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Japanese Drama Database
Japanese Title: 人類館
English Title: Anthropology Hall
Author: ちねん せいしん
Author's Profile: 1941年12月1日生まれ。コザ高校卒。二松学舎大学中退。演劇集団「創造」所属。作品に「人類館」(1976年初演。新劇岸田戯曲賞)、「コザ版どん底」(1986年)、「コザ版ゴドー」(1988年)、「幻のX調査隊」(1997年)
First Performance:   1976
Performance time:  
Acts / Scenes: 1
Cast: 3人(男2・女1)


1903年に開かれた第5回内国勧業博覧会で、沖縄の人間が「見世物」にされた「学術人類館事件」を題材に、差別そのものの構造を、喜劇的タッチを用いながら呈示し告発する。
沖縄をイメージさせるもので飾り立てられた小屋の中に一組の男女がいる。やがて調教師ふうの男が鞭を手にやってきてこの「琉球館」の解説を始める。この小屋の中の「男」(脱獄囚)と、「女」(売春宿からの逃亡者)はいずれも騙されて連れてこられ、「見世物」にされているのだ。「調教師」は充分な食事も与えず、その一方で文化人類学を持ち出して、「日本的秩序意識」を持つためにはまず方言を止め、正しい「日本語」を話すべきだと言い彼らを調教する。以下、戦中、戦後の沖縄を思わせる場面が次々に展開するが、登場人物はすべて最初に登場した「調教師」、「男」、「女」の三人によって演じられる。
「琉球館」で「男」と「女」を支配していた「調教師」は、飲み屋で、実は自らが沖縄出身であるために昇進を逃したことを告白する。後に沖縄出身者と分かる脱獄囚の「男」は、取り調べ室で、戦時下の悲惨な体験(集団自決、スパイ処罰を理由にした軍人の専横など)をしゃべり、係官に止められる。売春宿から逃げてきた「女」はベトナムブームのなか、隣室で起きたアメリカ兵による売春婦殺人や、黒人兵の哀れな姿などを語る。

次に場面が精神病院に変わると、「調教師」は、病院の案内人として沖縄の「戦争後遺症」について説明する。ここで「男」は、郷土防衛隊員、「女」は女子挺身隊の人物となり、舞台の時間は遡ってたちまち沖縄戦の戦時下となる。突然激しい爆発音がおこり、セットの一部が倒れ、煙が立ちこめる。すると今度は三人は戦下を逃避行する男女となり、「男」と「女」は手榴弾で自決しようとするが失敗し、アメリカの投降勧告を聞く。続く場面では「沖縄を返せ」のシュプレヒコールのなか、生徒を教え諭す教師(「調教師」)とその生徒たち(「男」と「女」)として、三人は戦後の混乱のなかに生きている。

最後に舞台は再びもとの「琉球館」になる。爆死した「調教師」の死体を隠そうとした「男」は、ふと思い付き、今まで自分の座らされていた椅子に「調教師」を座らせる。そして今度は自分が「調教師」になり替わり、「調教師」のやっていた通りの解説を始めるのだ。こうしてこの劇は、また振り出しに戻って幕を閉じるのである。
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