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2018.7.10
Japan Topics
向井山朋子と山田うんの初コラボによる『雅歌』がオランダと日本で上演(2018年6月15日〜7月22日)
 
 オランダ在住のピアニストで美術家の向井山朋子と、日本の振付家・ダンサーの山田うんが初のタッグを組んだ新作公演『雅歌(がか)』が、北オランダのテルスヘリング島における野外舞台芸術祭「ウーロル・フェスティバル」にて世界初演。6月15日からの10日間、日没の海辺を借景に上演された。
 本作は、日本で脈々と受け継がれてきた儀式をテーマに「音楽とダンス、声、祈り」で構成。和歌山県新宮市で生まれ育った向井山朋子がコンセプト・演出を、山田うんが振付を手がけ、現代に捧げる新しい儀式として創作された。音楽はウクライナ出身のマキシム・シャリギン、衣装は中国出身のティン・ゴング、ダンサーは女性のみでCo.山田うんのメンバーに加え、国内外で活躍するダンサー湯浅永麻らが参加。
 7月には、高知県立美術館の中庭にて地元出演者を加えて日本初演後、東京・神津島の前浜海岸にて上演される。
日本・オランダ国際共同製作「雅歌」初演ツアー2018
6月15日〜24日/ウーロル・フェスティバル(テルスヘリング島、オランダ)
7月13日、14日/高知県立美術館・中庭(高知)
7月21日、22日/神津島・前浜海岸(東京)
高知県立美術館
https://moak.jp/

d-倉庫「ダンスがみたい!20『病める舞姫』を上演する」開催(2018年7月24日〜8月5日)
 
 東京の小劇場「d-倉庫」が主催する現代舞踊のダンスフェスティバル「ダンスがみたい!」。このフェスティバルは、「ダンスを刺戟する」をコンセプトに2001年にスタートしたもので、コンテンポラリーダンス、モダンダンス、舞踏などジャンルを越えたプログラミングにより、若手から国際的に活躍する振付家・ダンサーにまで挑戦的なダンスの場を提供してきた。
 20回目となる今回のテーマが舞踏の始祖・土方巽(1928〜86)。彼が遺した代表的な著書「病める舞姫」(1983年/白水社刊)を題材に創作し、コンテンポラリーダンスの若手から舞踏の大御所まで実力ある7組が競演する。「言葉の舞踏」とも言われる本書は、通読すら容易ではない極めて独自な言語世界で知られ、いまなお研究者や批評家、舞踊家を魅了し、翻弄し続けている。中でも土方とともに舞踏創世記を築いた笠井叡によるアプローチは必見だ。
 また、同シリーズの公募ダンスコンペティション「新人シリーズ16」の受賞2作品が加わり、期間中には9作品が上演される。
『病める舞姫』出演者
白神ももこ-かんきつトリオ(7月24日)
今枝星菜/水中めがね∞(7月25日)
鈴木ユキオ(7月26日)
伊藤キム(7月28日、29日)
大塚郁実(7月30日)
ケダゴロ(7月31日)
黒田育世(8月2日、3日)
笠井叡-土方巽幻風景(8月4日、5日)
d-倉庫
http://www.d-1986.com/

第11回「フェスティバル/トーキョー18」速報(2018年10月13日〜11月12日)
 
 11回目を迎える東京発の舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー18」(F/T18)が10月13日〜11月12日に東京芸術劇場、あうるすぽっと、南池袋公園などを会場に開催される。今回から新ディレクターに日本におけるドラマトゥルクの草分けとして数多くの演出家や振付家の作品に参加してきた長島確が参加。これまで副ディレクターを務めていた河合千佳が共同ディレクターに就任し、二人体制となる。
 プログラムは、これまでのラインナップを継承した2つの軸で構成。同時代のアジアの舞台芸術を紹介する「アジアシリーズ」には、タイから2回目の参加となるピチェ・クランチェン、バングラデシュの劇団ショプノ・ドル、カンボジアのアーティストであるローモールピッチ・リシーが参加。劇場外の空間における「まちなかパフォーマンスシリーズ」では、小田桐奨と中嶋哲矢によるユニットL PACK.、坂田ゆかり×稲継美保×田中教順、俳優・福田毅、写真家・森栄喜が名を連ねている。
 また、マレビトの会の3年にわたる『福島を上演する』の集大成のほか、イラン出身の劇作家・パフォーマーのナシーム・スレイマンプールや劇作家・演出家の山本卓卓らも参加する。
 詳細は7月中旬の発表を予定。
フェスティバル/トーキョー18(F/T18)
http://www.festival-tokyo.jp

