The Japan Foundation
Performing Arts Network Japan
Archive
Topics
2016.6.27
Japan Topics
アジア・プロデューサーズ・プラットフォーム(APP)キャンプが開幕(2016年6月26日〜7月2日)
 
 アジア域内の舞台芸術に関わるインディペンデント系プロデューサーなどがネットワークを構築し、国際交流や共同制作の環境づくりを議論する「アジア・プロデューサーズ・プラットフォーム(APP)キャンプ」が6月26日から7月2日まで東京と静岡で開催されている。APPキャンプは、アジア・ナウ(韓国)、パフォーミング・アーツ・アライアンス(PAA・台湾)、舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM・日本)、ライブ・パフォーマンス・オーストラリア(LPA)、パフォーミング・ライン(オーストラリア)が連携して取り組んでいるもので、2014年にスタート。第1回韓国、第2回台湾を経て、今回はON-PAMの主催により初の日本開催。詳細はON-PAMサイト参照。
舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)
http://onpam.net/

演出家・蜷川幸雄さん死去
 
 “世界のニナガワ”と称され、国際的にも活躍したスター演出家の蜷川幸雄さんが、5月12日午後1時25分、肺炎による多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。享年80歳。体調を崩しながらも酸素吸入器に車椅子という出で立ちで稽古に現れ、精力的に舞台演出に取り組んでいたが、昨年12月半ばに軽い肺炎のため入院。2月に予定していた自らの半生を題材にした新作『蜷の綿 Nina's Cotton』(作:藤田貴大)を中止するなど、現場復帰はかなわなかった。
 アングラ演劇から商業演劇に挑み、うち捨てられた民衆の過剰なエネルギーを投影したスペクタクルな群衆演出、聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、時代のメタファーである鏡や水舞台による空間演出などにより、演劇によって社会を映し出し、民衆とともに闘う姿勢を貫いた。生涯に演出した戯曲は約120本。若い俳優やスタッフ、劇作家との仕事に力を入れ、多くの演劇人を世に出した。また、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督として、55歳以上の無名の高齢者とともに個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索するさいたまゴールド・シアターに取り組み、社会現象になった。

蜷川幸雄プロフィール
 1955年に劇団青俳に入団。俳優活動を経て、67年に蟹江敬三、石橋蓮司らと劇団現代人劇場を結成し、翌年発表した清水邦夫作品『真情あふるる軽薄さ』で演出家デビュー。『想い出の日本一萬年』『明日そこに花を挿そうよ』『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』など、時代をアジテートするような若者たちの反逆精神を反映した作品を世に問う。72年に再び蟹江、石橋に清水を加えて演劇集団櫻舎を結成し、『ぼくらが非情の大河をくだる時』で旗揚げ。60年代〜70年代のアングラ演劇をリードする旗手として活躍した。
 74年に日生劇場で上演した『ロミオとジュリエット』で商業演劇の演出家としての活動をスタート。以来、うち捨てられた民衆のエネルギーを象徴したダイナミックな群衆演出や聖俗すべてを飲み込んだような猥雑な美術、シェイクスピア戯曲などのローカライズ、日本の劇作家と組んだ創作劇により長年にわたって活躍。83年、平幹二朗がメディアを演じ、辻村ジュサブロー(現・辻村寿三郎)がアートディレクターを務めた『王女メディア』により初のギリシャ公演を敢行。以来、海外で数多くの公演を行う。特にイギリスとの縁が深く、85年に初めて『NINAGAWAマクベス』を上演してから毎年のようにイギリス公演を行い、2002年には名誉大英勲章第三位(CBE)を受章。
 また、1984年から2008年まで、廃工場を再利用した空間「ベニサン・ピット」を拠点に、若い俳優・スタッフとともに小劇場演劇の試みを行うGEKI-SHA NINAGAWA STUDIO(2004年にニナガワ・スタジオに改称)で実験的な作品づくりに取り組み、多くの人材を育てた。1999年にBunkamuraシアターコクーン、2006年に彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任。彩の国さいたま芸術劇場ではシェイクスピア全37戯曲に取り組み、31作を上演。また、55歳以上の無名の高齢者とともに“個人史をベースにした新しい演劇の形態を模索する”さいたまゴールド・シアターを旗揚げ。2009年には若い俳優たちに自らの演劇哲学を伝える公演を行うさいたまネクスト・シアターを旗揚げするなど、最後までチャレンジ精神を失わなかった。
 演出家として取り組んだ主な作品は、シェイクスピア、チェーホフ、ギリシャ悲劇、清水邦夫、唐十郎、寺山修司、秋元松代、井上ひさしなど。また、世代の離れた若手劇作家との仕事にも意欲的だった。受賞歴多数。
http://www.my-pro.co.jp/ninagawa/
Performing Arts Network Japanの蜷川関連インタビュー
歌舞伎版『NINAGAWA十二夜』とは?(2005年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview /0508/1.html
高齢者と若者と共に民衆史のリアルに立ち向かう(2009年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/0910/1.html
もうひとつの蜷川ワールド(2014年)
 http://performingarts.jp/J/art_interview/1411/1.html

