The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
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2016.7.7
Japan Topics
アジア・プロデューサーズ・プラットフォーム(APP)キャンプが開幕(2016年6月26日〜7月2日)
 
 アジア域内の舞台芸術に関わるインディペンデント系プロデューサーなどがネットワークを構築し、国際交流や共同制作の環境づくりを議論する「アジア・プロデューサーズ・プラットフォーム(APP)キャンプ」が6月26日から7月2日まで東京と静岡で開催されている。APPキャンプは、アジア・ナウ(韓国)、パフォーミング・アーツ・アライアンス(PAA・台湾)、舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM・日本)、ライブ・パフォーマンス・オーストラリア(LPA)、パフォーミング・ライン(オーストラリア)が連携して取り組んでいるもので、2014年にスタート。第1回韓国、第2回台湾を経て、今回はON-PAMの主催により初の日本開催。詳細はON-PAMサイト参照。
舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)
http://onpam.net/

演出家・蜷川幸雄さん死去
 
 “世界のニナガワ”と称され、国際的にも活躍したスター演出家の蜷川幸雄さんが、5月12日午後1時25分、肺炎による多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。享年80歳。体調を崩しながらも酸素吸入器に車椅子という出で立ちで稽古に現れ、精力的に舞台演出に取り組んでいたが、昨年12月半ばに軽い肺炎のため入院。2月に予定していた自らの半生を題材にした新作『蜷の綿 Nina's Cotton』(作:藤田貴大)を中止するなど、現場復帰はかなわなかった。
 アングラ演劇から商業演劇に挑み、うち捨てられた民衆の過剰なエネルギーを投影したスペクタクルな群衆演出、聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、時代のメタファーである鏡や水舞台による空間演出などにより、演劇によって社会を映し出し、民衆とともに闘う姿勢を貫いた。生涯に演出した戯曲は約120本。若い俳優やスタッフ、劇作家との仕事に力を入れ、多くの演劇人を世に出した。また、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督として、55歳以上の無名の高齢者とともに個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索するさいたまゴールド・シアターに取り組み、社会現象になった。

蜷川幸雄プロフィール
 1955年に劇団青俳に入団。俳優活動を経て、67年に蟹江敬三、石橋蓮司らと劇団現代人劇場を結成し、翌年発表した清水邦夫作品『真情あふるる軽薄さ』で演出家デビュー。『想い出の日本一萬年』『明日そこに花を挿そうよ』『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』など、時代をアジテートするような若者たちの反逆精神を反映した作品を世に問う。72年に再び蟹江、石橋に清水を加えて演劇集団櫻舎を結成し、『ぼくらが非情の大河をくだる時』で旗揚げ。60年代〜70年代のアングラ演劇をリードする旗手として活躍した。
 74年に日生劇場で上演した『ロミオとジュリエット』で商業演劇の演出家としての活動をスタート。以来、うち捨てられた民衆のエネルギーを象徴したダイナミックな群衆演出や聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、シェイクスピア戯曲などのローカライズ、日本の劇作家と組んだ創作劇により長年にわたって活躍。83年、平幹二朗がメディアを演じ、辻村ジュサブロー(現・辻村寿三郎)がアートディレクターを務めた『王女メディア』により初のギリシャ公演を敢行。以来、海外で数多くの公演を行う。特にイギリスとの縁が深く、85年に初めて『NINAGAWAマクベス』を上演してから毎年のようにイギリス公演を行い、2002年には名誉大英勲章第三位(CBE)を受章。
 また、1984年から2008年まで、廃工場を再利用した空間「ベニサン・ピット」を拠点に、若い俳優・スタッフとともに小劇場演劇の試みを行うGEKI-SHA NINAGAWA STUDIO(2004年にニナガワ・スタジオに改称)で実験的な作品づくりに取り組み、多くの人材を育てた。1999年にBunkamuraシアターコクーン、2006年に彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任。彩の国さいたま芸術劇場ではシェイクスピア全37戯曲に取り組み、31作を上演。また、55歳以上の無名の高齢者とともに“個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索する”さいたまゴールド・シアターを旗揚げ。2009年には若い俳優たちに自らの演劇哲学を伝える公演を行うさいたまネクスト・シアターを旗揚げするなど、最後までチャレンジ精神を失わなかった。
 演出家として取り組んだ主な作品は、シェイクスピア、チェーホフ、ギリシャ悲劇、清水邦夫、唐十郎、寺山修司、秋元松代、井上ひさしなど。また、世代の離れた若手劇作家との仕事にも意欲的だった。受賞歴多数。
http://www.my-pro.co.jp/ninagawa/
Performing Arts Network Japanの蜷川関連インタビュー
歌舞伎版『NINAGAWA十二夜』とは?(2005年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview /0508/1.html
高齢者と若者と共に民衆史のリアルに立ち向かう(2009年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/0910/1.html
もうひとつの蜷川ワールド(2014年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/1411/1.html