「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2018」開催(2018年8月4日〜9月30日)
 
 横浜で3年に1度開催されるオールジャンルのダンスフェスティバル「Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2018」。2012年の初開催から3回目を迎え、新たにリヨン・ダンス・ビエンナーレ芸術監督のドミニク・エルヴュとコンドルズの近藤良平がディレクターに就任。横浜の街を舞台にバレエ、コンテンポラリー、ストリート、ソシアル、チア、日本舞踊などダンスのジャンルはもちろん、国籍、ジェンダー、世代や障がいの有無を超えて、約200ものプログラムを展開する。オープニングは、横浜ならではの景観を活かした野外舞台におけるバレエ公演「横浜ベイサイドバレエ」。
 今年は日仏友好160周年であり、エルヴュは姉妹都市であるリヨンと横浜の2つのダンスフェスティバルを橋渡しする役割を担う。フランスのバレエ・ロレーヌやイギリスを代表する振付家アクラム・カーンらを招聘する他、日仏ヒッポホップ・アーティストによる「トリプルビル」を共同制作。ストリートダンスの先駆者カデル・アトゥと若手ジャンヌ・ガロワがオーディションによって選ばれた日本人ダンサーとそれぞれ新作を世界初演するのに加え、東京ゲゲゲイが新作で参加(これらの作品は横浜で創作・上演された後、「ジャポニスム2018」やリヨン・ダンスビエンナーレなどをツアー)。
 近藤良平は、主宰するコンドルズ、義足のダンサー・大前光市と平山素子らと共演する「intermezzoー本気のはしやすめー」などが出演する「近藤良平・ヨコハマ・ガラ」を野外ステージで上演。また、横浜の街中を舞台とした市民参加型「横浜ダンスパラダイス」をディレクションする。本プログラムは会期中の週末に駅前やショッピングモールなどのオープンスペースでダンスを繰り広げるもので、最終日には参加したダンサーや観客が集結し、近藤振付によるオリジナルダンスを踊る大規模なフィナーレを予定。
 また、第一線のアーティストが小学校でダンスの授業を行う「スクール・オブ・ダンス」、子どもたちを対象とした「18区ダンスワークショップ」、幼稚園・保育園をめぐる「ひつじのショーンキャラバン隊」、高校のダンス部応援プロジェクトなど、次世代育成プログラムにも力を入れている。
Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2018
https://dance-yokohama.jp/