「瀬戸内国際芸術祭2016」のラインナップ発表
 
 2010年から3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に開催されている現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。3回目を迎える2016年は、前回に続き、春・夏・秋の3シーズン制で計108日間、12島・14会場で開催される。今回は「海の復権」をテーマに掲げ、現代アート作品の展示やイベント開催に加え、瀬戸内の「食」を味わう食プロジェクト、アジアを中心とした世界との文化的交流、地域文化の魅力発信に力点を置く。
 参加を予定しているのは、20を超えるの国と地域から約200組の作家やプロジェクト。豊島ではクリスチャン・ボルタンスキーによる風鈴を使った巨大なインスタレーションを展開。大竹伸郎は針工場跡、スプツニ子!は民家を舞台にそれぞれ作品を制作する。直島では、岡田利規演出による森山未來のダンスパフォーマンスが予定されている。
 小豆島では、椿昇ディレクションによる「小豆島町未来プロジェクト」にインドおよび国内から多数の作家が参加。また、犬島では名和晃平がフランスの振付家・ダンサーのダミアン・ジャレと共にパフォーマンス作品を発表する。高松港周辺では、やなぎみわによる移動舞台車も登場する(詳細はウェブサイト参照)。

[フェスティバル概要]
 2010年から3年ごとに、瀬戸内海の島々を舞台に開催する現代アートの祭典。人口の減少や高齢化が進みつつある島々に活力を取り戻すために企画された。主催は瀬戸内国際芸術祭実行委員会。総合プロデューサーは公益財団法人福武財団理事長の福武總一郎、総合ディレクターは北川フラムが務める、瀬戸内海を船で巡りながら島の固有の文化、生活、自然を生かした作品を鑑賞するという新しいアート体験を提供している。
瀬戸内国際芸術祭2016 開催概要
[会期]春:2016年3月20日(日・春分の日)〜4月17日(日)29日間
夏:2016年7月18日(月・海の日)〜9月4日(日)49日間
秋:2016年10月8日(土)〜11月6日(日)30日間
[会場]直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島(春会期)、本島(秋会期)、高見島(秋会期)、粟島(秋会期)、伊吹島(秋会期)、高松港・宇野港周辺
[主催]瀬戸内国際芸術祭実行委員会
瀬戸内国際芸術祭
http://setouchi-artfest.jp
Presenter  Topics
ブリュッセルで「クンステン・フェスティバル・デザール 2016」開幕(2016年5月6日〜2016年5月28日)
 
 欧州で最も実験的なラインナップを揃えることで知られるパフォーミング・アーツ・フェスティバル。今年は3月22日のブリュッセル爆破テロ以後、開催が危ぶまれていたが、無事、当初の予定通り決行されることになった。クンステンの公式ウェブサイトには「いまほど、他者とのダイアローグから得られるものが大きい時期はない […] 排除と二極化の作法にもとづく行為を我々は認めない」という、芸術監督クリストフ・スラフマイルダー氏によるメッセージが、フランス語、フラマン語、英語で掲載されている。
 今年の特集作家はフランス、ナンテール・アマンディエ劇場の芸術監督も務める演出家フィリップ・ケーヌ。新作『La nuit des taupes(モグラの夜)』がクンステンとの共同制作のもと世界初演されるほか、フェスティバルセンターに10日間『Welcome to the Caveland!(洞窟国へようこそ!)』と題し、コンサート、サロン、映画会、キッズグラブなど、複数のイベントを同時開催する移動型遊園地のようなインスタレーションが設置される。
 もうひとり、タイの映画監督アピチャッポン・ウィーラセータクンの作品群も、フェスティバルで特集される。映画『トロピカル・マラディ』、短編フィルム、写真などの作品群を複数紹介する展示『メモランダム』、さらに韓国光州のアジア文化殿堂で世界初演された監督初の演劇作品『フィーバー・ルーム』が上演される。
 またパリ、ブリュッセルなどでのテロ事件後、「特定の他者」としてターゲットにされ、社会から排斥されがちな北アフリカと中東の作家も複数人招聘。マラケシュ拠点の振付家ブーシュラ・ウィズグェンがモロッコの伝統的キャバレー・パフォーマーたちと共同創作した『Ottof』、同じくマラケシュ拠点の振付家ラオフィク・イゼディウによるスフィ文化に基づくダンス作品『En Alerte』、カサブランカ拠点のビジュアル・アーティスト、ユーネス・ババ=アリによる都市型インスタレーション『Paraboles / Vu’ Cuprà』、さらに国際演劇祭の常連であるイラン人作家アミール・レザ・コヘスタニによる『Hearing』などが上演される。
 日本からは岡田利規『部屋に流れる時間の旅』、神里雄大『+51 アビアシオン、サンボルハ』、川口隆夫『大野一雄について』の3作が上演される。