「瀬戸内国際芸術祭2016」のラインナップ発表
 
 2010年から3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に開催されている現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。3回目を迎える2016年は、前回に続き、春・夏・秋の3シーズン制で計108日間、12島・14会場で開催される。今回は「海の復権」をテーマに掲げ、現代アート作品の展示やイベント開催に加え、瀬戸内の「食」を味わう食プロジェクト、アジアを中心とした世界との文化的交流、地域文化の魅力発信に力点を置く。
 参加を予定しているのは、20を超えるの国と地域から約200組の作家やプロジェクト。豊島ではクリスチャン・ボルタンスキーによる風鈴を使った巨大なインスタレーションを展開。大竹伸郎は針工場跡、スプツニ子!は民家を舞台にそれぞれ作品を制作する。直島では、岡田利規演出による森山未來のダンスパフォーマンスが予定されている。
 小豆島では、椿昇ディレクションによる「小豆島町未来プロジェクト」にインドおよび国内から多数の作家が参加。また、犬島では名和晃平がフランスの振付家・ダンサーのダミアン・ジャレと共にパフォーマンス作品を発表する。高松港周辺では、やなぎみわによる移動舞台車も登場する(詳細はウェブサイト参照)。

[フェスティバル概要]
 2010年から3年ごとに、瀬戸内海の島々を舞台に開催する現代アートの祭典。人口の減少や高齢化が進みつつある島々に活力を取り戻すために企画された。主催は瀬戸内国際芸術祭実行委員会。総合プロデューサーは公益財団法人福武財団理事長の福武總一郎、総合ディレクターは北川フラムが務める、瀬戸内海を船で巡りながら島の固有の文化、生活、自然を生かした作品を鑑賞するという新しいアート体験を提供している。
瀬戸内国際芸術祭2016 開催概要
[会期]春:2016年3月20日(日・春分の日)〜4月17日(日)29日間
夏:2016年7月18日(月・海の日)〜9月4日(日)49日間
秋:2016年10月8日(土)〜11月6日(日)30日間
[会場]直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島(春会期)、本島(秋会期)、高見島(秋会期)、粟島(秋会期)、伊吹島(秋会期)、高松港・宇野港周辺
[主催]瀬戸内国際芸術祭実行委員会
瀬戸内国際芸術祭
http://setouchi-artfest.jp
Presenter  Topics
第70回アヴィニヨン演劇祭が開幕(2016年7月4日〜25日)
 
 欧州を代表するアヴィニヨン演劇祭が開幕した。法王庁広場でのオープニングを飾ったのは、ルキノ・ヴィスコンティの映画を基にしたオランダの演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェが演出する『地獄に堕ちた勇者ども』。続いて、昨年のフェスティバル/トーキョーで『地上に広がる大空(ウェインディ・シンドローム)』を披露したスペインの演出家アンジェリカ・リデルが、食人鬼として知られる佐川一政に影響を受けて創作したという『¿QUÉ HARÉ YO CON ESTA ESPADA ?(この剣で、私、なにをすべきか?)』を世界初演する。
 今年のプログラムは政治色の強い作品が選ばれているのが特徴で、中でも混乱を極める中東の作家の作品が数多くラインナップされている。アヴィニヨン演劇祭のメイン会場ともいえる法王庁広場には、イスラエル生まれの巨匠演出家アモス・ギタイが初登場。『Yitzhak Rabin: Chronique d’un assassinat(イツハク・ラビン:殺人クロニクル)』と題し、1995年に和平反対派の青年に射殺された第11代イスラエル首相のイツハク・ラビンについての政治演劇を一晩限りで上演する。
 シリア生まれ、ロンドン育ち、現在はベイルートを拠点に活動する若手劇作家モハメッド・アル=アターもアヴィニヨン初登場。同じくシリア生まれのオマール・アブサダによる演出で『Alors que j’attendais(待っているあいだ)』を上演する。レバノン出身の振付家アリ・シャルーアは、詩人ファトメ・ザーラ、エジプト人歌手ウム・クルトゥム、そして予言者ムハンマドにまつわる55分のダンス作品『Fatmeh』を発表。さらにフェスティバル/トーキョーで来日公演を行ったこともある国際フェスティバルの常連、イラン人劇作家アミール・レザ・コヘスタニは、「大晦日の晩に男が女子寮に忍びこんだ」日常的な事件をイランの社会問題にまで拡張する『Hearing』を上演する。