「ジャポニスム2018:響きあう魂」舞台公演ラインナップ発表
 
 「ジャポニスム2018:響きあう魂」が、2018年7月から2019年2月にかけて、フランスのパリ市内を中心に20を超える会場で開催される。日仏友好160周年を迎える2018年に、日本文化の多様かつ普遍的な魅力を、パリ、そして世界へ“発信する大型日本文化紹介企画。公式企画には、展覧会・舞台公演・映像・生活文化他の4つの分野から、50以上のプログラムがラインナップされている。
 舞台公演では約30演目の上演が予定されている。宮本亜門演出の能×3D映像『YUGEN 幽玄』、宮城聰演出『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』、故・蜷川幸雄の演出作品『海辺のカフカ』、野田秀樹演出『贋作 桜の森の満開の下』に加え、現代演劇シリーズにタニノクロウ松井周藤田貴大岩井秀人岡田利規、杉原邦生らが名を連ねている。ダンスでは、森山未來と伊藤郁女による新作デュオ、川口隆夫の『大野一雄について』などが上演される。詳細は、ウェブサイトを参照。
「ジャポニスム2018:響きあう魂」舞台公演リスト
邦楽ライブ 和太鼓×津軽三味線
(2018年7月5日、6日/ジャパン・エキスポ)
和太鼓 DRUM TAO DRUM HEART
(2018年7月13日〜15日/ラ・セーヌ・ミュージカル)
雅楽 宮内庁式部職楽部
(2018年9月3日/フィルハーモニー・ド・パリ)
松竹大歌舞伎
(2018年9月13日〜19日/国立シャイヨー劇場)
野村万作×萬斎×杉本博司『ディヴァイン・ダンス 三番叟』『月見座頭』
(2018年9月19日〜25日/パリ市立劇場 エスパス・カルダン)
現代演劇シリーズ─タニノクロウ演出『ダークマスター』『地獄谷温泉 無明ノ宿』
(『ダークマスター』:2018年9月20日〜 24日、『地獄谷温泉 無明ノ宿』:9月25日〜29日/国立演劇センター ジュヌビリエ劇場[ディレクター:ダニエル・ジャンヌトー])
現代演劇シリーズ─松井周演出『自慢の息子』
(2018年10月5日〜8日/国立演劇センター ジュヌビリエ劇場)
現代演劇シリーズ─藤田貴大演出『書を捨てよ町へ出よう』
(2018年11月/パリ日本文化会館)
現代演劇シリーズ─岩井秀人構成・演出『ワレワレのモロモロ ジュヌビリエ編(仮)』
(2018年11月22日〜12月4日/国立演劇センター ジュヌビリエ劇場)
現代演劇シリーズ─岡田利規演出 『三月の5日間』リクリエーション、『欲望の輪郭(仮)』
(2018年秋/ポンピドゥ・センター)
現代演劇シリーズ─木ノ下裕一監修・補綴 杉原邦生演出・美術 木ノ下歌舞伎『勧進帳』
(2018年11月1日〜3日/ポンピドゥ・センター)
現代演劇シリーズ─リーディング 飴屋法水『ブルーシート』前川知大『散歩する侵略者』
(2018年9月19日、21日/パリ市立劇場 エスパス・カルダン)
宮本亜門演出 能×3D映像『YUGEN 幽玄』
(2018年9月)
日仏ダンス共同制作 トリプルビル
(2018年9月18日〜11月14日/国立シャイヨー劇場/共同制作:リヨン・ダンスビエンナーレ(芸術監督:ドミニク・エルヴュ)ほか/振付:東京ゲゲゲイ ほか)
野田秀樹演出『贋作・桜の森の満開の下』
(2018年9月28日〜10月3日/国立シャイヨー劇場)
コンテンポラリーダンス─川口隆夫『大野一雄について』
(2018年10月2日〜5日/パリ市立劇場 エスパス・カルダン)
文楽
(2018年10月12日、13日/シテ・ド・ラ・ミュージック)
伶楽舎 × 森山開次
(2018年10月13日/フィルハーモニー・ド・パリ)
和太鼓 林英哲と英哲風雲の会
(2018年10月14日/フィルハーモニー・ド・パリ)
日本舞踊
(2018年10月14日、15日/シテ・ド・ラ・ミュージック)
 ※アーティスト・インタビュー 井上安寿子(京舞井上流舞踊家)
コンテンポラリーダンス─伊藤郁女×森山未來
(2018年12月18日〜20日/メゾン・デザール・ド・クレテイユ)
宮城聰演出『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』
(2018年11月19日〜25日/ラ・ヴィレット/音楽:棚川寛子
能楽
(2019年2月6日〜10日/シテ・ド・ラ・ミュージック)
蜷川幸雄演出『海辺のカフカ』
(2019年2月15日〜23日/国立コリーヌ劇場)
2.5次元ミュージカル "Pretty Guardian Sailor Moon" The Super Live
(調整中)
2.5次元ミュージカル ミュージカル『刀剣乱舞』 〜阿津賀志山異聞2018 巴里〜
(2018年7月15日/パレ・デ・コングレ・ド・パリ)
初音ミクコンサート(仮)
(調整中/ラ・セーヌ・ミュージカル)
ダンス・レジデンス─島地保武
(2018年9月〜11月/国立シャイヨー劇場)
ジャズ 小曽根真featuring No Name Horses
(2018年12月5日、6日/パリ日本文化会館)
TOKYO HIT vol.3 クラブ・イベント
(2018年9月28日/パリ日本文化会館)
テクノコンサート
(2018年9月28日/ポンピドゥ・センター)