[フェスティバル概要]
 ベルギー・ブリュッセルで毎年5月に開催されているパフォーミング・アーツを中心とした現代アートフェスティバル。先鋭的なプログラムで知られ、世界の現代アート界のアンテナフェスティバルとも称されている。ベルギー国内はもとより、ヨーロッパ全域、さらには芸術支援インフラに乏しい発展途上の国々に及ぶ世界の若手アーティストを独自に発掘し、多くの作品プロデュースを行っている。また、長期的視野に立ってアーティストの育成を図るため、複数年にわたり共同制作を行うと同時に、ベルギーやヨーロッパに拠点を置く実力派アーティストの新作を製作し、世界に先駆けて発表している。世界のパフォーミング・アーツの潮流を生み出す震源地の一つ。プロデュース公演と共同製作公演が、プログラム全体の50パーセントを超え、世界初演が約半数を占める。
 2006年を最後に立ち上げから芸術監督を務めてきたフリー・レイセン女史が引退。それまで女史の右腕としてプログラミングを担当してきたクリストフ・スラフマイルダー氏が芸術監督を引き継いだ。近年は国際交流基金の助成プログラム「PAJ」やセゾン文化財団などと協力して日本から岡田利規(チェルフィッチュ)山下残梅田宏明前田司郎(五反田団)などの作品を紹介している。
クンステン・フェスティバル・デザール(Kunsten Festival des Arts)
http://www.kfda.be

2年に一度開催される英国屈指の実験的演劇祭 LIFT(ロンドン国際演劇祭)開幕(2016年6月2日〜7月2日)
 
 「世界中をロンドンに集結させ、ロンドンを世界に紹介する」ことを目的とした英国屈指のエクスペリメンタルな内容を誇る実験演劇祭。2009年度より、マンチェスターの実験的ライブアート・フェスティバル「Fierce!」の創設者として知られるマーク・ボールが芸術監督職に就任。大学で国際政治を学んだというボール就任以後、よりいっそう政治色の強いプログラミングが編成されている。
 2016年度のフェスティバルのテーマのひとつは「移民、コミュニティ、難民危機」。第二次世界大戦以後、史上最大のディアスポラ・クライシスに襲われている欧州の現実を映し出す演劇作品を多く上演する。特にこのテーマの一貫で、ロイヤル・コート劇場と提携し「On the Move(移動中)」と題したミニ・プログラムを編成。ドイツ、ギリシャ、イタリア、レバノン、シリア、英国の作家たちによるインスタレーションや映像、パフォーマンスなどを6月2日から11日にかけて展示する。またドイツを拠点に活躍する振付家コンスタンツァ・マカラスは『Open For Everything』と題した作品で、35人の若者たちと共に、放浪の民として知られるロマについて探求する。ギリシャのblitz theatre groupは『Late Night』で、自分たち暮らすコミュニティが、国家が、日に日に朽ちていくさまをデヴィッド・リンチのような乾いた詩情を湛えつつユーモラスに描く。
 パリのオデオン座、バービカン・センター、LIFTフェスティバルの共同制作で上演されるのはポーランド人演出家クシシュトフ・ワルリコフスキが、サラ・ケインの『フェードラの恋』を翻案して構成した『Phaedra(s)』。イザベル・ユペールが主演することでも話題だ。同時期にバービカン・センターのThe Pit(小劇場)では、日本の革命アイドル暴走ちゃんが14禁演目として2週間上演される。クロージングには、イスラエル出身の振付家ホフェシュ・シェクターがイースト・ロンドンでもっとも才能ある若手振付家・ダンサーを選抜し、ストラトフォードの屋上でナイト・パフォーマンスを行う。