[フェスティバル概要]
 1947年、ジャン・ヴィラールによって創設された新作発表の規模、数、質において欧州で1、2を競う舞台芸術フェスティバル。2004年からアソシエート・アーティスト制度を採用し、毎年異なるアーティストがプログラムの選定を務めている。近年の総演目数は40前後。メイン会場であるパレ・デ・パップ(法王庁宮殿)の中庭、キャリエール・ ドゥ・ブルボン(石切り場)など、アヴィニョン市内約20カ所のさまざまな施設で上演が行なわれ、ほぼ市の人口に匹敵する10万人が町を訪れる。プレス各紙は毎年アヴィニョン演劇祭特集ページを組み、連日舞台評を掲載。2005年のヤン・ファーブル作品のように時には演劇界あげての大論争に発展することもある。
 演劇祭開催と時を同じくして「アヴィニョン演劇祭OFF」(http://www.avignon-off.org)と呼ばれる数多くの公演も行われる。オフは自由参加制。また、舞台芸術以外にも、展示会、コンサート、詩の朗読、などさまざまなイベントが開催され、期間中は町全体が祭りの雰囲気に包まれる。
 2013年から演出家オリヴィエ・ピィが芸術監督に就任。2014年には宮城聰演出『マハーバーラタ〜ナラ王の冒険〜』、また日本の俳優たちをフランスの巨匠クロード・レジが演出したメーテルリンクの『室内』が上演された。
アヴィニョン演劇祭
http://www.festival-avignon.com/en/

インパルスタンツ・ウィーン国際ダンス・フェスティバル開幕(2016年7月14日〜8月14日)
 
 毎年、夏に開催されている欧州最大規模のダンス・フェスティバル。今年のオープニングを飾るのは、フランス人言語学者エミール・バンヴェニストの思想をもとにテクノサウンドにのせたマギー・マランによる『BiT』。メイン会場のフォルクスオパーでは、ベルギーを代表する3カンパニー(アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル&Rosas、ヴィム・ヴァンデケイビュス&ウルティマ・ヴェス、クロージングを飾るニードカンパニー)が顔を揃えるほか、天児牛大率いる山海塾、カナダのマリー・シュイナール・カンパニーなど、錚々たる一流カンパニーが5週間にわたり登場する。
 さらにミュージアム・カルティエの一角にあるレオポルド美術館のワンフロアを占拠して、ビジュアル・アートとコンテンポラリーダンスの境界線を行き来するような作品群を発表。このオープン・スペースには、グザヴィエ・ル・ロワ、クリス・ハーリング、竹谷明美、イアン・ケーラー、イヴォ・ディムチェフなどの振付家/ダンサーが登場する。
 若手振付家を紹介する「8:tension」シリーズでは、今年、欧州、アメリカ、ブラジルから選ばれた13作品を上演。最も優秀な作品には、カジノ・オーストリア・ジャルダン・ヨーロッパ賞と、FM4ファン・アワードが与えられることになる。

[フェスティバル概要]
 1984年にウィーンで、ブラジル出身のダンサー・振付家のイズマエル・イヴォらが立ち上げたウィーン国際ダンス・ウィークが母体。当初ワークショップ・フェスティバルとしてスタートしたが、その後パフォーマンス上演が加わり、88年に現在の名称になった。ヴィム・ヴァンデケイビュス、マリー・シュイナールをはじめ、ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス、ローザス、ジョセフ・ナジ、エミオ・グレコら、世界で活躍する振付家、カンパニーを紹介し、ヨーロッパを代表するダンス・フェスティバルのひとつとなっている。96年には奨学制度「ダンスウェブ・ヨーロッパ(danceWeb-Europe)」を立ち上げた。
 5週間の開催期間中、10会場で上演される40本以上のパフォーマンスは3万人の観客を集め、40人の講師による160のワークショップには3,000人が参加する。ほかにリサーチ・プロジェクトもあり、コンテンポラリーダンスの最新の傾向を探る場にもなっている。1984年の創設当初よりカール・レーゲンスブルガーが芸術監督を務める。
インパルスタンツ・ウィーン国際ダンスフェスティバル
(ImPulsTanz - Vienna International Dance Festival)
http://www.impulstanz.com
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