ジャポニスム2018
https://japonismes.org/

新新国立劇場2018/2019シーズン ラインアップ発表
 
 新国立劇場は、2018/2019シーズンのラインアップを発表。演劇芸術監督に演出家・小川絵梨子、オペラ芸術監督に指揮者・大野和士が新たに就任した。
 歴代最年少で演劇芸術監督を務める小川絵梨子は、「幅広い観客層に演劇を届けること」「演劇システムの実験と開拓」「横の繋がり」を柱に今シーズンをスタート。文学座の稲葉賀恵演出によるアルベール・カミュ作『誤解』、寺十吾演出によるハロルド・ピンター作『誰もいない国』、上村聡史演出によるロバート・アイク作『オレステイア』日本初演、天野天街が主宰する「少年王者舘」が新作で初登場。小川はデイヴィッド・ヘア作『スカイライト』と野木萌葱の新作の演出を手がける。
 また、演劇システムの実験と開拓の実践として、全キャストをオーディションで選び上演する『かもめ』、長期スパンで作品を育む「こつこつプロジェクト」第1弾としてのリーディング公演(演出:大澤遊・西悟志・西沢栄治)を実施する。
 舞踊部門は、バレエではオーストラリア・バレエとの共同制作による『不思議の国のアリス』の新制作を皮切りに、ウエイン・イーグリング振付の『くるみ割り人形』、新旧3作品を上演する「ニューイヤー・バレエ」、牧阿佐美演出・改訂振付の『ラ・バヤデール』、フレデリック・アシュトン振付の『シンデレラ』、デヴィッド・ビントレー振付の『アラジン』の6演目をラインナップ。中村恩恵がニューイヤー・バレエの『火の鳥』の振付を担当するほか、「DANCE to the Future 2019」でもアドバイザーを務める。ダンスはその他3演目、『真夏の夜の夢』をテーマとした新作、日本独自の創作舞踊のパイオニアたちの作品を復元上演するシリーズ企画、森山開次による子どもと楽しむダンス公演を上演する。
 オペラ部門を新たに率いる大野和士は、「レパートリーの拡充」「日本人作曲家委嘱作品シリーズの開始」「ダブルビルとバロック・オペラの新制作」「旬の演出家・歌手の起用」「他の劇場とのコラボレーション」を掲げ、今シーズンは4演目を新制作。南アフリカ出身の現代美術家ウィリアム・ケントリッジ演出で映像プロジェクションを駆使した『魔笛』、日本人作曲家委嘱作品シリーズの第1弾『紫苑物語』を西村朗作曲・笈田ヨシ演出、大野の指揮で世界初演。また、スペインの演劇制作集団ラ・フーラ・デルス・バウスの芸術監督アレックス・オリエが演出を手がけるプッチーニの『トゥーランドット』新制作などが注目される。
新国立劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/

