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Japanese Drama Database
Japanese Title: ここからは遠い国
English Title: A Country Far from Here
Author: 岩崎 正裕
Author's Profile: 1963年三重県生まれ。劇作家・演出家、劇団●太陽族代表。大阪芸術大学在学中の1982年に劇団大阪太陽族を旗揚げ。90年に劇団名を199Q太陽族に解明し、2000年秋の「街踏激ぼちぼちいこか」をもって解散。2001年に同劇団名を劇団●太陽族と改称。94年に「レ・ボリューション」で第1回OMS戯曲賞佳作を、97年に「ここからは遠い国」で第4回OMS戯曲賞大賞を受賞。近畿大学文芸学部演劇芸能専攻講師。
First Performance:   1996
Performance time:  
Acts / Scenes: 1幕
Cast: 11人(男5・女6)


1995年に地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の信徒達の心理に目を向け、20世紀末の日本に漂う不安感を描いた作品。

オウム真理教の信徒であるヨシマサと兼光(かねみつ)は任務を遂行するために車で走っている途中、山中でエンストしてしまう。濃い霧に包まれていくなか、車の荷台に突如、ヨシマサの母、智子があらわれ「おかえり」と語りかける。夢か現実か分からないままヨシマサは眠りに落ちていく。
それからしばらくの後、大阪近郊で工務店を営むヨシマサの実家のガレージに軽トラックが一台置かれたままになっている。その中で寝起きしているヨシマサのことを、父、仁(ひとし)をはじめとして、信子、礼子、真理の三姉妹は心配している。すでに亡くなった智子は納骨を控えているが、時々意識が混濁するヨシマサや病気が悪化している仁の前に姿を見せる。
ヨシマサは、社会の歯車として働いて家族を大切にして生活していくような人生に、全く意味を見いだせず、世の中を変えることが出来ると信じてオウム真理教に身を投じた。だが、もはや警察に摘発されてしまった今となっては、再び教団へ戻るか、それとも現実の生活に戻るか、どこへ行けばいいのか迷うしかないのだった。そんな彼を兼光は軽蔑し、公安警察の小松はスパイとして利用しようとしてつけ狙う。ヨシマサの苦悩は、学生演劇をやっている真理から借りた「ハムレット」の台詞から、次第に「三人姉妹」のアンドレイの台詞へと重なっていく。そんななか、仁が突然倒れてしまう。

オウム教団の敷地内において、兼光の隣で目を覚ましたヨシマサ。実家での出来事が、魂が抜けだしてありえない時間の中に迷い込んで経験したことだと感じる。その夢のような時間のなかで彼は政治家として立候補し駅前のロータリーで立っていたことを思い出す。この先どこへ行くのか分からなくても、とにかく今、生き続けていることの意味を意識しはじめるのだった。
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