The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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Presenter Interview
Serving as the “control tower” for the international outflow of Korean culture, Korea Arts Management Service (KAMS)
世界進出の司令塔 韓国の芸術経営支援センター
──ウ・ヨンさんが舞台芸術界で仕事を始めたきっかけは?
 大学では国語国文学を専攻したのですが、指導教師が演劇界と繋がりがあったことから自分でも戯曲を書き、演劇部に所属して活動していました。大学時代、演劇の現場に出入りする機会が多かったのですが、演劇界では普通の暮らしはできないとつくづく実感させられました(笑)。そこで、卒業後は広告代理店に入社したのですが、やはり現場が忘れられず、3年ほど仕事をした後、フリーの制作者として公演芸術の世界に戻りました。
 当時はまだ韓国ではアートマネージメントという言葉にも馴染みが薄かったですし、制作という仕事も確立されていませんでした。98年に新しいシステムの制作事務所を立ち上げようと、企画、広報・マーケティング、カンパニーのマネージメントを主業務とした会社を設立し、国際児童青少年演劇協会(ASSITEJI)の児童青少年演劇祭、創舞会主催の創舞世界芸術祭、国際舞踊協会韓国本部のSIDanceなどの各種フェスティバルに関わりました。その後、会社を辞めて人生の休暇のつもりで6カ月ほどメキシコに滞在していた時に、SIDanceの事務局として呼び戻されました。SIDanceでの仕事を通じて国際交流、共同公演、海外進出、行政との関わり、国際的なアートマネージメント人材などについて深く考えさせられましたね。この時に国際交流基金と共同で開催した「舞踏フェスティバル」も手掛けています。
 数年仕事をしているうちに、これまで経験してきた次元とは異なる仕事、ダンスだけではなくもっと広い世界にも領域を広げたいとSIDanceの事務局を退職し、06年は公共芸術団体のソウル芸術団で仕事をしました。当時、舞台芸術関連フェスティバルを支えてきたフェスティバル第一世代と呼ばれる同年代のプロデューサーやプログラマーは、私同様に自分の領域に対する悩みを抱えていました。イ・ギュソクさんもそのひとりです。フェスティバルは次世代に任せ、私たちは違う形でそれを支える領域を求めて、それぞれの道を歩み始めたのがこの時期です。ソウル芸術団での仕事を踏まえ、次の次元を目指して芸術経営支援センターに入りました。ただ、私の最終的な夢は執筆家です。戯曲など創作的なものではなく、人間と世界について書いてみたいと今も思っています。

──経歴も常に自分のいる位置と次のステップを確認しながら積み重ねているようで、仕事同様にとても論理的で戦略的な感じがします。海外進出のなかでも戦略的に特に力を入れている分野は?
 現政府は伝統芸術の海外進出を積極的に推進しています。このような文化政策に基づき、センターでは伝統を基礎とした音楽の海外進出に力を入れています。伝統的な舞台芸術にはパンソリや舞踊など多様なものがありますが、伝統音楽は固有性・独自性とともに、若いミュージシャンたちの力にも世界に通用するものが感じられます。また、他のジャンルに比べてツアーを組みやすいという条件もあります。
 ただ、残念ながら世界的にはあまり知られていませんので、この分野を積極的に送り出すために別途事業を展開しています。海外の音楽市場を分析し、ミュージックフェスティバルやワールドミュージック界の専門家とのネットワークを現在構築しているところです。この2年間でヨーロッパ、北米と南米、オーストラリアの6つのマーケットに7団体を参加させ、30件あまり公演契約を結ぶという実績を上げました。今後はさらにこれを拡大させていく予定です。BBCが韓国音楽を紹介してくれたことがあるのですが、ネットワークづくりと同時にナショナル・ジオグラフィックなど世界的な媒体にもアプローチするアイディアを具体化していこうとも思っています。

──今後の展望と課題は?
 センターの発足から5年が過ぎ、ネットワークもかなり構築され、PAMSの存在も知られるようになりました。次の段階と課題に取り組む時期だといえるでしょう。今年からいくつか新しいプロジェクトを立ち上げています。
 ひとつは5カ年計画でイギリスの主要劇場とフェスティバルとの「ビジティング・アーツ共同協力」を進めており、イギリスとの協力体制とグローバル力の強化に取り組みます。最終的には共同製作した作品を、ネットワークを通じて海外ツアーに送り出したいと思っています。そのほか、「ダンス・インフォ・フィンランド共同協力」と「NPN共同協力」を通じてフィンランドとアメリカとの協力体制を強化させる予定です。今までは進出事業が多かったのですが、このような協力体制を構築することで安定した関係と相互交流の基盤を造成し、長期的な展望に立ったさらに深い国際交流が試みられると思います。
 また、韓国の舞台芸術を海外で集中的・多角的に紹介する韓国特集を積極的にプログラミングしているのですが、これまでは1都市での公演でした。これからは地域内ツアーを組む方向を目指して助成体制を強化しています。航空料金と付帯事業開催の助成のほか、数都市でのツアーを組むコンサルティングとサポートを提供する予定です。
 演劇ジャンルに対しては、翻訳助成を本格的に始める予定です。演劇はやはり言葉の壁があるので、「PAMSチョイス」としてショーケースで紹介しながらも、なかなか海外進出が難しい分野でした。
 このほか、外交商部の傘下機関である韓国国際交流財団との枠組みを越えた協力体制を構築し、助成予算と体制を強化できるように協議を進めているところです。
 今後の大きな課題は、国際交流や共同製作の現場を支える人材の育成と交流を持続させるための民間団体の国際社会に対する理解と実務能力の強化でしょうね。

──そのための取り組みはしていますか?
 センターという存在も事業も人材あってこそです。いくらセンターが海外とのネットワークを強化して、海外進出の機会をつくっても、それを発展させて交流や進出を持続させる団体がなければ意味がありません。センターは機会とノウハウを一時的に支援するだけですから。ある団体をある国に進出させたあと、一回性で海外体験を終わらせるのではなく、その後も独自に海外市場を開拓し、自らノウハウを積み重ねながら、進出できる力、交流できる力をもてることが理想ではないでしょうか。どうすれば、公的機関から民間へと進出・交流を手渡していけるのか、現在悩んでいるところです。
 このために国際交流人材育成のための「国際交流アカデミー」を開講しています。国際交流の基本、実務、ジャンル別のワークショップを4か月ほどかけて教育する事業です。また、エジンバラ・フリンジ進出、北米・南米とヨーロッパ進出のコンサルティングなど、国際交流コンサルティングも積極的に行っています。このように人材教育を行いながら、プロデューサーの強化を図るネットワークを新たに構築していく事業を今年から推進したいと思っています。

──私は正式にアートマネージメントを学んだことがないので、今までセンターを通じて芸術経営から国際交流まで様々な勉強をさせていただきました。また、韓国内の文化芸術に関する情報と動向を迅速に収集できる情報源として活用させていただいています。今後もご活躍を期待しています。ありがとうございました。
 
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