「室伏鴻集成」出版
 
 世界的に活躍し、2015年6月メキシコで急逝した孤高の舞踏家・室伏鴻(享年68歳)が遺したテキスト群をまとめた『室伏鴻集成』が河出書房新社より出版された。本書はマネージャーであった渡辺喜美子らにより編纂され、文章家でもあった室伏が新聞や雑誌、パンフレット等に発表した文章のほか、ノートや手帳に書き記したメモや日記などを収録。また、室伏の膨大なテキストや蔵書目録、映像資料などは「室伏鴻アーカイブ」としても公開されている。
◎室伏鴻
 1947年東京生まれ。69年土方巽に師事し、72年に、麿赤兒らと「大駱駝艦」を創立。女性だけの舞踏集団「アリアドーネの會」のプロデュースを経て、76年舞踏派「背火」を主宰。78年パリで上演した『最期の楽園─彼方の門─』が1カ月のロングランとなり、これが「BUTOH」を世界に広めるきっかけとなった。以来、数多くのフェスティバルに招聘され、即興性を活かしたソロ公演を行うほか、若手メンバーを加えたユニット「Ko&Edge Co.」の活動、ジンガロのバルタバスとのコラボレーション、指導者としての後進の指導などを世界各地で展開。
室伏鴻アーカイブ(日本語・英語)
https://www.ko-murobushi.com/
室伏鴻インタビュー(日本語・英語/2011.10.28)
http://www.performingarts.jp/J/art_interview/1109/1.html
Presenter  Topics
オーストリア屈指の複合芸術祭「ウィーン芸術週間」開幕(2018年5月11日〜6月18日)
 
 毎年5月から6月にかけての5週間、オーストリアの首都で開催されるフェスティバル。芸術的に最高水準を保ちつつ現代社会と対話する音楽、ビジュアル・アート、舞台芸術作品をプログラミングすることを指針に掲げている。昨年度から総合芸術監督(インテンダント)を務めるTomas Zierhofer-Kinは「地元のブルジョアを攻撃するだけのアートではなく、多くの人々に手を差し伸べる作品を上演したい」と、より広い客層に向けたフェスティバルを約束している。
 今年は「フラジャイル・デモクラシー(脆弱な民主主義)」をテーマを掲げ、全30作品を紹介。特に世界中に蔓延する「不安感」や「恐怖」およびそれら負の感情の社会や個人への影響を考える芸術作品に光を当てる。上演される大作の中には、難民たちにより占拠される湖島について、官僚たちがカフカ的な議論をつづけるクリストフ・マルターラーによる音楽劇『Tiefer Schweb: A Holding Centre』、また新生フォルクスビューネのアソシエイト・アーティストでもある演出家スーザン・ケネディが、約20年前にソフィア・コッポラにより映画化もされた『ヴァージン・スーサイズ』を舞台化する。また、来日公演も多い演出家ジゼル・ヴィエンヌが、15人の若者たちと社会心理学を追求して創作したダンス作品『クラウド(群衆)』も上演される。
 ロッテルダム出身のシアター・コレクティブHotel Modernは『Kamp』と題した作品で、アウシュヴィッツ強制収容所のミニチュア模型を舞台上に構築。3人のパフォーマーたちが小さな人形たちを動かしつつ、その様を同時撮影し、なぜ人類史上最大の惨劇が起きたのかを考察していく。スウェーデンの演出家マーカス・オルンは、オーストリア人女性エリーザベト・フリッツが24年間にわたり自宅に監禁され、父親から性的虐待を受け続けていた「オーストリアの実娘監禁事件(フリッツル事件)」に着想を得た『ドメスティック・バイオレンス・ウィーン』を世界初演する。ジャン・ミシェル・ブリュイエールは米国の黒人解放運動を牽引したブラックパンサー党に着目した新作『L'Habitue (習慣)』を発表する。さらにアジアからは、シンガポールを代表する演出家オン・ケンセンが韓国国立劇場の俳優たちとコラボレーションした『トロイアの女』が招聘されている。

[フェスティバル概要]
 1951年から毎年5月〜6月にかけて開催されるオーストリア最大級の国際フェスティバル。開催地は、ミュージアム・クォーター、テアター・アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン楽友協会ホール、シャウシュピールハウス、市内の市場や広場など市全体が舞台となる。世界各国のオペラや演劇を代表する演出家や指揮者、オーケストラなどが手がける最新の舞台芸術、歴史的な演出や最新プロダクション、現代作品が上演される。2011年はリュック・ボンディを総監督に、シュテファニー・カープ演劇監督、シュテファン・リスナー音楽監督のもとで、23カ国45のプロダクションが上演され、18万人を動員。日本からはポツドール、高山明が参加。カンパニーでは1994年に第三エロチカ(『マクベスという名の男』)、2000年に維新派(『水街』)などが招聘されている。
ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)
http://www.festwochen.at/

