The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Contents
Presenter Interview
CINARS, over a quarter of a century  The vision and accomplishments of founder Alain Pare
CINARS四半世紀の歩み 創設者アラン・パレの挑戦






















*1
シナールはアーティストのエージェントやマネージャーを対象に、海外市場の開拓と、アーティストの海外公演に関するトレーニングセミナーを、国内外で100回以上行ってきた。その内容をより充実させ、2008年12月にモントリオールで“Stakes, ingredients and strategies for international touring”と銘打った5日間集中セミナーを開催した。
25年間で変わったこと

──25年間の歴史の中で、シナールはどのように変わってきましたか。

 実は、10年ほど前のことですが、多くの参加者から厳しい指摘をされました。「私たちは、ケベックやカナダのアーティストを数多く招聘して公演を行っているのに、そちらは全然私たちの国のアーティストを招聘してない」と。その通りでした。一方、カナダのプレゼンターたちも「シナールに行く必要はない。カナダのアーティストのことはもうわかっているから」と公言していた。そこで、シナールで海外のアーティストを紹介し、それをカナダのプレゼンターが見に来るようにすることも重要だということになり、互恵主義に基づく方針を打ち出して、内容を変えていきました。2008年に開催したシナールのショーケースでは、ケベック、ケベック以外のカナダ、カナダ以外のアーティストの比率は、2対1対2くらいですから、いまでは海外からのアーティストが約4割を占めています。
 シナールは、カナディアン・プラットフォームではなく、インターナショナル・プラットフォームと呼ばれたいし、そうありたいと思っています。各国のプレゼンターがモントリオールに来て、様々な国のアーティストと出会い、作品を発見するということでいいわけです。それでも、モントリオールで開催するのですから、我々はネットワークの要に位置していますし、アーティスト同士が刺激しあうので、カナダやケベックのアーティストのためにもなります。84年の開始当初はケベック州のアーティストを海外へ紹介するのがシナールの主目的でしたから、この点は大きく発展・変化したことになります。
 またカナダに限らず、全体的なトレンドとして、数年前からアーティスト、作品、プレゼンター、観客、すべてにおいて新しい世代が出てきているように思います。私たちの世代が新風を吹き込んだ20年前がそうであったように、新たな時代の胎動を感じます。今はちょうど芸術の創り手が色々な可能性を模索していて、面白いもの、そうでないものが混在していますが、それを受け入れ、見守り続け、サポートしなければなりません。もしかすると、大きなトレンドは、日本か他の国から出てくるかもしれない。それが全体を変えるほどの影響をもつかもしれません。

──現在、シナールでは「トレーニング」の領域に力を入れているように思います。
 3、4年前にある事実に気がつきました。私の回りのアーティストのエージェント、マネージャー、ダンスやシアターカンパニーやサーカスのディレクターなどが、皆、50歳か55歳以上で、若い人たちがいないのです。「これは大変だ。自分たちの世代の持っている経験、専門知識や技術を若い世代に伝えなければ。海外公演のためには、アーティストや作品をどのようにプロモートし、どのような準備が必要か、そのノウハウを伝える必要がある」と思いました。
 それで2009年に5日間の集中セミナー(*1)を企画しました。20人程の小規模のグループに対して、経験を積んだエキスパートがマーケティング、プロモーション、戦略的計画性、ディベロップメント(助成金をはじめとするファンドレイジング)などを教えました。私たちの世代が体当たり式で自分たちで身につけてきたノウハウを、若い人たちとシェアしようということになったのです。このトレーニング/セミナーは、とてもうまくいっていて、毎年新しい人たちが参加してきます。面白いのは、セミナーを受けて、自分は舞台芸術業界に向いていないことがはっきりとわかり、別の道に進む人もいるということです。普通は2、3年経験しないとわからない向き、不向きがセミナーでわかるのだから、彼らの時間や労力の節約にも役立っている(笑)。海外からもこのようなセミナーに対する要望があり、最近ではフィンランドやノルウェーでも行いましたし、スペイン、韓国からも要望があります。日本でもワークショップやセミナーをする話があります。
 それから私のオフィスには、1週間に2、3度、カンパニーの人が相談に来て、このような会話をしていきます。
A:「イタリアにツアーに行きたいのですが、アドバイスしてください」
C:「貴方のカンパニーはどんな作品をつくるのですか?」
A:「青少年対象の作品です」
C:「では、コンタクト先としては、これらのところが良いと思います(リストなど渡す)。でも、まずは、イタリアに行って彼らに会うことを強く薦めます。ただDVDやEメイルを送るだけではなく、彼らと会って、顔を見ながら話をする。そこからはじめることが大事です」
 そして、資金、労力、時間を無駄にしないためにも、良い計画をたてることをアドバイスしています。

──そのようなコンサルティングは、年間を通して無料で行っているのですか。
 はい。スタッフのサラリーは公的な資金で賄っていますから、このようなサービスを常時、無料で提供することができるのです。シナールはカンパニーに対して、「情報提供、テクニカルサポート、戦略的計画など、何でも、いつでも相談に来てください」と言っています。

──現在、スタッフは何人でバジェットはどれくらいですか。
 スタッフは5人で、予算はプラットフォームが隔年開催なので、開催年が約100万カナダドル、そうでない年が大体50〜60万カナダドルです。この種のイベントの事業母体としては、予算は小さいほうだと思います。
 
BACK
| 1 | 2 | 3 | 4 |
NEXT
TOP