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アーツカウンシル・イングランド
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アーツカウンシル・イングランド
Arts Council England

Address:
Arts Council England – National office
14 Great Peter Street
London
SW1P 3NQ
Tel: 0845 300 6200
Fax: 0161 934 4426
http://www.artscouncil.org.uk/
Arts Organization of the Month今月の支援団体
2013.11.11
アーツカウンシル・イングランド 
 英国アーツカウンシル(Arts Council of Great Britain, ACGB)は、第二次世界大戦後間もない1946年、戦争への反省と新たな国づくりを目指して発足した。初代会長となった経済学者のケインズは、ナチス・ドイツが芸術を政治的に利用したことに異を唱え、政府から一定の距離を置く「アームズ・レンクスの法則」を提唱、同時に芸術家に対するリスペクトを重視する考え方を打ち出した。
 1994年、ACGBはイングランド、ウェールズ、スコットランドの3地方に分割された(以下、アーツカウンシル・イングランドについて説明する)。最大規模のアーツカウンシル・イングランドは94年度予算2億3,400万ポンド(352億円/1ポンド=150円)で、その内4,800万ポンド(73億円)が同年から配分されるようになった宝くじ基金からの予算となっている。97年に労働党政権が誕生すると、文化政策が強化され、政府(文化・メディア・スポーツ省、DCMS)からの予算は増え続けて2009年度には4億5,300万ポンドとなり、宝くじ基金の1億7,200万ポンドと合わせて総予算は6億2,500万ポンド(938億円)となった。
 しかし、2010年5月に誕生した保守・自民連立政権は、深刻な財政危機を背景に大幅な予算削減を打ち出し、アーツカウンシルも14年度までに29.6%の予算削減目標が課された。実際、11年度の政府予算は3億9,300万ポンドに減少し、同時に大幅な組織改編も行われた。
 以前は9カ所に地域事務所と地域評議会が設けられていたが、その後の組織改編を経て、現在はイングランド全体を本部組織のあるロンドン、北部、中部、南東部、南西部の5つのエリアに分けて業務が行われている(マンチェスターに本部組織のサポートセンターあり)。ただし、意志決定を担う評議会は本部と各エリアに置かれ、地域の特性や戦略が反映される仕組みとなっている。なお、エリア事務所を含めた総職員数は2011年度の560人から13年7月には420人に削減された。
 現在のアーツカウンシルの事業は、英国の代表的な芸術機関や文化施設を対象とする全国戦略に基づいた資金提供(National Portfolio Funding、NPF)、様々な文化事業を対象とする公募型の助成(Grants for the Arts)、そして戦略的資金提供(Strategic Funding)の3本柱で構成されている。
 英国アーツカウンシルの事業は長らく、非公募の定期的な資金提供(Regular Funding)が中心だったが、2012年度に公募型のNPFに変更された。NPFの導入に際し、アーツカウンシルは「Achieving for Great Art for Everyone(あらゆる人に素晴らしい芸術を)」と題した10年間の戦略フレームを発表(2013年10月に改訂版発表)。そこには、5つの大きな目標が掲げられ、NPFの審査では、その目標を達成するための提案内容が重視される。2009年度の定期的な資金提供では880団体に3億4,500万ポンドが支給されたが、12年度のNPFでは696団体、3億1,500万ポンドと団体数、金額とも大幅に減少している。
 公募型の助成は、94年に宝くじ基金を財源に創設されたもので、申請は通年で随時受け付けられ、1万ポンド以下の申請は6週間で、それ以上の場合でも12週間で審査結果が発表されるなど、柔軟な仕組みが整えられている。実績を見ると、09年度が2,795件に6,500万ポンドであったのに対し、12年度は2,741件、9,400万ポンドと件数は変わらないものの助成金の支給額は大幅に増加した。
 アーツカウンシルが独自の戦略に基づいて実施する戦略的資金提供では、2012年度、アーティストや芸術団体に対し、約1,000件、1億6,600万ポンドの資金提供が行われた。アーティストの海外派遣や巡回公演、観客育成、組織体制の強化などが対象となっている。
 なお、アーツカウンシルの予算は上記の2009年度をピークに2年連続で減少したが、2012年度は、政府予算4億6,900万ポンド、宝くじ基金2億7,000万ポンド、計7億3,900万ポンド(1,109億円)と大幅に増加している。従来事業の政府予算は削減されたものの、美術館や図書館への政府からの資金提供がアーツカウンシルを経由して行われるようになったこと、ミュージック・ハブという音楽教育のための予算が教育省から付与されていること、戦略的資金提供と公募型の助成に対する宝くじ基金からの予算が大幅に増加したことなどが、その要因である。
吉本光宏[ニッセイ基礎研究所主席研究員]
 
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