ベルリンで「テアター・トレッフェン」開幕(2018年5月4日〜20日)
 
 毎年5月に開催されるドイツ語圏の演劇のみに的を絞ったフェスティバル。毎年約7人のドイツ語圏の演劇批評家が、フェスティバル開催の66週から14週前までにオーストリア、スイス、ドイツで独語上演された演劇作品に足を運び、その中から「1年で最も素晴らしいプロダクション10作」を選出する。選出理由は、後日「テアター・トレッフェン・マガジン」で明記される。また作品が選ばれた演出家には、選出理由を綴る原稿が各批評家から送られる。今年はドイツ語圏の54都市で上演された409作品の中から33作品がノミネートされ、その後、厳正な審査を経て10作品が選ばれた。
 選出作品のなかではまず、原作エルフリーデ・イェリネク/演出ファルク・リヒターによる人類史2000年およびドナルド・トランプについての考察が含まれる『ザ・ロイヤル・ロード』、トーマス・オスターマイアー演出による『リターニング・トゥ・レムズ』、さらにフランク・カストルフ演出/マルティン・ヴドケ主演による7時間の大作『ファウスト』などの大型作品が注目されている。
 他にはウルリッヒ・ラッシェ演出によるバーゼル劇場の『ヴォイツェク』、大学院在籍時からすでに注目を集めていたポルトガル出身の若手演出家アントゥ・ロメロ・ヌネスによる『オデュッセウス』、また選出作家のなかで唯一の女性であり有色人種でもあるアンタ・ヘレーナ・レッケ演出による『ミドル・キングダム』(ミュンヘン・カンマーシュピーレ製作)などが含まれる。

[フェスティバル概要]
 1963年から毎年5月ベルリンで行われる演劇ミーティング。フリーの演劇評論家からなる審査員団により、ドイツ、オーストリア、スイス各地のドイツ語圏内の舞台で毎年の演劇シーズン内に公演される、約2,000の作品から最高10本までの「優秀」作品が選出・招聘され、若手の登竜門となっている。期間中作品上演と並行して、テアター・トレッフェンの主催者であるベルリン・フェストシュピーレ、ミュンヘンのゲーテ・インスティトゥート本部、スイスの文化機関プロ・ヘルヴェツィアが協力して、2週間にわたるワークショップ「国際フォーラム」を開催。ドイツ語圏のみならず、世界各国から35歳以下の演劇人が参加。台本の紹介やディスカッションなど若手演劇人のプラットフォームとして、台本の紹介や、2週間にわたるワークショも機能している。
テアター・トレッフェン(Theatertreffen)
http://www.berlinerfestspiele.de/de/aktuell/festivals/theatertreffen/ueber_festival_tt/aktuell_tt/start.php

南オーストラリア最大の国際芸術祭アデレード・フェスティバル開幕(2018年3月2日〜18日)
 
 1960年設立の大型総合芸術祭。演劇、音楽、ダンス、文学、美術、児童作品など、2週間半にわたり多岐にわたるアート作品が紹介される。当初はビエンナーレ形式を採用していたが、2012年以後、毎年開催。昨年度まで現芸術監督を務めたのはロンドンのオルタナティブ・ミュージック・フェスティバルMeltdownの創設者として知られるデヴィッド・セフトン。昨年度から、シドニーのベルボア・ストリート劇場で共同芸術監督を務めたニール・アームフィールド&レイチェル・ヒーリーが同職に就任した。
 本年度の大型演劇作品には、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出による『Kings of War』(ヘンリー5世、ヘンリー六世 第一部、二部、三部、リチャード三世を融合させた作品)、ロベール・ルパージュによる『月の向こう側』、またグラインドボーン音楽祭 Festival Operaで世界初演されたブレット・ディーン作曲によるオペラ『ハムレット』 等が上演される。
 またダンス部門では、アクラム・カーンが自身の踊る最後の長編ソロ作品と銘打った『XENOS』、フラメンコ界の異端児イスラエル・ガルバンによる『FLA.CO.MEN』、アボリジニの歴史とコンテンポラリーダンスを融合するバンガラ・ダンス・シアターによる『Bennelong』が紹介される。
 会期中は「小説家週間 Adelaide Writers' Week」と題して、世界中から小説家・ライターが招聘されるイベントも併催される。

