、センター長だったイ・ギュソクさんにお話を聞いたことがあります。その時はPAMS(ソウル芸術見本市)を通じての海外交流・海外進出の促進がメイン事業のような印象でしたが、この5年間、組織も活動領域もずいぶん広がり、対海外の重要な機関になりました。
 私は07年から国際交流チームに勤務していますが、05年はPAMSを通じて、海外の関係機関にセンターの存在を認識してもらい、韓国舞台芸術のインバウンドとアウトバンド事業を推進するのが国際交流チームの大きな目標でした。その後、06年はPAMS以外に光州のアジア文化中心都市運営研究、エジンバラ・フリンジ進出助成事業、07年は海外進出助成事業、08年には海外拠点の開拓、伝統公演芸術の海外マーケット進出、北京オリンピック記念・韓中文化交流事業、09年には伝統芸術海外進出事業、国際交流知識情報化事業を新規に立ち上げるなど、多角的な視点をもって事業を拡張し具現化してきました。
 センター全体を見ても、足当初8名だった職員が現在では40名になっていますし、国からの予算も3倍になりました。5年という短期間で活動も領域もかなり大きく広がったと思います。

──基本的なことをまずお聞きしたいのですが、芸術経営支援センターの役割と国家機関としての位置づけは?
 当センターは、行政と創作現場、創作現場と流通・市場、流通・市場と観客、常にこれらの中間にあり、相互を結びつける機関だと思っています。舞台芸術に関わる様々な次元を有機的に結びつけることで、芸術団体の経営活性化と自生力強化を追及しています。これを追求するために、「国際交流」「人材育成」「知識情報」「コンサルティング」の4つの柱を立てて、事業と助成を展開しているところです。
 組織的には文化体育観光部の傘下にあります。2000年以降、文化芸術コンテンツの海外進出が文化政策の大きな柱なだけに重要なポジションを担ってきていますし、大きく期待されています。

──事業の管轄領域も広いようですが、どのような組織構成で、部署ごとにどのような役割を担当しているのですか。
 当センターの組織は、理事会の下に代表(常任理事)がおり、その下に3つのチームがあります。ひとつは「経営企画チーム」で人事、教育、予算、会計などセンターの総務的な役割を担っています。
 もうひとつは「支援コンサルティングチーム」です。専門芸術法人・団体評価センターの運営、税務・会計などの実務も含めた芸術団体の経営コンサルティング、文化芸術関連の制作者・経営者の育成(制作経営アカデミー)、芸術市場・芸術経営情報の構築と活用(芸術経営ジャーナル発刊)、公演芸術・視覚芸術の実態調査とデータベース管理、国庫助成事業の公演・視覚芸術の評価、芸術連帯会の運用と評価が主な仕事です。
 特に韓国はアートマネージメントの専門家がまだ少なく、人材育成が重要な課題です。そこで、公共・民間劇場、フェスティバル運営団体、企画制作会社、公演芸術団体など100団体を対象に、アートマネージメント専攻者、1年以上の現場経験者、インターンなど芸術経営を仕事として志望する100名を配置し、彼らの人件費を3年間助成するとともに、教育プログラムを提供する事業を行っています。具体的には、雇用側には1年目人件費の80%、2年目60%、3年目40%と段階的な助成を行い、徐々に自立したかたちでプロフェショナルな制作者を雇用できるように誘導しています。従事者には実際の現場での仕事を通じて舞台芸術の基礎と仕事に対する姿勢を経験してもらうとともに、オフライン・オンライン上で相互に情報交換や相談のできる「芸術経営CoP(Community of Practice)」というネットワークを提供しています。また、随時ワークショップも開催しスキルアップも図っています。
 このほか、芸術経営アカデミーを開校しています。これには、年間教育の制作経営力量強化プログラム(職務・リーダーシップ・芸術・学習の4分野27講義)、地方の人材を対象とした訪問実務教育プログラム、専門芸術法人・団体を対象にした活性化教育プログラム(マーケティング・財務と人事管理・組織管理・リーダーシップ・制度運営)の3つがあります。
 ここで専門芸術法人・団体について説明しておきましょう。韓国には2000年から文化芸術振興法に基づき施行されている「専門芸術法人・団体指定制度」という芸術団体をサポートならびに育成する制度があります。国公立の芸術団体、国公立劇場を委託運営する法人、民間の芸術団体を国や自治体が、専門芸術法人・団体として指定し、税制の優遇を図るとともに制度的な恩恵と専門家による経営コンサルティングが受けられるようにした制度です。2009年現在、全国320団体が指定されています。これら専門芸術法人・団体を拡充し、活性化させることもセンターの仕事のひとつです。そのためにホームページ、現状分析、白書の発行などの運営事業と制度の中長期法案、公務員ワークショップ、データベースの構築などの研究事業を行っています。
 最後に私の所属する「国際交流チーム」ですが、現在12名で国際交流と海外進出に関する事業を推進しています。インバウンド事業のPAMS開催、アウトバウンド事業の海外進出助成、地域別のネットワークと市場の開拓、情報サイト「The Apro(ザ・アプロ)」の運営などです。
 国際交流には様々な媒体があります。公演による実物交流、広報・宣伝・マーケッティングを通じた交流、情報・知識交流などです。これら媒体をフルに活用し、海外ネットワークの拡張、実物交流と情報交流の有機的な関係づくり、舞台芸術作品輸出のための循環構造の構築、芸術団体のグローバル力の強化など、持続性のある国際交流と海外進出に寄与できるシステムを構築することが事業の大きな目標です。
 
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