[フェスティバル概要]
 1980年にRose FentonとLucy Nealによってロンドン国際学生演劇祭として発足。翌1981年にポーランド、フランス、ブラジル、オランダ、マレーシア、西ドイツ、日本、ペルー、イギリスのカンパニーを集め、第1回ロンドン国際演劇祭として開催された。以降隔年開催され、2001年までに60カ国以上から重要作を招聘。イギリスの演劇シーンに国際的視野を導入し、劇場以外の都市空間を活用した斬新な上演形態でも注目される欧州有数の国際フェスティバルとなった。
 2003年に芸術監督がオーストラリアのプロデューサーAngharad Wynne-Jonesに交代し、隔年開催の形態を一時休止。サウスバンク・センター、バービカン、サドラーズ・ウェルズ、ICAなどが国際プロジェクトを通年で行うようになった状況を踏まえ、リサーチや比較的小規模の通年活動に移行。公演やディスカッションに使える可動型スペース「The Lift」の建設など実験的な試みを行う。
 2009年にマーク・ボールを芸術監督に迎え、2010年に隔年開催のフェスティバルとして9年ぶりに再開。サイト・スペシフィック・ワーク、体験型パフォーマンスやメディア・コミュニケーションを扱った作品、知的障害者、盲目・聾唖のパフォーマー、あるいは子どもや十代の若者によるパフォーマンスなどが大部分を占めるユニークなプログラムになっている。2012年はロンドン・オリンピック直前の開催となり、43,000人の動員を記録した。
+LIFT ロンドン国際演劇祭(London International Festival of Theatre)
http://www.liftfestival.com

オーストリアの「ウィーン芸術週間」開幕(2013年5月10日〜6月16日)
 
 毎年5月から6月にかけての5週間、オーストリアの首都ウィーンで開催される「ウィーン芸術週間」。毎年約40の作品が招聘され、18万人に及ぶ観客を動員している。芸術的に最高水準を保ちつつ現代社会と対話する音楽、ビジュアル・アート、舞台芸術作品をプログラミングすることを指針に掲げている。総監督はオーストリア出身のピアニストであるマーカス・ヒンターハウザー。舞台芸術部門のディレクターは過去数年で頻繁に入れ替わり、物議を醸していたが、昨年からディレクターにモスクワ出身のジャーナリストのマリーナ・ダヴィドヴァ、チーフ・ドラマトゥルクにシュテファン・シュミトケを迎え安定を保っている。
 オープニングを飾る舞台芸術演目は、昨年のファジール国際演劇祭テヘランで観客に熱狂的に支持された、イラン人演出家アフサーネ・マーヒアン(Afsâneh Mâhian)と劇作家マヒーン・サドリ(Mahin Sadri)のコンビによる『A bit more everyday』。現代イランのキッチンに立つ3人の女性が、80年代にイラク戦争が勃発して以後、どのように自分たちの人生が思わぬ方向に展開していったかを、戦争、法、宗教などのテーマに触れつつ、まるで叙事詩のような言葉を用いて つまびらかに語る。
 モスクワから招聘されるのは、6カ月先までチケット確保が難しいとされる、ロシア人演出家コンスタンチン・ボゴモロフの作品。ゲーテの『ファウスト』、チェーホフの『三人姉妹』、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』、そしてオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』から自由に抜粋引用して、同じくワイルドの『理想の夫』を刷新する。その他、今年招聘される巨匠演出家・振付家の作品に、スイスのクリストフ・マルターラーによる音楽劇『イゾルデの夕食』、ベルギーのヤン・ファーブルによる24時間マラソン作品『オリンパス山:悲劇という名のカルトを崇めるために』、イタリアのピッポ・デルボーノが 母の死に触発されて創作したという『Orchid(蘭)』、イギリスのサイモン・マクバーニーがバイノーラル録音・伝播されるアマゾン冒険譚をヘッドホンを装着した観客に届ける一人芝居『ザ・エンカウンター』など。またスーザン・ソンタグによる4つの貴重な映像作品が合わせて上映される。

[フェスティバル概要]
 1951年から毎年5月〜6月にかけて開催されているオーストリア最大級の国際フェスティバル。開催地は、ミュージアム・クォーター、テアター・アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン楽友協会ホール、シャウシュピールハウス、市内の市場や広場など市全体が舞台となる。世界各国のオペラや演劇を代表する演出家や指揮者、オーケストラなどが手がける最新の舞台芸術、歴史的な演出や最新プロダクション、現代作品が上演される。2011年はリュック・ボンディを総監督に、シュテファニー・カープ演劇監督、シュテファン・リスナー音楽監督の下で、23カ国45のプロダクションが上演され、18万人を動員。日本からはポツドール、高山明が参加。
ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)
http://www.festwochen.at/
TOP