[フェスティバル概要]
 1960年、南オーストラリア国立劇場運動に関わり、アデレードにアーツ・フェスティバル開催の潜在能力があると確信したジャーナリスト、ロイド・デュマがアデレード大学の音楽教授ジョン・ビショップと共に、各方面の有力者たちの協力を得て、半月間に105公演(大人向け74公演、子ども向け31公演)という規模でスタート。シドニー、メルボルンと並ぶオーストラリア有数のインターナショナル・フェスティバルとして、偶数年に開催されている。日本のカンパニーでは1994年に第三エロチカ(『マクベスという名の男』)、2000年に維新派(『水街』)などが招聘されている。
アデレード・フェスティバル(Adelaide Festival)
https://www.adelaidefestival.com.au/

第46回 香港アーツフェスティバル(香港藝術節)が開幕(2018年2月23日〜3月24日)
 
 1973年より東西の大型舞台芸術組織やビッグネームのアーティストたちを紹介してきた国際舞台芸術祭が今年も香港市内に散らばる複数の劇場施設を利用して大々的に開催される。過去10年間エグゼキュティブ・ディレクターを務めるのは、シンガポールのエスピラナードやシンガポール・アーツ・フェスティバルでもマーケティングやキュレーター業務を務めたティサ・ホー。
 本年度は「what’s real me」というテーマを掲げ、参加アーティストの作品により形成され、思考され、拡張される、いまここにある「リアル」について問いが投げかけられる。政治的、経済的、文化的に急速に変化する世界のリアルはいまどこに辿り付こうとしているのか。簡単な答のないこの問いに、フェスティバルを通じて向き合っていく。
 特に、今年のプログラムにはダンス作品が多く見られ、アレクセイ・ラトマンスキー振付によるアメリカン・バレエ・シアターの新作『Whipped Cream』、クリスティアン・シュプック振付によるチューリッヒ・バレエ団の『アンナ・カレーニナ』、さらに日本から勅使川原三郎の『トリスタンとイゾルデ』が招聘されている。
 演劇部門では、モントリオールの現代サーカス・カンパニー「The 7 Fingers」によるヒエロニムス・ボシュ Hieronymus Bosch のシュールレアリズム絵画を舞台化した『ボッシュ・ドリームス Bosch Dreams』、米国のオフ・オフ・ブロードウェイ劇団ザ・ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマによる『幸福追求権 Pursuit of Happiness』などが上演される。

[フェスティバル概要]
 例年旧正月明けの2月から約1カ月にわたって開催される、アジア最大規模の舞台芸術フェスティバル。1972年に有志が集まり、Hong Kong Arts Festival Society Ltd.を創設。翌73年に第1回を開催して以来、30年以上もの間、国内外の優れた舞台芸術を紹介している。主に中華人民共和国香港特別区政府の康楽及文化事務署(The Leisure and Cultural Services Department)と、香港ジョッキー・クラブ・チャリティーズ・トラスト(Hong Kong Jockey Club Charities Trust)からの助成で運営されている。
 アジアおよび世界各国からのオペラ、音楽、ジャズ、ワールドミュージック、演劇、ミュージカル、ダンス、エキジビションなどの多彩なアートプログラムのほかに、青少年向けのワークショップなどの教育プログラムも充実。
 コンテンポラリーダンスでは、同フェスティバルの新たな試みとして、アジアで活躍する若手振付家/ダンサーのショーケース「アジア・パシフィック・ダンス・プラットフォーム」を開催。香港におけるコンテンポラリーダンスの観客育成を目的として、ワークショップ、ディスカッションなども同時開催する。また、「ニュー・ステージ・シリーズ」として、ジャンル横断型の実験的作品のためのプラットフォームを新設。
香港アーツフェスティバル(香港藝術節 Hong Kong Arts Festival)
http://www.hk.artsfestival.org/
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